紙の本
誰がゴッホを殺したのか
2021/07/22 16:30
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
わずか37年の生涯ながら、その死以降どれほどの人が彼の絵画を絶賛し、その生涯をたどろうとしただろう。
彼の名前は、フィンセント・ファン・ゴッホ。
1853年(ちなみにこの年日本では浦賀にペリーが来航している)オランダに生まれ、亡くなったのは1890年7月29日。
歴史の彼方にあるような人が今でも人々を魅了するのはもちろん彼の絵画の魅力もあるだろうが、短いながらも波乱に満ちた生涯もまた、人々を魅了する。
あの絵を描いた人はどんな人物なのか、こんな人だからあんな素晴らしい絵が描けたのか。
アート小説の第一人者である原田マハもそんな一人である。
これまでにも何作かゴッホを描いた作品を発表している。そして、今回はゴッホと一時期共同生活を送り、最後には有名なゴッホの「耳切り事件」で決別したゴーギャンとの関係を描きつつ、後期印象派の代表格となった二人の芸術性を描いている。
その点ではゴッホだけでなくゴーギャンの魅力も堪能できる贅沢な試みとなっている。
同時に、今なお謎の多いゴッホの死因(拳銃による自殺説)を作家の大胆な仮説により展開しているのも面白い。
実際自殺に使ったとされるリボルバーがオークションにかけられたのは事実であるから、原田さんが果敢に想像の翼を広げているのも無理のないところだ。
しかも、もしかしてそういうこともあったではと読者に思わせる力量はさすがだ。
これでまた一つ、原田マハさんのアート小説の代表作が追加されたといえる。
電子書籍
本当にあった話に思えます。
2022/03/05 12:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
原田マハ氏の作品は、史実を丹念に調査して書かれているので、それが物語であるとしてもまるで実在の話のように思えるリアリティーがあります。
紙の本
景色を感じながら読ませていただきました。
2022/02/04 12:31
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投稿者:かず - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めての原田さんの本を読ませていただきました。
今までビジネス書中心でしたが、歳を取ったせいなのかどうかわかりませんが、本当の読書ってなんなんだろう?と疑問に思っておりました。
書店にてひまわりの表紙を見て、今までと全く違ったジャンルも読んでみようか!と購入した次第です。
読み終えて、ああ、こういった知識も重要だな、読んでよかったなーと思いました。美術に疎い私ですが、こういう世界をもっと早く知っていればと反省しております。
事実とフィクションが混ざっているそうですが、盗まれた絵画が実在してると思い込み、どこで観れるのかと検索してしまいました。フィクションだったんですね。
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ゴッホについては「たゆたえども沈まず」で書かれていたので、今回はどんなアプローチで描くのだろう?と思っていました。
読みながら、読み終わっても、こう言う描きかたもあるんだなと思ったし、マハさんすごいなぁと思いました。
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パリ八区にある、小さなオークション会社「キャビネ・ド・キュリオジラ」(CDC)に勤務する高遠冴(さえ)。
冴は大学で美術史を学びゴッホとゴーギャンのアルルにおける相互影響についての博士論文を書いています。
冴の元に50代のサラ・ジラールと名乗る女性が一丁の拳銃(リボルバー)を持ってきます。
サラは「このリボルバーはフィンセント・ファン・ゴッホを撃ち抜いたものです」と言います。
オークション会社社長のギローは「ゴーギャンがゴッホに対する嫉妬から撃ち殺したのなら辻褄が合う」などと言い出します。
冴は、「ゴッホとゴーギャンは表面的に反目し合うことはあっても、心の底では深い友情で結ばれていたのでそれはありえない」と言います。
2011年にはアメリカで『ファン・ゴッホの生涯』というゴッホの他殺説の本が出ているそうです。
この本はフィクションですが、あり得たかもしれないゴッホとゴーギャンのもうひとつのサラという女性の物語です。
この本の主人公である冴とサラ、そしてこの作品の作者である原田マハさんの願い。
フィンセントも、ポールも、決して不幸のうちに人生を終えたのではなかったと信じたいという気持ちが伝わってくる奇跡の一瞬をとらえた物語でした。
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読み応え抜群の本でした。「たゆたえども沈まず」を以前読んだため、さらに興奮しました。
ゴッホの死の真相、史実とは違う真相を想像し、ゴッホとゴーギャンの人生に寄り添えたひとときを味わいました。素敵な時間をありがとうございます、マハさん。
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カバーがゴッホ。それを外すと表紙がゴーギャン!!2つのひまわりが1つの本になっていて感動!物語を読んだ後に気が付いたのでグッときました。
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主人公サエの働く小さなオークション会社に持ち込まれた〝リボルバー〟、それは誰のものなのか?ゴッホの死は自殺なのか他殺なのか?
読み始めるとあっという間に惹き込まれ、気がつけば大団円の中に自分もいるような錯覚を覚える。
マハさんのアートミステリはフィクションとノンフィクションの間を行っていると思う。あくまでも作り話…でも、もしかしたらそうかもしれない、そうだったらいいなと願ってしまう。
装丁もとても綺麗で、ゴッホの黄色いひまわりのカバーの下にはゴーギャンのひまわりが。とても素敵な一冊だった。
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本文中に出てくる 絵画を検索しなから読みました。
ゴッホはよく取り上げられるけど これはゴーギャンにも焦点が当たっていて ゴーギャンの人間性とか ゴッホとのヒリヒリするような関係。
フィクションなのにノンフィクションの様に 迫ってきて 本当に面白かった。
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ゴッホとゴーギャンのお話。
後半になるにつれて面白くなるけど、少し深みが足りない気がした。
絵画について、画家の生き方や信念について知れるのは良かった。
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読めば読むほどハマる。
サラの追想あたりから一気に加速する感じ。
「たゆたえども沈まず」でゴッホの話はある程度頭に入っていたので、分かりやすかったです。
続きが気になると同時に、この本の終わりに近づくと思うとじっくり読もう、そんな気持ちになりました。
あえてどこからがフィクションでどこまでが史実なのか知りたくないような気もします。
マハさんの作品の中で暗幕のゲルニカに並ぶトップクラスで面白かった。
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えええっ〜!?と思わせる展開!!
マハさんの、ゴッホとゴーギャンに対する考察が詰まってる感じ。
そして、アートへの情熱も相変わらずw
ゴッホは先を行き過ぎた天才で、それがために不遇で、いつもそれが悲しい。
テオの存在に救われるけど、天才ってやっぱり紙一重なので、遠くから眺めてるのがいいわね〜(^◇^;)
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マハさんのサイン本。うれしい。一つ頁を捲ったらもうどっぷり浸かってく。素晴らしきアート、『タブロー』の心に。【リボルバー】は、ファン・ゴッホを撃ち抜いた物なのか? 夢なのか本当なのか? 321頁の旅路へ。
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中盤から一気読み。
原田マハさんは本当にすごい。
どこからがノンフィクションで
どこからがフィクションなのか
わからないくらい。
歴史上の実在人物をフィクションに組み込むのが
実にうまい。
絵画に詳しくなくても、ストーリーに
引き込まれてしまう。
絵画をあらためてじっくり観たくなる〜
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想像していたオチではあったが、主人公のオークション会社の面々のキャラクターが生きており、美術ミステリーとしてもよく伏線が張られていて楽しく読めた。オークション会社社員が主人公という点も良い。社長も好き。
「もしかしたら」のフィクションではあるが、史実上証明できない以上、この内容を否定することは誰もできない。美術史だけでなく、歴史そのものの可能性と、楽しさを垣間見た気がした。