ハルビンと西湖が繋がらない
2021/04/21 04:50
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回の小説は、批判の方が多いかもしれない。
100歳の老人施設で起きた殺人事件を追う刑事と施設で働く女達。
そして殺された老人の過去が第二次世界大戦のハルビンに繋がる。
そして白衣を着た少年たちの存在。
落ちていく女と刑事。
読んでいて面白いし、引き込まれるのだが、やはり繋がりに無理がある様に感じる。
凄いものを読んでいるように感じられるが、ミステリー小説としては納得感が得られない、残念だが。
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投稿者:タタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラストが突然でなんとなく今まで伏線に感じられていたものが回収しきられることもなく終わってしまった感じでした。
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なにこれ、、ひどいな。え、吉田修一どうしちゃったの?
男の性欲という性欲を剥き出しにしてる感じ…なんか自嘲小説というか、AVみたい。気持ち悪い…あ、当方女です。いくらなんでも無理矢理すぎない?
こんなのが警察って。なんか全てむちゃくちゃ。
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どうしても幸せになれない
というか
あえて不幸を求めてしまう男と女の関係が
ひりひりと痛く、せつなく
やるせなかった…
けれど、問題と
「薬害事件」「七三一部隊」「障害者殺傷事件」等
たくさんのヒントをばらまいて
回収も答え合わせもせずに終わってしまった。
なぜ?どうして?何が?
最後まで「?」が残った。
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表紙が描いている場面を理解した時、犯人が解った時、2回ゾッとした。
映画化するなら園子温が良いと思う。
佳代は神楽坂恵で。
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この作品のレビューは私にはとても難しく思えました。
何を訴えているのかよくわかりませんでした。
父と二人暮らしの独身女性の豊田佳代の勤める介護療養施設「もみじ園」で起こった、100歳になる入居者で、元京都大学の教授、市島民男が人工呼吸器の誤作動で死亡します。
その事件を中心に、出来事が語られていきます。
タイトルの『湖の女たち』というのは琵琶湖付近で起きたことであり、過去の人間関係を探っていくと、市島民男が若いころ、妻の松江と暮らしていた終戦前の満州の湖にたどり着きます。
事件を追う刑事たちは「もみじ園」に勤める松本郁子を犯人にでっちあげようとします。
そして刑事の濱中圭介は娘が生まれたばかりですが、佳代にとある執着心をいだきます。佳代の方は最初はもちろん相手にしませんが、濱中の要望に応えて二人の間にはかなり歪んだ性的関係が生まれます。
一方、民男の妻の松江は、満州での二人の子供の湖での死亡事件を思い出しています。
そして、物語は一転、「もみじ園」と同じ地区の老人介護施設で同じ手口の事件が起こります。
犯人は誰か他にいる。他にいる犯人は誰なのかと思うと非常に怖い話だなとは思いました。
小説の非常に巧な吉田修一さんの作品なので、期待して読みました。
同じような系列の話としては、以前に読んだ『さよなら渓谷』などを思いましたが、あの話には訴えるものがありましたが、この作品の刑事の濱中と佳代との歪んだ性的関係が、一体何を意味するものなのか、よくわかりませんでした。
狂った人間の不気味さと不穏な空気感が際立つ話ではありました。
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人間には二種類いる。堕ちたいと望むヒトと、堕ちることを望まないヒト。後者は多分、普通に生きている多くの人々。
なぜ、自ら堕ちていくことを望むヒトがいるのか。堕ちた先に何を求めているのか。堕ちていくときヒトは何を思うのか。
吉田修一はいつも自ら堕ちていくことを求めるヒトの業を描く。情け容赦なく描き出す。
業の中にある狂気。狂気のはざまにある愛。そこにはうかうかと手に取ったことを後悔するような痛みがある。
実際に起こった二つの事件をモデルに、湖のそばで生きる女たちの選んだ道が描かれる。
その道を選んだ理由も意味も、誰にもわからない。多分、本人たちにさえも。
うっすらとした怖さが残る、凛としたラストの風景。そこにあるものを知りたい、でも知るのが怖い。
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琵琶湖を舞台に、介護療養施設で100歳の男が殺され、別の事件を調べていた週刊誌記者が、その過程に殺された100歳の男が浮上し、何か繋がりがあると、旧満州のハルビンに辿り着く・・・と、凄く面白い展開になってて、ワクワクしながら読み進めていたのに、結局2つの事件に関係性はないのか、真相がわからないままに終わってしまって、私にはがっかりの作品でした。
しかも、刑事である圭介と、最初は主人公なのかな?と思った佳代の関係は一体なんなのか?この作品に必要なのか?イマイチ理解できませんでした。
この作品の読み方が、私にはわからないのでしょうか?
