哺乳類か?爬虫類か?鳥類か?
2020/08/25 22:38
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
不思議な外見と生態で知られるカモノハシの専門書。カモノハシがどういう生き物で、どのように世界に知られていったか、詳細に解説しています。
貴重な一冊と思いますが、本の構成として今一つ分かりにくい感じでした。それから、カモノハシの写真も無いのが残念。
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本屋で手にとって開いたところ、著者の先生が子供の頃に作ったというカモノハシ便箋が目に入りました。これは良い本に違いないという直感で購入しましたが、間違いなかったです。
カモノハシの驚きの生態と形態の解説、進化史における位置づけ、化石単孔類、ヒトとの関わりや文化史などなど、テーマが多岐に渡っていて飽きません。
著者の先生の個人的なお話も、とても含蓄に富んだもので、豊かな読後感が味わえます。
先生の描くユルいイラストもかわいいですね。
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哺乳類の歯の研究が主で、幼少の頃からカモノハシを愛して止まない研究者がカモノハシについての本を出版されました。おそらく、国内では唯一のカモノハシ研究書でしょう。こういった詳細な本を待っていました。カモノハシの記述といえば「卵を産む哺乳類」でありせいぜい「単孔類という分類」くらいしか記述されない珍獣です。その詳しい生態については子ども向けの本では得られず。この本はカモノハシの祖先にあたるオブドゥロドンとの生態や歯の構造比較により、カモノハシは進化の過程で歯を失い、代わりに嘴の感覚器官を進化させたという研究成果を出した素晴らしい内容でした。それのみならず、カモノハシにまつわる人類史も記述したまさに「博物誌」。どこをとっても浅原先生のカモノハシ愛が感じられます。先生自作のカモノハシイラストも(Too fatかもしれないけど)お上手でかわいい。なかなかお目にかかれない珍獣ですが、もし会えた際には「正しいカモノハシの持ち方」を思い出し、接したいと思います。
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全員におすすめできるわけではありませんが、分類の話のときには欠かせない立役者の一人なので、必ず話にでます。
そのカモノハシに興味を持った方がいらっしゃれば面白い本です。
2020/10/01 更新
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カモノハシってヘンな生き物ですよねぇ。
哺乳類なのに卵を産むし、
文字通りカモのようなくちばしを持ってるし、
足には水かきまであって、
いったいどんな進化の過程で
こんな姿になってしまったのでしょう?
不思議に思われる方は、
たくさんいらっしゃるでしょう。
で、この不思議な生き物のことを
もっと知りたいと思っていましたが、
日本にはこれまでカモノハシについて書かれた
一般向けの書物はありませんでした。たぶん・・・。
絵本はあるのですが、
学術的なものはなかったと思います。
ですから、この本の存在を知ったときは、
むしろ驚きました。
本書の内容は盛りだくさんです。
生物学的なことから、
カモノハシが世界に知られるようになった歴史的背景、
研究の経緯、カモノハシをめぐる政治的なことがら、
環境保護や学問の意義に至るまで多岐にわたります。
専門的な部分はわかりにくい箇所もありましたが、
それでもできるだけ素人にも理解しやすい
平易な言葉を使って書かれていますので
とても読みやすく、興味が増しました。
学問、研究に対する情熱も伝わってきました。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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カモノハシをご存知だろうか。
大きなくちばし、櫂のような尻尾、水かきのある足。
独特な風貌は、水鳥とビーバーをつなぎ合わせたようにも見える。
変わっているのは見た目だけではない。
カモノハシは哺乳類ではあるが卵を産む。尿や糞、卵を1つの穴から出す単孔目の仲間である。単孔目にはカモノハシの仲間のほか、ハリモグラが現存するのみである。
本書はまるごと、そのカモノハシを紹介する1冊である。日本語で書かれた最初の「カモノハシ本」とのこと。
著者はカモノハシ好きが高じて研究者となった。カモノハシや哺乳類の進化、特に頭骨や歯の形の変遷が専門である。
カモノハシの生物学的な話から、カモノハシの先祖にあたる化石単孔類の研究や著者の研究者人生のお話まで、カモノハシをディープに知る1冊となっている。
哺乳類でありながら、卵を産み排泄孔が1つである(=鳥類や爬虫類に似た性質)というカモノハシについて考えることは、すなわち、哺乳類全体の進化を考えることである。
子育てはいつから行われてきたのか。母乳を与える系はどのように発展してきたのか。胎盤はいつできたのか。体毛や恒温性はどの時点で獲得されたのか。
そうした「境界」となる事象を考えるうえで、カモノハシは格好の対象となるわけだ。
著者は特に頭骨や歯の形を元に、哺乳類の進化を考察する。これらは化石として残っていて研究しやすいという利点もあるのだろう。
爬虫類と異なる哺乳類の特徴の1つは咀嚼をすることであり、一般にはそれに適した臼歯を持つ。だがカモノハシは咀嚼をするのに臼歯を持たない。祖先は臼歯を持っているのになくしてしまったのだ。どうやら、採餌にあたり、くちばしの感覚器官を発達させるために、歯のスペースが限られていったということのようなのだが、このあたりの仮説の立て方、検証の仕方がこの分野の研究を垣間見させておもしろい。
後半はカモノハシ研究全般の歴史について。
カモノハシの生息域はオーストラリアやタスマニアに限られる。彼らがどのように発見され、受難の歴史を経て、今に至るのか。カモノハシ切り口の近現代史がなかなか読ませる。
その他、オスにしかないという蹴爪の毒の話や、動物園でのカモノハシ飼育の苦労、カモノハシ保護活動など、1種の動物からこれほど多様な世界が広がるのか、と楽しく読ませる。
まさにカモノハシの「博物誌」!
