紙の本
肉体の限界に挑む
2022/08/03 03:36
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
私大の法学部に通いながら、筋トレに励む陽介の横顔がどこか破滅的です。終盤での雲のない青空を見た、彼の独白が圧巻でした。
紙の本
違和感が違和感を呼ぶ不思議な小説
2020/09/08 12:51
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投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は毎日規則正しい生活をし、たまに部活動の指導もする傍から見れば至って普通の男性。
しかし、読み進めるうちに違和感を感じざるおえなくなるが、だんだんその違和感を感じる自分に違和感を覚え出す変な感覚に陥った。
主人公が序盤で急に人のために祈りを捧げる場面があるが、そこだけが唯一彼が正しくあるために人を思うのではなく、衝動的に人を愛した瞬間だったように思えた。
自分と周囲の人間との考えの不一致に違和感を覚えながらも世の中からういてしまわないように徹底的に自己管理をする主人公に、だんだん自分の姿が重なってくるような怖さを感じてしまった。
読後にこの本のタイトルを今一度考えてみて、主人公にとって破局は悲劇的なものだったのか、それとも主人公が最後に見た青空のように本来の自分として生きるスタート地点に立つ晴れやかなものだったのか色々と考えさせられた。
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物語に飽きた物語好きはハマる感じがする
薄味で平坦、そこが良いし嫌だ
川上弘美の書評が分かりそうで全然分かんないのが笑える
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レビューを拝見させていただくと、「主人公に共感できない」というものが多く、できればわたしは共感しながら読みたいものだなあと思って読み進めた。
結果、共感できなかった。
物語を追って、場面を浮かべることはできる。
そして主人公が言っていること、その内容は理解できる。
ただ、この主人公が何を考えているのか、最後まで読んでも、彼の人間性が、わたしにはつかめなかった。
主人公の陽介は、公務員試験を目指している(慶應)大学4年生。後輩のラグビーの指導を手伝っていて、彼女もいる。彼は、セックスだけでなく、ひたすら下半身のことを考えてる。陰毛について半ページを割いたり、自慰やトイレの描写が多かったり。
部員に対する厳しさ、それがどこからくるのか。彼の人間性がつかみきれない以上、彼の声を追っていくしかないのだけれど、追っていても書いてない。
そして、倫理観のこと。
「右の女はショートパンツを穿き、脚を露出させていた。席と席が近いことにかこつけて、私はこの女にわざと脚をぶつけようとした。が、自分が公務員試験を受けようとしていることを思ってやめた。公務員を志す人間が、そのような卑劣な行為に及ぶべきではなかった」であるとか、亡くなった父が女性には優しくするように言っていたから優しくする、であるとか、倫理観の発信源が体裁や親にあって、結局主人公の意思ではなく、他者にある。
この点も、彼の人間性のつかめなさに加担している。そしてこの「彼という人間性のつかめなさ」、主体性が自分ではなく相手に委ねられているという点が、この作品が描こうとしている「虚無」なんだろう。
部屋でふいに見かけるちぢれ毛にふと思いを馳せたり、自分の悪口を言っている人を見かけた時に、全く関係のない、自分が勝手に「悪」とみなした人に当たろうとしたり、きれいな人にぞくぞくしても、捕まるのを恐れてしなかったり。
人の心は、そうした、日常でふと思ったことや、瞬時に感じ取った強い感情、つきまとう倫理観、そういうものがぐるぐると回っていて、だから心の声をずっと垂れ流していたらぐじゃぐじゃで、言葉にしたら支離滅裂なことなんていっぱいある。その瞬間の感情を掬いとった、そんな描写が拡がっている。
やっぱりわたしには芥川賞作品を理解するのは難しいのかもしれない。
だから又吉さんの「火花」とかも読んでない。
今回手に取った理由が、遠野さんがイケメンで話題だったから、というのは大きな声では言えません…。
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第163回芥川龍之介賞候補作、遠野さんの作品は初読み。主人公の大学生は就活中で筋トレ・ラグビーに勤しみ、彼女もいるが関係は微妙で新しい恋を求めている。機械的に淡々と綴られる独特の文体で、主人公に共感できる人はあまりいない気がするし、他の登場人物もみんななんかおかしい(笑)。日吉の〇應キャンパスや駅の銀玉とか出てきて地元住民としてはテンション上がった。
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これぞ純文学。
恋愛や人生に限らず、例えば鉄道でも工事現場でも海運でも、少しの掛け違いが不運に重なることで大惨事が起きる。
あと、「自分が普通」だと思ってるのは自分だけ。
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新時代の虚無というパワーワードに撃たれて読みました。この言葉めちゃくちゃ好きです。
あらすじの「私を拒むものは、私自身にほかならない」
は読んだあともよく分かってません。みなさんの感想をまた読んで深めたいです。
天井から主人公を見てる人みたいな気分で読んでいました(私に霊感はない)。人の人生の一節を見ているような。本ってそういうものといえばそうだけれど、この本は街歩いてる人とかもこんな人だよって教えてくれるから細かく脳内再生できた。
