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太平洋戦争中、過酷な状況に置かれたアイヌ人や朝鮮人らの真摯な生き方に感動。
2021/04/28 23:22
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
太平洋戦争中、過酷な状況に置かれたアイヌ人や朝鮮人らの真摯な生き方に感動。初めはアイヌ人の血をひく特高刑事:八尋を主人公にした警察小説かと思ったが、中盤辺りから軍部も絡んだ陰謀めいた展開に発展。最後は途轍もない大どんでん返しという本格ミステリーへ。警察小説、歴史小説、本格ミステリー、更に冒険小説の要素まで含んだ美味しい1冊。アイヌ民族の風俗なども描かれ、いにしえの室蘭や札幌の街並みなども丁寧に描かれ、加えて実在した網走監獄からの脱獄王なども効果的に取り込むなど、北海道を丹念に描いてることも好感が持てる。現代的社会派ミステリーを得意とすると思ってたが、歴史を絡めたミステリーも凄いですね。
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読み応えあり
2021/02/21 14:55
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投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
終戦間際の重苦しい緊迫した生活、特高、民族差別、殺人事件など、盛りだくさんだが、全てがつながり、読み応えありでおもしろかった。
どの位史実に基づいているのだろう。それを考えながら読んでいた。脱獄犯・白鳥由栄は事実だし、室蘭空襲も、室蘭に軍需工場があったのも事実。フィクションとノンフィクションが絡み合っていて、ストーリーに深みを増しているようだった。
悲惨な描写も多かったが、未来に希望の持てそうなラストが、良かった。
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それぞれの生きにくさ
2021/12/31 01:50
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投稿者:docuciaA - この投稿者のレビュー一覧を見る
はじめは主人公に感情移入しづらく戸惑う部分がありましたが、読み進むにつれだんだん親しみが感じられるようになりました。
フィクションではあるけれど荒唐無稽とも言い切れない、あってもおかしくはないと思わせる設定で面白かったけれど、少し表面的で物足りない印象もあり、もう少し肉付けされ深堀りされたバージョンも読みたい。
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終戦間際の北海道を舞台に特高警察、民族問題に軍需産業、大脱獄劇にサバイバルなど、様々な要素がテンコ盛りのエンタメ大作。舞台設定のスケールが壮大な上に情報量も膨大なので、大味でリアリティに欠けるプロットではあるが、伏線をきっちり回収し、収まるべき所に収まる作品構成は秀逸で、希望の灯が宿るエピローグも実に感動的。圧倒的不利な戦況下で思考を停止し、国民に対し虚偽の戦況を伝達していた皇国日本を隠蔽体質の現政権に擬え、現代日本に警鐘を鳴らしている様にも感じられた。終戦記念日前、このタイミングでの文庫化に意義がある。
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終戦直前の日本を舞台としたサスペンス小説。
特高警官が主人公という異色。
朝鮮人、アイヌ、国内の異民族、大東亜共栄圏に内在する問題点など、凄くバランスの取れた視点で書かれていると思った。
物語も面白く「謎」の牽引力はそこそこある。
太陽=あの兵器ってのは、序盤で分かる人には分かるけど、でもって震洋が出てきた時点で?だったけど、なるほど分ってらっしゃったのだなーという感じ。
はっきりいって面白いし、勉強になった。
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メッチャオモロイ。今年読んだ中で1番や。
悲惨な話しの展開だが、人間の温かさが随所に見られホッとする。
エンディングの3人のやり取りが最高でした。思わずニヤリ。
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特高警察官として、戦時中の不用意な言動を取り締まる主人公は、身に覚えのない罪に問われ投獄される。
他民族としての差別、圧倒的不利な戦況を批判する事も許されず、身の潔白を主張する事も許されない、この物語は理不尽さに溢れている。
後半からのテーマは、主人公が如何に自分の使命を果たすか、でありそれは何の為に生きるか
という問いでもあると感じた。
重厚な長編小説であり、途中で読む側が息切れしてしまった感があり、星三つ。