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松本清張作品を彷彿させるような人間の欲望や社会をうまく織り交ぜたミステリー、エロスなどを取り込んだ作品で、なんとも言えない重厚感を味わいました。
100歳の男が死亡した事件。これを皮切りに様々な人間たちの渦巻く欲望が交差していきます。
基本的には3人(途中もう一人加わります)の視点を入れ替えながら、進行していきます。
一人目は、介護士の豊田佳代。死亡した男がお世話になっていた介護施設で働く。恋人はいるが、冷めた関係である。愛を感じない日々だったが、ある事を境に刑事と求め合う関係になっていきます。
二人目は、刑事の濱中圭介。死亡事件を捜査する刑事。妊娠中の妻がいるが、ある事がきっかけで、介護士と不倫してしまう。
三人目は、記者の池野立哉。最初は別件で取材をしていたが、段々と死亡事件と繋がることに。
序盤は死亡事件の捜査なのですが、次々と予想もつかない展開が出てきたので、世界観に引き込まれました。途中まではこれって「湖の女」じゃないの?と思うくらい、題名に違和感がありましたが、後半から増えていくので、意味合いがグッと深まっていきました。
今の状況では満たされない欲望が、これでもかと描かれていて、個人的には理解に苦しみました。
不倫に至るまでの道のりが唐突過ぎて、これで発展するんだと衝撃を受けました。欲望の果てに見える「愛」の形は、当事者にしかわからないものであり、理解不能でもありました。
「愛」を描くだけでなく、事件としても欲望が渦巻いていました。真実がどんどんねじ曲げられていき、あたかもそれが真実かのように変換していく。自分を守るために人間の本性が次々と表れていくので、腐っているなと思ってしまいました。
全体的に不穏な空気感で、嫌な気分にもなりました。
上手い具合に現実に起きた出来事や発言を取り込めながら、作品と融合しているので、リアル感もありましたし、重厚感も感じました。
事件はどうなるの?と思いながら、読んでいましたが、最終的には・・・ちょっと残念かなと思いました。
真相は闇で、なんとなく分かるような真相でしたが、個人的にはっきり示して欲しかったなと思いました。
そういった意味では、同じ作者の「犯罪小説集」を読んだ後味に似ていました。
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湖の女たち
吉田修一さん
湖の描写がすごい
冤罪を生む仕組みが、よくわかった。
こわい。
刑事の圭介が気持ち悪い
最後だけ良かった
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事件は介護施設で起きた、医療事故を発端
とした人間模様。
推理物とも言えるし、刑事と事件のあった
介護施設の女との異様な関係や田舎特有の閉塞感
そこにある美しい湖の周辺で起きる不自然な死
そして、歪な人間関係。
湖の魔性の様な美しさに引き込まれ、また癒し
を求める人間の狂気。
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2.8
序盤の期待感に反して、
今ひとつ盛り上がりに欠けたまま終了。
怖いぞー怖いぞーと脅され続けて、あれ?終わり?というお化け屋敷みたいな…
731との繋がりもまた然り。
刑事と女介護士の絡みに至っては、まあ、そういう趣味の人もいるのは分かるが、
怖さよりもバカさが先に来て…
琵琶湖畔の介護療養施設で起きた入居老人の不可解な死亡事故。
装置の故障か、あるいは看護側の過誤なのか…
警察はより崩し易い介護士の犯行へと捏造を図る。
その一方で、担当刑事と女性介護士の間に生まれた爛れた関係は徐々に常軌を逸して行く。
過去に塗り潰された薬害訴訟の取材で訪れていた週刊誌記者が偶然に気付いた二つの事件の接点…。
取材を進めるうちに被害者老人の妻によって語られる関係者の過去。
徐々に浮かび上がる、背後に潜む巨悪の影。
そして物語は第二次世界大戦時の満州へ…
戦時下に於ける人間のクソ話は数あれど、
群を抜いて醜悪なものの一つ…731部隊。
時を経て白衣の少年達は…
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吉田修一の新作はSMミステリー小説??琵琶湖のほとりにある介護施設で、百歳の入居者の人工呼吸器が止まって死亡した。事故か故意か?担当の警察官、圭介。介護士の佳代。週刊誌記者の池田。3人の人生が交錯する。やはりSとMというのは、磁石のN極とS極のように本能で惹かれ合うのだろうか?ちょっとよくわからない世界だ。サディスティックな圭介とマゾな佳代。互いにあるのは恋愛感情なの?理解不能だし、その辺の描写は不快にすらなる。ミステリー部分もちょっと浅い気が。本全体を包む淀んだ空気感は流石だが、好みではないかな~。
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介護施設で百歳の男が亡くなった。機械の故障か、殺人か。警察小説のように進むのかと思えばそうではなく、ミステリーであるけれどその奥に男女の狂気のようなものがあったり、途中で語られる旧満州ハルビンでのある家族の生活。色々な方向に伸びていきながらもつながりがみえてくる展開が面白い。
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療養介護施設の殺人事件をきっかけに出会う刑事と介護士が倒錯した関係に落ちて行く様と、殺人事件にまつわる過去の出来事を追う記者のストーリーが絡み合いながら進む。
ちょっとありえないような展開から男女がインモラルな関係へ発展していく様は、自分にはリアリティに欠けるように感じた。吉田修一の作品は、善人であれ悪人であれ、その人生や生き方になにかしら共感を感じる作品が多いのだが、この作品の主人公の男女には正直共感できる部分があまりなかった。また、途中まではミステリー仕立てになっているのだが、その部分も十分に回収されず、消化不良に終わった。
本作は作者が新しい表現方法を探そうした実験的な作品のように思う。