紙の本
「倫理」を問う
2022/08/20 20:14
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
メタ倫理学、それどころか倫理学についてもほぼ知らない読者を念頭に書いたというだけあって、この著者の著述はとても丁寧。難しい用語をちりばめて満足したりせず、努めて平易な語りが心地よく、しかも見通しが良い。この興味深い内容といい、「倫理の問題」への最良の導き手となっている。巻末の文献案内も重宝しそうで指南役にもなってくれそうだ。良書
紙の本
道徳と倫理
2021/08/13 17:05
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
倫理の問題は存在するが正解は存在するか。倫理の問題とは何かから考え始め、思い込みを排し、時代や文化によって異なる世界とのかかわりあいを理解することにより、倫理の問題への向き合い方や捉え方を考察した書。
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いまどきの主流の倫理学者たちが話題にしているネタをきっちりひろっていってオリジナルで優秀な「現代倫理学入門」という形になっている。ただ、規範的な話や具体的な話を直接に論じたりはしないという消極的なかたちで「メタ倫理学」になってるということだろう。
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同著者の「メタ倫理学入門」よりも分かりやすいと感じた。
解説と兼ねて著者の意見がおり交ぜられているので、自分はどう考えるだろうか?と自省できる。
何より補章の文献リストが大変ありがたい。複雑な議論が展開されている分野だが、入門書が乏しく何から読めば良いのかよく分からない状況だったので、大いに参考にしたい。
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ずっと積ん読だったけど、読み始めたらあっという間に読んでしまいました。面白かったです。「倫理とは何か?」「倫理の問題とは何か?」「良いとは何か?」など、個々の命題の前提そのものについての様々な考え方を代表的な学説と絡めて、やさしく丁寧に解説しています。補章の文献リストも充実しています。
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倫理の問題を扱っていたが、根本的には哲学的な話に通づるものなのかなと思った。
倫理学には倫理学の専門用語があり、その学問内での共通言語や認識があるけれど哲学者の考えも多数引用されており、リンクしていて、結局はどの学問も切り離すことは基本的にはできない。そう思うと、すべての学問に通づる哲学を学ぶことはとても重要なこと。
本書で出てきた内容で印象に残ったのが、倫理的な疑問に対して、識者同士の見解がぶつかり合っている原因に、相手の考えをはなから否定的に聞いてしまう態度を証言的不正義という言葉を用いて指摘されていた。
これは、私の日常の周りでも多いと感じており、実を言うと私自身もやってしまっているなと改めて意識させられた。
偏った意見に陥らないためにも、相手の立場、年齢、性別など種々のパラメータに惑わされず、結果ありきで話を聞くのではなく、一人一人の話をフラットに捉えられるように意識していきたい。
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「倫理とは世界とのかかわりあいのこと。それは世界の見方にもとづきあ、私たちの日常を支えている。そして倫理の問題とはそのかかわりあいの揺らぎや危機に際して、日常を回復するためには、あるいは新たなより良い日常を生み出すにはどうしたらいいかを問うもの。」
これはちょっと感動した。
どう行動したかではなくどう世界を見るかが倫理だと。トロッコ問題で2択のうちどちらかを選ぶことが倫理ではなく、それを必死で考えることがすでに倫理なのだ。