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2021.04.05.読了
すごくいい作品だった。
分厚い文庫本だが、一気に読んでしまった。
開戦から終戦までに北海道(主に札幌と室蘭が舞台)で起こった様々なことを盛り込んだミステリー仕立てで読み始めから物語に引き込まれた。
アイヌ民族と大和人のハーフの青年(特高警察)が主人公だが、民族問題や警察事情などに留まることなく友情や恋愛、家族、戦争を含む幅広い視野で物語が展開し当時の状況に思いを馳せることができた。
ロシアスパイドゥバーブの言葉がよかった。
アイヌの祭祀イオマンテで生贄になる子熊のシーンはなんとも残酷で悲しかった。
おすすめの作品。是非みなさんに読んでほしい
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このミス2019年版9位。終戦間近の室蘭を舞台にした社会派ミステリー。兵器開発をめぐる汚職事件や悲惨な戦地体験による厭世的犯罪、終戦という価値観/正義の大転換のなかで翻弄されていく人達の生き様を描く大作。戦争描写、拷問や脱獄など重苦しい場面が多く、民族、国家、など大きなテーマについても語っており骨太の小説。どんでん返しもあってミステリーとしてもきちんと描かれているが、なかなか読み進めるのに時間がかかった。登場人物がそれぞれ多様性を持って描かれており感情移入も難しい面もあった。ある程度時間をとってしっかりと読む必要がある本。
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アイヌの生活とかよく調べているなと思いながら読み進めてましたが
終盤、えっまさかあの人が...ですよね。
無理がないのかもう一度読み直してみたい気もするけど....
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舞台は戦中の北海道。
戦況を一発逆転させる作戦を巡っていろいろな事件が起こる。主人公はアイヌ出身の刑事。差別されたり捜査妨害されたり苦難が続くが、苦労してたどり着いた真相は、正義とは何かを疑うものだった。
登場人物がエグい。当時はこうだったんだろうなと、現在とは違っているのは理屈ではわかるが、とは言え、当時でもエグい。それを乗り越える主人公は大変なものだと思った。
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戦時下、民族差別といったシリアスな設定ながらも、一方でエンタメ要素も十二分に盛りこまれたミステリー。非常に力のこもった力作だということは、読んでいて伝わってきました。
書き出しから濃い場面から始まって引き込まれる。
凍える寒さの北海道室蘭の貯炭場で重労働を課せられる朝鮮人の人夫たち。その過酷な環境下の中で、ある指令のため人夫たちにまじり潜入捜査をする刑事。
ここまでですでに相当カロリーの高い設定だけど、これはあくまで序章に過ぎないのがまたすごい。
そこから軍需工場関係者の連続殺人や、犯人が現場に残した血文字の謎めいたメッセージと興味を惹く展開で、物語を引っ張っていく。
そして主人公を追い込んでいく展開が容赦ない。主人公の刑事がアイヌにルーツを持つ出自であるがゆえ、同僚の刑事にも疑惑の目を向けられ、そこからさらに拷問、収監と徹底的に追い込まれていく。そこもまた引き込まれるゆえんです。
時代背景や展開も重厚だけど、そこから浮かび上がるテーマもかなりシリアス。
国家、戦争、そして民族。個人を捨て国家や天皇に従属することが求められた戦時下の大日本帝国。そこの矛盾や、国や体制に虐げられた個人の叫びが事件を通して浮かび上がっていく。
葉真中さんの作品って社会の闇に飲まれていった個人に焦点を当てた社会派ミステリという印象が強いけど、その持ち味や視点を戦時下という時代の作品でも遺憾なく発揮されています。
軽く読める作品ではないけれど、読み応えのある作品だったと思いました。
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『ロストケア』『Blue』に続き、
手に取りました✋
社会に出ると誰しも多少は感じる違和感を取り上げて、それと葛藤する主人公の姿がありました。
是非、こちらも映画化して欲しいです。八尋は妻夫木聡さん、ヨンチュンは鈴木亮平さん、で。もう年かなぁw
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終戦間近の北海道室蘭が舞台。アイヌの人達がこの時代どう生きたのか、ミステリーや脱獄もののエンタテーメントの要素があって読み応えあった。
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戦時下のこと、アイヌのこと、難しい内容のはずがするすると入ってくる。
惹き込まれる作品。
夢中になりすぎて夜中まで読んで、その日の夜は自分が監禁されて脱獄して捕まる夢を見て目が覚め眠れなくなるという…これほど作品に惹きこまれた作品。