紙の本
今回も面白い
2021/12/19 14:10
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ3作目、今回も面白かったです。伊香保温泉へ向かう一行ですが、案の定事件が。子どもだと思っていた助松も13歳、大人に近づいていくのかと親戚のおばさんのような気分になりました。万葉集の様々な和歌も楽しめて相変わらずの面白さでした。続きも気になります。
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和歌が事件に絡む〈万葉集歌解き譚〉シリーズ第三作。
これまでの二作は薬種問屋〈伊勢屋〉の小僧・助松の父・大五郎を巡っての話だったが、今回は大五郎から離れ、舞台も江戸を離れて伊香保温泉。
旅のメンバーは〈伊勢屋〉のお嬢様・しづ子と母・八重、女中のおせい、手代の庄助に小僧の助松、そしてボディーガードとして陰陽師・葛木多陽人の六人。
途中まではシリーズらしく和歌を吟じたり助松に和歌を教えたりしながら楽しく旅をしていたのだが、烏川を渡る時に庄助が人形祓いの舟形を見つけたことから雲行きが怪しくなってくる。
せっかく伊香保に着いたのに、多陽人は途中のある村が気になるので一人戻って様子を見てくるという。しかし約束した五日経っても多陽人は戻って来ない。そこで庄助と助松は多陽人を探しに烏川の上流を探すと、不思議な村にたどり着き…。
今回は和歌を暗号に使うということはなかったが、不思議な村で和歌が使われたり、多陽人が自分の居場所を知らせるために和歌を使ったり、自分の気持ちを伝えるのに和歌で伝えたりと沢山出てくる。
特に様々な恋の形を伝える和歌が出てくる。秘密の恋に悲劇的な恋、遠距離恋愛にもどかしい恋、ままならない恋に相手の思うままになる恋。
しづ子の多陽人への恋はますます募っているが、多陽人は相変わらず何を考えているのか分からない。陰陽師の技で病葉を美しい紅葉に変えてしづ子へプレゼントしたかと思えば不思議な村で美女に捕らわれている。
十三歳の助松にはまだ恋は早いかと思ったら不思議な村でふきという少女に猛烈アタックされている。一気に大人の階段を上るのか?
不思議な村の秘密と村からの脱出が終盤の山場になるが、ここでも田沼意次が出てくる。まだ老中にはなっていないが、江戸から離れた伊香保の地にも力は及ぶようで頼もしい。そして多陽人の武術や陰陽師の技がまた活躍する。
ハラハラした不思議な村の女性たちとの関係だが、終わって見れば寂しくもある。しかし今後〈伊勢屋〉との関わりが出来れば再会もあるかも知れない。
最後に加賀藩と聞いた多陽人の態度が気になる。加賀藩と関わりがあったのだろうか。
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日本橋の薬種問屋『伊勢屋』に奉公する小僧・助松。(13歳)
伊勢屋のお嬢さま、油谷(ゆや)しづ子。(18歳)
謎の陰陽師、葛木多陽人。(20代半ば)
おそらくこの三人が主人公の、「万葉集歌解き譚」第三弾。
今回は、伊勢屋のお嬢さま・しづ子と、母親である、伊勢屋の女将・八重(やえ)が伊香保に旅をすることになり、助松と、手代の庄助、女中のおせいが同行を命じられた。
更に伊勢屋の客であり、主人の信任厚い多陽人が護衛を依頼され、付かず離れず、一行に随行することになった。
もう、最初っから多陽人の動向が怪しい。
三作目だが、誰かが囚われるのがお約束。
そして、ミステリアスな出来事が起こり、解いてみれば夢から覚めて現実的な捕り物に繋がる、という作り。
事件は、薬種問屋「伊勢屋」にからんで薬草が重要なアイテムになることが多い。今回も。
一作目では、多陽人に対して、「狂歌など作って、ふざけたお人、プンプン!」だったお嬢様が二作目段々とデレて、今作では隠さず首っ丈である。
助松も、一人で行動して成果を上げるなど、成長いちじるしいが、なんだか「罪作りな男」になろうとしていないか?!
断りづらいからといって、変な期待を持たせてはいけないよ?!
毎回、謎解きお手伝いのゲストキャラが登場するが、今回は、伊勢屋の手代・庄助さん。
しっかりしていて人柄も良く、商売にも熱心。
一作目では、助松の父・大五郎さんのこともあり、「伊勢屋」って信用していいのだろうか?という感じだったが、今回の、庄助さんの行動、女将さんの八重の落ち着いたリーダーシップを見て、良いお店なのだろうと思えた。
しかし、毎回の多陽人の働きのおかげで事件が解決できるわけだが、多陽人本人に関してはまた一段と謎が深まる。
一件落着して人々が引き上げてみれば、そこにポツンと残された箱がある。
・・・そんな感じだ。
第一首 くさまくら
第二首 武蔵野の
第三首 伊香保ろの
第四首 木綿畳(ゆふだたみ)
第五首 鶯の
第六首 常世辺(とこよへ)に
第七首 天地(あめつち)の
第八首 たびころも
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伊香保温泉への旅。
警護を頼まれた葛木多陽人。
しづ子お嬢さんと母、助松、庄助ら総勢6人旅。
途中地図にも載っていない落人の村が。
そこに迷い込んだ人は帰れないという。
万葉集の歌が繰り広げられる旅の空。
事件が起こるのだが。
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万葉集 歌解き譚 シリーズ3
助松と父・大五郎は富山の出身である。
大五郎は、富山藩の武士であったが、陰謀に巻き込まれた末、脱藩を余儀なくされた。助松が富山を出ることになったのは、赤子の頃の事で、故郷の記憶は無いが「万葉集」を編んだ大伴家持にゆかりの土地と知り「万葉集」にいっそうの興味を持っている。
助松父子が奉公している、油問屋と薬種問屋を営む大店「伊勢屋」の娘しづ子と母親・八重が伊香保に旅をすることになり、助松と手代の庄助、女中のおせいが同行を命じられた。
護衛役として、葛木多陽人が、付かず離れず、一行に随行する。
伊香保に着いた途端に、多陽人が、別行動を願い出たが、帰ってくる約束の日が過ぎても、戻ってこない。
心配になった、庄助と助松が、探しに出かける。
が、村人に聞いても、この奥には、村など無いと言うばかり。
更に奥に進んで行くと、急に夕霞が出て、更に、白虹が出て、それが消えると、穏やかな村の景色が、現れた。
「ここへやって来た人はもう戻れない」と言う不思議な村の村人。
謎が謎を呼ぶ、伊香保温泉の旅。
助松、庄助は、無事に多陽人を見つける事が出来るか。
しづ子の多陽人への恋心が、ますます募ってきた様子。
飄々とした多陽人の気持ちは?
最後に「加賀藩の参勤交代」と聞いた時の、多陽人の様子が、気にかかる。
次作が待ち遠しい。