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紙の本
「坂の上の雲」の時代、ロシアの後方を攪乱せよ!「機密費」が国を救った! - 明石元二郎と同志たち
2009/12/07 16:11
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHK大河ドラマ「坂の上の雲」が始まった。日露戦争を中心とした明治日本の興隆期が舞台である。
同時期に欧州を拠点に、ロシアの後方攪乱工作で大活躍したのが、情報将校・明石元二郎大佐である。
本書の類書に、豊田穣著『情報将軍 明石元二郎』光人社NF文庫がある。こちらは、明石が欧州の現地で調達した美女と共に諜報工作を展開する様子が詳しい。
一方、本書は趣がかなり異なっている。詳述するポイント・場面がかなり違っていて、両書はまるで別々の人物の活躍を描いたようだ。
もっとも、明石の欧州での工作活動は5年近くにもなる。その全容を一冊で著すことの方が困難かもしれない。何れにせよ、両方併せ読むと興味深い。
さて本書では、欧州で最初の赴任地であるパリを中心とした工作活動はほとんど割愛され、いきなりサンクトペテルブルクへ移っている。
そして、シリアクスやカストレン、デカノージら、反ロシアの同志・協力者たちとの共闘の様子が詳しい。それから、ロシア側との諜報合戦も烈しいものがあった。現実に二重スパイもいた!
明石工作は決して順調ではなく、多くの不手際や行き違いもあった。
しかし、欧州で明石たちが蒔いた火種は、結果的にロシア後方で燃え広がった。ロシアは戦争の継続が困難になり、日露間で講和が成立したのである。
ところで、明石工作には政府の機密費が使われた。反ロシア派組織への資金供与、彼らの武器の調達など、今の価値で何億円という単位で日本政府の機密費が何度も投入されたのである。それが結果的に、日露戦争の終結に寄与した。
さて最近、「官房機密費」の情報公開が騒がしい。野党時代に機密費の情報公開を迫っていた民主党が、政権を取った途端に素知らぬ顔で機密費を支出していたというものである。
しかし現代でも、各国が国益のために機密費をつかって情報工作を行っていることは常識である。日本だけが非公開の機密費を一切支出しないでいいのか、また日本だけが機密費の明細を公開すべきか、言うまでもないだろう。
本書はスパイ小説のような面白さであるが、それとともに機密費についても理解を深めたいところである。
紙の本
日露戦争といえば、何人かの有名人がいます。
2010/07/24 11:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
日露戦争といえば、何人かの有名人がいます。
最近ではドラマの影響もあって、秋山兄弟。あとは、東郷提督、乃木大将など、良い意味でも悪い意味でも有名人がたくさんいます。
そんななかで、明石元二郎。
だれ?という人も多いと思います。私もその一人。
「坂の上の雲」には出てこない人物というのが、その理由です。
しかし、少し考えてみれば戦争は国家のすべての資源をつかって行われる行為ですから、あまり一般的には知られてない人でも、国家に対して多大な貢献していることもあるのです。
明石はいわゆるスパイ。
しかし、スパイ映画に出てくるような、かっこ良い存在ではありません。これは明石に限ったことではないでしょう。スパイとは影の存在。歴史の表舞台に出てくることは、めったにありません。
彼は主にロシアで後方撹乱を目的とした、革命組織に対する武器と資金提供の任務についていました。
ロシア秘密警察に徹底したマークを受けながら、任務をこなしていく姿が描かれています。
日露戦争のちがった見方ができます。
龍.
http://ameblo.jp/12484/
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