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好きなところあり過ぎて困るけど、中でもお気に入りをひとつだけメモ。
昔は、いくらキスやセックスをしても、本当に二人が誤解なくつながり合っているかなんてわからないと冷めた見方をしていた。いくら言葉を尽くしても、互いの気持ちを伝え合うのは無理なのだから、誤解は広がっていく一方なのではないか、と。だけど港くんと出会って、僕は考え方を少し変えた。
誤解とは大前提なのだ。あらゆる関係には、誤解や思い違いやすれ違いが含まれている。その中で、誤解を解こうとする過程にこそ意味があるのではないか。完壁に理解し合うことが無理だとわかりながら、その状態に近付こうとする試行錯誤こそが、誰かを思い合うことなのだと思う。
だからきっと、愛の言葉と言い訳は似ている。わざわざ「好きだよ」と口に出すのは、好きじゃない可能性を否定するため。「ずっと一緒にいたい」と伝えるのは、やがて別れる日が来るのを予感しているから。いつか港くんに長いラブレターを書くことが
あったら、きっと言い訳の言葉ばかりが溢れてしまうのだろう。
世界には無数の可能性が潜んでいて、そのどれを選んでも、おおよそ日々はつつがなく続いていく。僕たちが付き合い続けても別れても、明日は間違いなく訪れる。だからきちんと伝えないといけない。世界に二人だけしかいなければ、伝える必要のない言葉。 世界に愛という感情しか存在しないならば、わざわざロに出すまもない言世界が永遠に続くのならば、確認するまでもない言葉。
「僕、港くんのことが好きです」
「ヤマトも酔ってるの?」
「約束したじゃないですか。ちゃんと思ってることはロに出そうって」
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穏やかな恋愛小説の中に人の本質を垣間見るような文がところどころにあって面白かった。映画化されたらいいなぁと思った小説でした。
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作家さんに対してあまり良い印象がなかったものの、内容が気になって読んでみた1冊。
読み終える頃には白旗を上げて突っ伏す羽目になりました……。
全く綺麗なことなんて無い日常の中、恋人の裏切りという呪いを抱えて燻るヤマトと、芸能界の荒波に沈み、薬物に堕ちて溺れつつも危うい魅力を失わない港くんが、どちらもフィクションらしいキャラクター造形でありつつも、リアルと地続きの人間くささがあって魅力的でした。
時には旧知の友人のようで、時には恋人の一歩手前のようで。
互いにひとりの人間と人間として、距離を縮めていく様には作中何度もドキドキさせられました。
ヤマトの抱くそれは紛れもなく「恋」だろう!とどれだけ背中を押したくなったことか……。
読了後、作品タイトルでもある曲の和訳を調べて、港くんも等しくヤマトのことを想っているのだな、と改めて感じることが出来て、本当に素晴らしいエンディングで良かったです。
男性同士の恋愛、というよりも、本当に人間としてお互いに惹かれた。
そういう雰囲気が作品全体にあり、恋愛を性別ありきで語るのはナンセンスだよな、と日頃思っている身として、その点でも個人的に評価が高いなーとも思います。
今年イチ、読んで良かったと胸を張って言える作品でした。
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古市憲寿作品はすべて読んだくらい最初の作品『平成くんさようなら』から好きだが、今作が今までで1番良かった。古市さんがBL作品!?と驚いたが、もうきゅんきゅんが止まらなくて一気に読んでしまった。もうヤマトが港くんのことをずーっと好きで、「もう港くんのこと大好きじゃん!」と何度思ったか知れない。もうずっと幸せでいてほしい。
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面白かったけど、男同士のベッドシーンだけはどうも…笑 愛の言葉は言い訳に似ている、という言葉が印象に残った。寂しさや孤独も言葉にしてしまえばありきたりだし陳腐で、だけど本人にとっては切実で、それって愛も同じということかと納得してしまった。
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ロマンチックだとは思ったけれど決して綺麗事だけではなく重いとも感じた。自分が好意を持っている人に好かれるために、同じ土俵に入るために、焦って背伸びをしてしまったり、友人の突然が突然に自分に隠していたことを告白されたら、覚悟していても不自然に考え込んでしまったりすることは少なからず自分にも当てはまるところがあるのではないか、と読んでいる最中に考えていた。私は自分のこのようなところがあまり好きではないがこの物語の二人はそんな出来事も味方にしてしまう。希望を与えてくれる小説だと思う。
