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紙の本
進化の始まりの少年たち
2021/03/19 00:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kaya - この投稿者のレビュー一覧を見る
鳥肌でした!
壮大なテーマにページをめくる度に驚き、引き込まれていきました。
前知識なしの状態で読み始めましたが、結果としては
ともかく衝撃的で、先入観なしで読んでみて正解でした!
※以下ネタバレございます、ご注意を。
物語の舞台は平和な現代の日本。
そんな世界に生きる高校生の喬織人は温和で善良、好奇心旺盛で
勉強はとても出来るけれど、それ以外はいまいちパっとしない地味な男の子。
織人はある日、クラスでも目立つ存在で、淡い憧れを抱いていた
西央凛々斗からむせ返るような“いい匂い”を感じ取ります。
疑問に感じながらもそれほど気に留めずにいると、
その後、体育の授業で体調の悪そうな西央に気がつきます。
熱を帯びた目つきに、荒い呼吸。
意識朦朧とする西央を保健室に連れて行こうとする喬でしたが、
逆に体育倉庫に連れ込まれ、濁流のように溢れ出した西央の“匂い”に
抗うこともできず、欲情した二人は身体を重ねてしまいます。
落ち着いたと思えば、またぶり返し、一向に回復しない西央に
喬は体調が治るまで体育倉庫で過ごすことを提案します。
そして、その日からの7日間、そこは二人だけのエデンとなります。
何度も性欲が治まるまで、まるで動物みたいに行為を繰り返す喬と西央。
理性は掻き消され、そこには愛の有無も男同士への抵抗もありません。
ただただ衝動に突き動かされるままに、昼も夜も関係なく、抱き合い続けます。
終始盛りっぱなしなので、絡みの頻度はかなり高めですが、
身体の繋がりを通して、それまではただのクラスメイトだった喬と西央が
戸惑いを共有し、すれ違い、互いの知らなかった部分を知ることで、
心を近付けてゆく過程も描かれ、じれったさや甘ったるさも堪能できました。
複雑な家庭事情を抱え、見た目の明るさに反して繊細な西央と
そんな彼の本当の心の内を知り、力になりたいと思うのに、
上手く気持ちが伝わらずモヤモヤする喬など、二人の内面まで
しっかりと掘り下げられていて、キャラクターも魅力的でした。
あるとき、喬は自身と西央の身体に
“変化”が起き始めていることに気がつきます。
それは自分だけが感じられる西央の身体から香る“いい匂い”に始まり、
とめどなく溢れ出す性欲、まるでテレパシーのように西央の感情や思考が
わかってしまうこと、イヌ科の亀頭球のように変形する性器etc…
心当たりのある方だと、あ!と気付いてしまいそうな変化ですが…
彼らは自分たちの変化を自覚をしてはいるものの、
その変化が何によるものかをまだ知りません。
本能では求め合い、どうすべきかわかっているのに、
彼らにとってその衝動は未知のものであり、まだ名前のないもの。
ただただ、それまでと変わってゆく自らの姿に戸惑い、葛藤し、
その正体を探ろうとしています。
そして、上巻のラストで喬は自分たちが引き寄せられ、
発情してしまう現象を“ヒート”と名付けます。
そう、これは“オメガバース”のはじまりの物語だったのです―。
気になるところで終え、下巻へ!