0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
史実に基いた話で、実在の人物や事件が描かれており、名前しか知らなかった歴史を知ることが出来ました。
作中に詳しく書いてなくても、読みながら調べました。
それほど興味をそそるお話でした。
主人公が下級武士出身である事から、庶民に近い目線で描かれているのも魅力です。
事実の羅列ではなく、人の心の機微もしっかり描かれている小説でした。
紙の本
何故なに尚七
2020/12/01 09:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
古河藩の下級武士の小松尚七は雪の欠片を探したいたところ、鷹見十郎左衛門と出会う。尚七の学問に対する探究心を見出した十郎左衛門は土井家の当主・利位の御学問相手に尚七を抜擢する。
下級武士に生まれた尚七が殿の御学問相手にへと出世して見たものは何か?
学問にしか欲がない尚七の純粋な生き方を羨ましいと思う。好きな学問に打ち込む姿は微笑ましくも思えた。ただ政治や経済絡みは全然みたいなので、大きな出世は無理だったのでしょうね。
投稿元:
レビューを見る
「何故なに尚七」というあだ名の下級武士の目を通した話。主要な登場人物は実在した人物とのこと。
雪の結晶「六花」に魅せられた尚七が、藩の上級武士の鷹見忠常と出会い藩主のお学問相手となる。
鷹見忠常を通して蘭学などを学ぶ尚七。ただひたすらに学問を探究し、権力に媚びることもなく俗にまみれることもない。いつまでも真っ直ぐな心を持つ。
立場上孤独で、時として非情な決断もしなければならない藩主や忠常は、そんな尚七を心の拠り所とする。
投稿元:
レビューを見る
六花…雪華の学問的探求にのみ
目を向けていられたら。
そう嘆息したくなるほどに
後半はきな臭く血生臭い。
それが人の世の常とは理解しつつも
大らかな人生を生き通すことのできる
世の中であってくれたら…と泣きたくなる。
この作品に 雪華の美しさは感じない。
人が背負う業というものの過酷さをただ思う。
「おまえは、そのままでいろ」
二度そう言われた何故なに尚七でさえも
民の置かれた境遇に
心揺らがざるわけにはゆかない。
真の学問は 人の生き死にや幸福とは
無縁のものであったか。そう感じさせられる。
学問は力弱く 時代の求めと弾圧の繰り返しで
その多くの本分は歪められてきた。
歪まぬ学問は 生き残れぬ。
私はこの作品を こう読み解いてしまった。
読み終えて今 殺伐たる心境にある。
投稿元:
レビューを見る
江戸時代を舞台に、知ることへの欲求に生きる男の物語。
「何故なに尚七」というニックネームをもつ彼がこの時代にヨーロッパから持ち込まれる先端知識に対して興奮する様子が純粋で良い。
後半は政治的にきな臭い部分が多くなってきて、この時代には仕方がないこととはいえ、もともとのトーンで終わっても良かったかも。
投稿元:
レビューを見る
ゆっくり、どこかほのぼのとした前半から一転、シーボルトがやってくると一気にキナ臭くなってくる。
凶作を発端に、忠常に対する尚七の思いが変わりはじめ、暗雲がたれこめる・・・ようやく出来上がった雪華の書物が評判を得たこととの落差もあり、理想と現実の差、外国との差、といったことにイメージが繋がっていく。雪華の記録が冬の厳しさを表し、それが凶作と関わることの非情さと、政治の非情な面も絡まり合う。
主君にも重臣にも苦労があり、ヒラの尚七がそれを受け止めているのは特殊な環境にも思えるが、忠常が後々言うように「国許の民百姓に、もっとも近いところにいた」からこそ側においていたのだと知ると、忠常にも情がわいてくるな。と、いうか、歴史的には忠常が主人公なんだな。
シーボルト事件で思い出す読了本は「先生のお庭番」(朝井まかて)。
投稿元:
レビューを見る
第一話 六花邂逅 第二話 おらんだ正月
第三話 だるま大黒 第四話 はぐれかすがい
第五話 びいどろの青 第六話 雪の華 最終話 白炎
藩主と重臣と共に雪の様々な結晶を記録していく尚七。時は幕末、否応なく世界へ開かれていく日本にも育っている学ぶ心は、身分や役職に縛られて純粋に楽しめるものではないかもしれない。それでも彼はそれぞれの時とそれぞれの立ち位置をそれなりに楽しんでいる気がする。おごるでもなく恨むでもなく飄々と。
投稿元:
レビューを見る
202107/とても美しいタイトル。面白かったけど、シーボルトや大塩平八郎のあたりできつい展開になって史実的に仕方ないとはいえ、読後感がちょっと…。
投稿元:
レビューを見る
古河藩郡奉行配下で物書見習いの小松尚七は「何故なに尚七」と異名を持つほど、好奇心の強い青年であった。
ある日、声をかけられた相手は「土井の鷹見か鷹見の土井か」と言われる程の逸材・鷹見忠常であった。
藩主の若君の御学問相手となるよう請われる。
雪の結晶に魅入られた主従は、大黒屋光太夫・シーボルト・間宮林蔵・渡辺崋山・大塩平八郎などとの関わりを持ち、やがて、時代は、幕末へと向かっていく。
尚七を見出し「お前はそのままでよい」と側に置いた、忠常や藩主・利位は、余程人を見る目があったのだろう。
投稿元:
レビューを見る
武士の話だったけど、重々しい語り部に武家社会の様を堂々と書いてあった。善人長屋とは違う語り部に、どんな風にでも出来るのだなあと、ファンタジーでもよく出来てるし、もう全て読み切れて満足しかない。直木賞だけじゃない既にたくさんの賞がある。底が見えない、まだまだ楽しい作品に出会えるのだろう自分