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わたしはお姫様ですが、要望や希望は叶わないこともあると認識した上で言葉で伝えるようにしています。これはある人のおかげでできるようになったことです。どんな相手でも自分ではないのだから言わなければ伝わりません。伝わらなければ自分の気持ちなんて叶うはずがないのです。伝えることが第一歩、叶うか叶わないかはその後です。幸せって努力して掴めるものだと思います。
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古市さんの作品を初めて読みました。
BLものとは知らずに、手に取りました。
驚きつつも、止まることなくすぐ読めました。
男同士であれ、男女であれ 恋愛する気持ちや葛藤などは同じだろうし。
キュンとさせていただきました。
ただ、登場人物は成宮○貴さんを連想させる。
脳内イメージは 完全に 彼になってましたw
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率直な感想としては、よくテレビなどでお見かけする古市さんと文章から感じ取れる古市さんにギャップがありすぎて戸惑ってる。
もう何もかもがエモい。
登場人物にとても人間味が感じられ、読後感はとても暖かい
良作。
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少女漫画のよう
平成君さようなら を読んだときも思ったけど、愛する・好きな対象を想うことの描き方がシンプルでとっても素敵
古市さんが言ってくれるとただのきれいごとじゃないと思える
洗練されたアムステルダムでの生活風景にワクワクし
甘い場面にキュンキュンし
人間関係に関する話には切実に共感できた
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この人が?筆者の印象とはかけ離れた感じでビックリ。オランダのアムステルダムが舞台。
「ニュースにはいつも続きがない」から始まる序章ともいえる書き出しから、過去を振り返る形で物語は進行する。。男女のロマンスを越えて、大切な人に捧げる大切なメッセージ。どんな形の別れであれ、「喪失」の体験をした人々の心に届く素敵な言葉でその序章は締め括られる。「君に出会えて本当によかった」。。。ふっと、これは、あの人のこと?なんて邪推はせずに。またはアムステルダムだから?なんて邪推もせずに、、社会学者らしいリサーチもあったのかと思わせる節は、さておき。。
別れと喪失を経てなお満ちている誠実な喜び、それを生きる力に変えて輝く美しさに満ち満ちた、優しい物語。
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まずあらすじを読んで買いました。
男女愛とか同性愛とかそういうの関係なしにただひたすらにときめいたり、苦しくなったりする本でした。とても面白かったです
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雲田はるこさんの装画も素敵だった。今までの古市さんのイメージが拭えなくてなかなか読み進められなかったー!舞台はオランダ。海外には行ったことないからいろいろ新鮮で、学べることも多かったです。
日本とは異なることがたくさんあって、やっぱり一度でいいから海外に行きたいなぁと思わされました。個人的には出てくる料理がおいしそうで、お腹空く話だったなぁ。
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付き合い初めの頃、相手のペースを邪魔するのが嫌だと思って連絡を控えていたら「お姫様のつもりなの」と怒られたのだ。(p133)
優雅に暮らすことが最高の復讐(p151)
異国で一人きり道に迷ったら不安で仕方がないけれど、信頼できる誰かと一緒に迷えるなら、それは心地のいい冒険だ。(p182)
本当に小さくてもいいから、いいことばかりを思い浮かべてみなよ。百個、願い事をしたら一つや二つは叶うでしょ。あのね、夢を叶えることと同じくらい、願った夢を忘れないことも大事だと思うんだよ。本当はもう夢が叶っているのに、その夢のことを忘れている人も多いんじゃないかな(p199)
同じ才能を持っている二人がいたら、勇気があるほうが勝つに決まってるんだよ。だって勇気がない人は、才能を発揮することなく人生を終えていくんだから(p209)
誤解とは大前提なのだ。あらゆる関係には、誤解や思い違いや、すれ違いが含まれている。その中で、誤解を解こうとする過程にこそ意味があるのではないか。完璧に理解し合うことが無理だとわかりながら、その状態に近づこうとする試行錯誤こそが、誰かを思い合うことなのだと思う。(p242)
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古市さんの作品、初読。わかりやすく、はいってきやすい。名台詞も多い。しかし個人的にLGDTの話題って、個人的に、ちょい苦手。