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読み終えてみるとタイトルの「ふだん使い」がすとんとくる。著者と同様、言語学徒として学んだことが日頃の言語活動になにかと役に立っている立場なので、一般読者としての評価・感想はむずかしいが、入門書としてはよみやすくわかりやすく、高校生、大学生のあいだに(つまり社会人になる前には)一度はであっておいてほしい「(理論)言語学」のおいしいトピックがぎっしり詰まっていた。
言葉(空気にように当たり前にあやつれる母語)がわかったりつたわったりするしくみを意識してじっくり学んだり、自他の言葉遣いの異同をどのように捉えればいいか考えたりする機会は、現況では高校までの国語や英語、大学の語学のクラスでもほとんどないけれど、言語学を学べば学ぶほど、こういうちょっとした知識抜きでコミュニケーションや語学に困難を感じたり失敗したりしているなんてほんとにもったいないなと思ってしまうので、こういう本がたくさんの人に読まれてほしいけれど、どうやって布教すれば伝わるんだろう…(選書を手に取る層は読書人口の中でもかなり限られてしまいそうだし…)
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川添さんの本2冊目、これも非常に面白かった。挙げられている例文が尽く面白く、都度ハッとさせられる。私達がもつ当たり前に脳内で(都合よく)変換する脳内母国語スキル!中学生くらいの文法のテキストにもいいと思った。
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日本語って、
面倒くさい。
でも、面白い。
自分の文章を添削される時、
相手が何を直せと言ってるのか分からない人は、
読んでみるといいのではないかと思う。
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理論言語学を修めた著者が、日本語を書く上で歪み捩れのないわかりやすい文を書くにはどうするべきかを解説してくれる。
でも、意味の取り違えのないわかりやすい日本語を書くなら本多勝一の日本語の作文技術をお勧めする。彼の主義主張には賛同しないが、この作文技術は読む価値がある。
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言語学とタイトルにつく本を何冊か読んでみて、いまだに言語学という広い範囲に何が含まれているのかつかみきれていないのだけれど、この本は言語学の中でも理論言語学のエッセンスを集めた本のよう。
川添愛さんの著書はこれまでにも何冊か読んでいるけれど、わかりやすく平易に説明する技術に長けた方だなと感じる。
この本も、これまでのものより専門的な本なのかなと思っていたら読みやすいので一気に読めてしまい、あまりに駆け足で読み進めてしまったので、きちんと理解できているのだろうか…?と首を捻りながらページを捲ると、第4章に出てくる総復習的な練習問題で「わかるぞ…!」と、意外としっかり内容を理解できていたと達成感を得られる。まるで進○ゼミのような本。予想外に実用的で驚いた。
「ふだん使いの言語学」というタイトルが表すとおり、日常的に言葉を扱う場面で役に立つ知識を中心としてまとめられており、専門書というよりは実用書のような手触り。作文技術に特化した本というわけでもないのできっぱり実用書的な内容を求めるひとには物足りないだろうけれど、言葉のしくみや理論の解説が多めなので言葉遊びが好きな人間には考えたり想像したりしながら読み進められて楽しい。
言語学の学習者ではないので、どの程度専門的な分野に触れられているのかはわからないのだけれども、専門外の人間にとって興味を持ちやすい部分が厳選されている気がする。
これを足掛かりにもう少し詳しく言語について掘り下げたいなと知識の扉を開く入り口としてちょうど良いかも知れない。
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数多くの例題があり、楽しみながら日本語の感覚を確認できた.*や?の付いた文は著者の通りの違和感を持てたので、良しとしよう.「置き換えテスト」や「入れ替えテスト」を活用して、更に感覚を磨きたい.p213で紹介のあった「少納言」は早速活用を始めている.
