紙の本
たまもかる
2020/12/10 19:47
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
「からころも」が面白く、続きも気になりました。助松が可愛らしく健気で、しづ子とのやり取りの中で一緒に万葉集を学べるところが好きです。
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日本橋の薬種問屋・伊勢屋に小僧として奉公する助松と、お嬢様のしづ子、陰陽師の葛木多陽人が万葉歌にまつわる謎を解くシリーズ、第二弾。
大岡忠光、田沼意次という歴史上の人物を絡ませながら、今回も万葉集の世界と暗号ミステリを楽しめた。
助松としづ子お嬢さんの真ん中の年齢の、武家の若君・加藤千蔭(ちかげ)の登場で、少年探偵団的な雰囲気も楽しめる。
教養もあり勇気もあるのにオカルト的な物がちょっと苦手な千蔭ほほえましく、前巻では泣き虫だった助松が意外にも、年上の千蔭より冷静だったりと成長が見えて嬉しい。
お嬢さんも硬さが少し取れ、おおらかさもそなえて大人の女性に近づきつつある。
それにしても!大五郎さん拐われたり囚われたりしすぎ!
姫か?姫なのか?!(笑)
いらぬ隠し事が、他人から疑いを持たれる元となり、周りの人たちをも危険に巻き込む、と年上の大五郎さんを諫める多陽人、大物感漂う。何者なのか。
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「からころも」に続く<万葉集歌解き譚>シリーズ第二作。
油問屋兼薬問屋<伊勢屋>のお嬢様しづ子が和歌を習っている賀茂真淵の家に泥棒が入った。真淵は将軍・家重の弟である田安宗武にも和歌を教えているのだが、三日前のご進講の際に自分のものではない『万葉集』を二冊持ち帰ってしまったという。
そこにはひらがなだけの万葉集十二首と干支と漢数字だけの怪しげな符牒が書かれていた。泥棒はこれを狙ったのか。
主人公の小僧・助松の父親・大五郎失踪事件のその後を知りたくて続編を読み始めたのに、今回は賀茂真淵師匠の泥棒事件から始まった。
そしてシリーズ名通り、今回も万葉集の和歌が謎解きの鍵になるらしい。
例によって陰陽師で狂歌師の葛木多陽人を頼ることになるのだが、この事件これで終わりではなかった。
多陽人の元には別の依頼も持ち込まれるのだが、その依頼者は何と若き田沼意次。この時は将軍・家重の小姓らしい。
更には何とまたまた大五郎が何者かに連れ去られてしまう。
また父親が行方不明になるなんて、不安でいっぱいの筈の助松だが前作とは違って表向きはしっかりと働いている。
そしてお嬢様のしづ子も前作とは違って落ち着きが出ているように感じる。何かと多陽人に突っかかっていたのが素直に悩みや疑問を口にしたり、引くべき時は引くこともしている。
そして助松には新しい出会いがある。真淵の住まいとして敷地の一部を貸している武家の息子・加藤千蔭だ。
助松より三才年上で、やはり真淵の弟子。最初、千蔭はしづ子に想いを寄せているのかと思っていたが、段々しづ子よりも助松と意気投合している。
武家の息子で今回の事件にも謎解きにも意気込みは強いが、実はお化けや幽霊の類が苦手らしい。
肝心の謎解き部分については暗号ものみたいで面白かった。千蔭も良いところまでは到達していたのだが最後がちょっと惜しかった。
そして私が前作から気になっていた、大五郎の秘密の部分について。
その秘密を偶然知ってしまったしづ子も大五郎に対してモヤモヤしたものを感じていたので、助松のためにもスッキリして欲しいと思っていた。
多陽人が言うように『人には隠しごとの一つや二つ、あって当たり前』なのだが、それも場合によっては『要らん心配を生むもとになって』しまう。大五郎もそのために危険な目に再び遭ってしまった。ただそれを明かしていい時、明かしていい相手を見極めないと思わぬ結果になったり傷つけたくない人を傷つけたりしてしまう。
最終的にはホッとするところが多かったが、これで全て解決と言っていいのかどうか。<伊勢屋>の商売は安泰と言えるのか。
これからも田沼や『山富さま』なる謎の人物との絡みがあるのかどうか。
助松は和歌の道に行くのか、父・大五郎と同じように薬の道に進むのか。
しづ子の想いを多陽人は受け止めるのか否か。
まだまだ気になるシリーズ。
※「からころも」レビュー
https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4094067728#comment
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万葉集の和歌に隠された暗号を解くのがメインだが、ついていくのに精一杯。冒険部分もあるが、助松もしづ子も思慮深いので安心して読める。この話は田沼が善人風だが、このままいくのかな。
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万葉集という、私にとって興味なくはないけど、とても遠いところにあった物を、身近に感じさせてくれる、貴重なシリーズ。
江戸の人々が、万葉集を読み解き、それにまつわる事件を解決してゆく。語り手が素直で健気で賢い子供なので、ほっこりするところもあり、基本的に周囲の人々も優しいので、世知辛い気持ちにならず、癒しがある。
この「たまもかる」は第二弾で、様々な雰囲気の歌が登場する。この登場人物たちのように、一首一首を覚えたりはできないけれど、古の暮らしに思いを馳せる、江戸の人々の暮らしにも思いを馳せる、という、二段階のタイムトリップを味わえる。
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今回は田沼意次が出てくる。
薬種問屋に務める親子は実は富山藩の脱藩もの。
子供は最近まで知らなかった。
田安家と将軍のお側係、田沼と同じ将軍の後見をする大岡が毒殺の危険を晒される事件が絡んでくる。
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万葉集歌解き譚 シリーズ2
日本橋「伊勢屋」は、油問屋に薬種問屋を兼ねる大店である。伊勢屋には、しづ子という17歳の娘がいる。
しづ子は和歌を好み、国学者として知られる賀茂真淵の弟子でもあった。
伊勢屋の奉公人・助松は、伊勢屋で手代として働く父・大五郎が、かつて陰謀によって富山藩を脱藩した侍であるとついこの間知った。
真淵の家に盗人が入り、万葉集の写本二冊が盗まれた。
将軍家重の弟・田安宗武に万葉集を講じた後、間違えて持ち帰った、他人の写本だった。
今回も、助松、しづ子と、陰陽師の葛木多陽人が、万葉集にまつわる謎を解き明かす。