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立花隆氏の処女作らしいが、傑作だった。
科学の思考は、対象に潜む雑情報を処理して、純粋なカタチにして捉えるというものだ。
一方で本書での思考法というのは、雑なものを、一歩上位に立って見つめ、最上流から最下流までの情報や生態系をいったんすべて記述することで理解する、とても雑然とした複雑なシステムの大枠をとらえてみようとする。
これっていまでも普通に通用するし、扱っているものこそ古けれど、あまり影響ない。
尊敬する人だとおもった。
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50年以上前の実質的な処女作。「細分化された専門バカでは問題解決はできない。横断的な知恵が必要。」というようなことを死に際に言っていたように記憶しているが、その考えはデビュー当時から一貫していたということに驚く。ただしその解決策が生態学(エコロジー的発想)なのかという点には疑問が残るが。
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先般読破した『評伝立花隆』を経て、原点に立ち返ろうと読んだ「知の巨人」立花隆氏のデビュー作『思考の技術』(新装版)。本書が提唱するエコロジー的発想は「自然の英知で脳を鍛えよ」。新カント派の発想に基づくという高校から文系と理系に分かれるのが通例である我が国の教育制度に対し、自然科学と人文科学という2つの科学の必要性を認めないシカゴ学派。物体の存在から精神の作用に至る全てを貫通する基本的な法則性を見出しうるとする立場が科学主義。文系と理系を一体で考える教育が必要ではないだろうか。