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改めて、”母国語”と言うのは、すごいものだな、と思った。
言語学の本を読んだ後で、この感想とは、自分の語彙の無さに呆れてしまうが、でもやっぱり、すごいのだ。
著者が理論言語学の研究対象が『私たちの無意識の言語知識である』とおっしゃっているのだが、この”無意識”と言うのが、日本語を母語としていない人にとって、いかに難解であるか。本書の中で、沢山、具体例が上がっており、それを改めて著者の解説とともに読むと、こんな曖昧なこと・膨大な量を、日々の会話で瞬時に判断していたなんて、と驚くのだ。
・・・とここで一旦ブレイクし、面白かった具体例など、かなり長文で記入し、更新をかけたらエラーになって追記した部分が全部消えた(涙)さすがに再度書く気にはなれず断念。再読の機会があれば、また気になったところを書き残すこととしたい。
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著者Twitter: @zoeai https://twitter.com/zoeai
文春オンライン(2021.12.3):
#1「俺は海賊王になる」と「海賊王に俺はなる」の違いとは? 言語学者が分析する『ONE PIECE』の名台詞にみる“文章術” https://bunshun.jp/articles/-/50090
#2「全然オッケー」は日本語としておかしい? 気鋭の言語学者が抱く“言葉の乱れ”問題についての“違和感” https://bunshun.jp/articles/-/50091
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もっと早く読んでおけばよかった言語学の本。「背景的な意味」「会話的含み」「ゼロ代名詞」「かきまぜ文」などの提示の方法が新鮮で、どれも納得させられた。置き換えテストでの「二つの東京ドーム」のツッコミと、他人との意見の不一致での「タピる」が特によかった。「笑えない冗談」のあたりも、やはり言葉の持つ背景的意味の怖さを解き明かしてくれている。全編を通して掲載されている例文やテストのクオリティが高く、解説もたいへんわかりやすい。付箋33枚!
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『言語学バーリ・トゥード』が面白かったので読んでみた。しっかり言語学の内容もあるのに言語学を一切知らなくても簡単に理解できるようになっている。言語学界隈はやっぱり怖いなぁ。笑主語の大きさに注意
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ふだん何気なく使っている「言葉」。そうして何気なく使っているのに、うまく使いこなせなくて困る「言葉」。なぜ使えるのに使いこなすのは難しいのか。
まえがきによればこの本は『理論言語学の入門書ではない』とのことだが、無意識な言葉の操作というのはどういうことかを言語学の観点から解きほぐす内容となっている。
この本の意図するところは『自分の中の「無意識の知識」を意識し、その中にみられる傾向や法則性をつかむことだ。そうすることで、「他人が自分の言葉をこのように解釈するかもしれない」とか、「自分のこの言い方は不自然に聞こえるかもしれない」などといったことに気づく機会が増える。そうなれば、別の言い方を考えたり、用例を調べたり、他人の意見を参考にしたりする機会も増え、状況に合った「最適解」が見つかる可能性が高くなる。」
つまり「正しい言葉」を学んでマウントを取る、ということではなく、より謙虚に言葉と向かい合うきっかけを作ることを意図している。「言葉と向かい合う」ためのヒントとして、ふだん使いの言葉の要素を理論的に分析し、一般的に自然に正確に伝わりやすい言葉・文章とはどういうことか、が考察されており、興味深い。
意味とはなにか、文法とはどういうことか、その無意識にうまく解釈を重ねていく自然言語の奥深い世界に触れると、人工知能における”ふだん使い”に耐えられる言語処理の困難さにも気づかされる。
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普段意識をしない言葉使いや、言語化して説明が難しい話し言葉、書き言葉を丁寧に解説された良書。専門的な内容を一般の人にわかり易く伝えて頂くことに徹してあり、文章1つ1つが極めて丁寧に記述されている。後段に「言語の難しさはその知識が個人的なものであると同時に公共的なものである点」との視点には大いに感服した。著者の1ファンとしては短い「あとがき」からも本書に対する好意が増した。
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日本語の難しさを言語学の観点から説明されていて興味深かったが、素人の私は内容が膨大すぎてちょっと飽きてしまった
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なぜSNSで炎上が起きるのか、その傾向と対策の書としても読めるが、ことばの演習課題がきっちり提供されているので、数学や物理の教科書に取組むような覚悟がいる。
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第一章:無意識の知識を眺める:意味編、第二章:無意識の知識を眺める:文法編、第三章:言葉を分析する、第四章:普段の言葉を振りかえる。理論言語学は、私たちの頭の中にある言語に関する知識を研究対象としてるという。言語の知識とは文法のことかと考えたけど、本書を読み進むうち、それだけではないことが分かってくる。学校で長いこと国語の勉強をしてきたけど、文法に強くもならないし、漢字も今ではもう忘れているものが多いありさまである。でも、日本語の知識は様々な形態で頭の中に蓄積されていたのだと思う。本文の文例で、それはちょっと不自然だぞ、とか、そうは言わないな、などと感じるのはその蓄積の賜物なのだろう。ところが、その知識をこれだと取り出すことは難しい。本書を読んで初めてそういった知識の上で日本語を使っているのだということが分かった。