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哺乳類でありながら卵を産むという,特別に変わり種。
しかも,哺乳類にしては珍しく,毒を持っている。
とても独特だが,見た目は地味で,人目につかないように生きている。
こんなカモノハシに魅せられた著者が,形態学・生態学から,哺乳類の進化との関わり,そして人間とカモノハシの関わり合いまで,広く熱く語ったもの。
カモノハシ好きには垂涎の一冊。
そして,カモノハシのことをあまり知らない多くの人には,ぜひ読んでカモノハシ好きになってもらいたい一冊。
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くちばしがあって、毛皮ももっていて、みずかきがある、哺乳類と爬虫類の特徴をもったエキゾチックな動物、カモノハシの本。
英語も”duckbill”、あひる+くちばし(他にも呼び方ははあるようでしたが)。ハシビロコウは Shoebillでしたか。くちばしめだちますもんね。両方とも。
研究的な面だけでなく、文化史的な面や現在の保護活動など多角的な観点での記載があります。
哺乳類なのに、卵を産む、毒を持つ、電気を受信して餌を探すなど摩訶不思議な性質はもちろんのこと、脂肪の40%は尻尾にあり、「カモノハシ取り扱い方法のガイドライン」に、その尻尾を持って逆さづりにするのが正しい持ち方など知識が満載です。
カモノハシを研究する意義は、哺乳類の進化を歴史を知ることにつながる、と書かれていましたが、純粋に面白いから、でいいのではないかと思います。こういった基礎研究が好きにできるような環境に日本がなることを切に願いますね。
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Chapter1カモノハシの形態学
1-1図解 カモノハシ
1-2カモノハシの体
1-3カモノハシの消化
Chapter2カモノハシの生態学
2-1カモノハシの生態
2-2カモノハシの一日
2-3カモノハシの子育て
2-4動物園で繁殖
Chapter3カモノハシと哺乳類の進化
3-1カモノハシから考える哺乳類の進化の歴史
3-2哺乳類の誕生
3-3哺乳類らしさの進化1 子育てと授乳
3-4哺乳類らしさの進化2 胎盤の進化
3-5哺乳類らしさの進化3 恒温性と体毛
3-6哺乳類らしさの進化4 歯の形態
3-7哺乳類らしさの進化5 顎の骨と耳の骨
3-8哺乳類らしさの進化6 脊椎動物における運動様式の進化
Chapter4化石単孔類の研究
4-1さまざまな化石単孔類
4-2いまだ明かされていない単孔類進化の謎
4-3カモノハシ生存の秘訣
Chapter5カモノハシが歯を失った話と私
5-1カモノハシの研究者になるまで
5-2カモノハシが歯を失った理由
Chapter6カモノハシの発見と研究の歴史
6-1カモノハシ発見の歴史
6-2東洋の博物学
6-3カモノハシの博物学
6-4進化という考え方の歴史とカモノハシの影響
6-5戦争 & 国際社会とカモノハシ
Chapter7人間社会とカモノハシ
7-1カモノハシの危機と保護
私のカモノハシ研究の背景とこれから あとがきにかえて
カモノハシ・ファクトシート
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こんな不思議なら生き物がいるとは。
日本で唯一のカモノハシの研究者である著者がわかりやすく教えてくれる。研究者としてどんな風にしてきたのかも書かれているので、それも興味深い。
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カモノハシという生き物を通じて、哺乳類の進化の歴史や分類学という学問について、環境保護などについて解説されている端々ににじむ著者のユーモアが楽しい
お子様にもおすすめできると思う