紙の本
フランス人作家マンディアルグ氏による、相反するものでありながら、それを内包するアンビバレントな人間の特性が垣間見られる作品です!
2020/05/08 10:32
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、フランスの作家アンドレ・ポール・エドワルド・ピエール・ド・マンディアルグの作品です。同書は、不思議な雰囲気が漂う二人のヒロインの会話を中心とした物語となっています。実は、二人のヒロインは、女優的側面と娼婦的側面を持つことに気づ付き、前者が後者の性質を内包していることを知ります。そして、女優は理性と言い換えられ、他方、娼婦は本能と言い換えられて、両者ともに対の関係となっていきます。 相反するものでありながら、それを内包するアンビバレントな人間の特性が垣間見られる作品です。
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古典新訳文庫からマンディアルグ。
マンディアルグというとやっぱり生田耕作、澁澤龍彦の両巨頭のイメージが強烈ではあるが、中条省平訳も決して悪くはない……というか、『ねちっこい』雰囲気が漂うマンディアルグって相当レアなんじゃないだろうか。案外このねちっこさ、癖になるよ。
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20世紀フランスの作家、
アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ(1909-1991)
最晩年の掌・短・中編をピックアップした新訳版。
信頼という名の暗黙の了解が粉砕され、男を打ちのめす物語。
某か自分の思い通りに運ぼうと策を巡らし、
上手く行くかに見えても、
最後は肉体的あるいは精神的に
ひどいダメージを食らう男性の姿が描かれているが、
彼らは衝撃を受けつつ、
もしかしたら最初からカタストロフを予見していたのでは……
という疑念も湧いて来る、
そんな“カッコつけた”道化師が演じる悲喜劇といった趣の、
捻じれたダンディズムに彩られた作品群。
■クラッシュフー(Crachefeu)
白水uブックス『薔薇の葬儀』(田中義広=訳)で既読。
タイトルは「火を吐くもの」の意で、spitfireの仏語訳。
ここでは英国トライアンフ社の2シーターオープンカーの
スピットファイアを指す。
国有林の視察が職務の技術長、
森林管理官ブラン・ド・バリュは、ある日、
愛車クラッシュフーで森を走っていて、
自転車を漕ぐ少女に遭遇――。
彼女の不吉な夢が現実化し、彼を打ちのめす。
突発的な性愛と理不尽な死の交錯という不条理劇。
■催眠術師(L'Hypnotiseur)
港町で《四百羽の兎》という名のバーに入った
ティテュス・ペルル。
ホステスに勧められるまま強い酒を呷り、酩酊したが……。
■すべては消えゆく(Tout disparaîtra)
パリの地下鉄で出会った男女、
ユゴー・アルノルドとミリアム・グウェンは
恋愛や性に纏わる会話を、衒学趣味を交え、
オブラートにくるんだような芝居がかった物言いで
繰り広げつつ、街を歩く。
散々焦らされたユゴーは
とうとうホテルへ行こうと切り出したが、
ミリアムはもっと特別な場所があると彼を誘い……。
タイトルは地下鉄構内の《Tout disparaîtra》
=「全品一掃処分」というセール広告の決まり文句に
由来することが途中でわかるので、
男女が互いに関係を深めると見せかけて
回りくどい話を続けながら
結局何も起こらないのかと思って読み進めたら、
途中でガラッと様子が変わって
淫蕩かつ残酷な展開になり、ギョッとした。
ミリアムが電話の相手に「はい……はい……」と
返事するだけ(p.218-219)の数行がシュール!
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評価しずらい作家だよなあー。大げさ、なのかな?なんか共通して、自分等の世界没頭、優先で、周りの世界が見えてない観が濃厚で、そこは牽かれるというか、退かれる所?エロ部分に関しては、女が極めて好き!というより、己の男根、または男性性に違和感、コンプレックスを感じている故の、振りほどく?破壊願望?みたいなのを感じてしまった。多分日常に芸術性を導入すると、皆こんな感じになるのかなー?