終わりが急だと感じたので、しばし放心した。
た、たしかに破局だわと。
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主人公が自販機の前で突然泣き出すシーン、あれが全てだと思った。
静と動をごく淡々と書いていて、感情やらどうでもいい興味やら食欲やら性欲やら、全部が一色のペンで平たい紙に描かれたようだった。
たしかに人間って、大事な局面で関係のないものに気が散って観察してしまったり、生活の中に溢れる疑問をそのままにしていたり、するよなぁ。
「写実主義」と呼ぶのはたぶん違うんだけど、脳みそのスクリーンをそのまま写しとったような小説だった。
果てしない虚無は自分の根源にあって、具体的に理由が「在る」から感じるわけではない。悲しいことに理由なんていらない。デフォルトが幸せだなんて誰が決めたんだ。
私は悲しいのを愉しむ方だけど、この物語の主人公はそれが本能的にものすごく嫌いらしい。頭で無いことにしていても、本質的に抱えている虚しさから逃げる事はできないみたいだ。
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第163回芥川賞受賞
感性がすごく若い。いいなー。ぐんぐん読んで一気に読みきった。リズムもいいし、適度に気持ち悪くて、でもわかるなー。とくに麻衣子のした感じ、わかるなーってわかりたくないけどわかっちゃうんじゃないでしょうか、女性の皆様。
セックスを覚えたてほやほやの女子の性欲、怖いなー。
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芥川賞受賞作ということで、受賞が報道された日に買って読んだ。
話の流れはスムーズで文章もテンポが良くて、どんどん先に進む。
そして主人公の虚無的な雰囲気も良かったし、性的描写も決して欲情的な感じではなく、淡々と書かれていて好きな雰囲気だった。
だけど、この話が何を表現したかったのか、私には理解できなかった。
所々、伏線っぽいエピソードや設定なんかが出てくるのだけど、結局それらは回収されずに物語が終わってしまう。元カノが幼少期に負ったトラウマとか、今カノのカフェラテの設定とか、佐々木の部活より家庭を優先させた話の先とか…
全ては読む人の想像に委ねられるということか? 良くも悪くもの純文学だった。
読み終えてから「ぇ、なに、どういうこと?」となる。これは後からジワジワと読後の感情が滲み出てくるのか?
だけど、読了後の感想は「ぇ、なに、どういうこと?」で、1日経った今も「ぇ、なに、どういうこと?」である。
他の人がこの本をどのように読んだのかを知りたいと思った。芥川賞受賞するくらいなのだから、きっと何かがあるのだろう。
何ががあるのだろうけど、残念ながら、私には見つけることができなかった。
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帯にある「新時代の虚無」が正にピッタリ。
難しくて訳わかんなくて何書いてんだろって感じだけど、この虚無って中身は違えど僕の普段の日常にもたくさんあって、何してんだろ、とか何のために生きてんだろ、とか。みんな色々折り合いつけながら生きてるんだろーと。
こういう心情を吐き出せる小説書くってホントすごいと思う。
白石一文さんの小説に似てる感じ。
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なんだかよくわかんなかったけど、一気に読んだ。とても共感もできず、言いたいこともわかんなかった。でもスピード感があった。一人称で書いているにもかかわらず、どこか客観的。分析はできていない。う〜ん、よくわからん。
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大学生ってこんな感じなのかも
膝って名前、読み方合ってるかな、と思いながら読んで、もっと意味のわからない展開になるかと期待したけど、違ってた。
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何気ない日常的な表現の中にもユーモアがあって読んでいて楽しめた。ラストの展開は少し納得いかなかったけど、ドラマチックな感じが文学的でいいと思う。
性的描写は欲情的ではないので良い意味で気持ち悪くなく、さらっと読める。
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第163回芥川賞受賞作。
ストーリー性ではなくその文体や視点、思考に惹きつけられて読み進めた本はこれが初めてかもしれない。
芥川賞といえば純文学。
エンタメ性の高い作品にばかり飛びついていた自分にとってこれはちょっとした衝撃。
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恋人を途切らせたことはなさそうだし、頭も良さそう、気も遣えるし、冗談で人を笑わせることもできて、筋肉ムキムキ、礼儀正しく、女性には特に優しく、使ったあとに便座を下げない男性に激しい怒りを覚える。
全然気持ち悪くないし、とても私が好きになりそうな人だ。
それなのに思考の根拠の主体性のなさにゾワっとする。
女性に優しくするのも規則正しい生活を送るのも筋トレをするのも全てそれがルールやマナーであるから。
ルールやマナー常識を根拠として行動を決定する主人公陽介のロジカルすぎる思考と、その思考の中に時折(というか頻繁に)現れる性衝動と、え?そこそんなに怒る?って場面で現れる怒りの感情とのアンバランスさがより一層彼の内面の奇妙さを際立たせていて、それは私にとっては気持ち悪くも魅力的だった。
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