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寺地はるなさんらしい心に響く連作短編集です。
1 / 朝が明るいとはかぎらない
2 / 昼の月
3 / 夜が暗いとはかぎらない
の三部からなる。
さびれたあかつきマーケットに何らかの関わりのある人々の"人生のひとコマ"が、ショートストーリーとして描かれている。
そのエピソードはちょっと苦い味がする。
わたしにとって、
『1 』の最後のエピソード『はこぶね』で苦い味がピークに達した。
『2 』で少しずつ甘い味に変わり(緩やかな"再生")、
題名である『3 』で描かれた登場人物たちのその後は、優しく温かい。
「一色で塗りつぶせるような単純な人間なんかいない。澄んだ色、濁った色、やさしい色、きっぱりとした色。あらゆる色が、ひとりの人間のなかに存在しているのだ。」
「誰かを好きになる時に、他人を納得されるための理由が必要なん?」
「あなたが輝いていても、いなくても、私はあなたのそばにいる。」
「もしかしたら俺だけじゃなく、多くの人が見えない着ぐるみを着て生きているのかもしれない。弱さやあさましい気持ちや泣きごとや嫉妬を内側に隠して、他人には笑顔を見せている。」
人生の苦さを味わって、幾つもの暗い夜と朝を過ごした人々は、その繰り返しの中で成長し、やがて明るい朝を迎える。人生とはそうであって欲しいと想わせてくれる素敵な物語でした。
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1つの町で起こるそれぞれの人物の短編集。
話一つ一つは当人にとっては大事件だけど、
他人からしたら、多分どうでもいいこと。
だからこそ、読む人もすごく共感できる話と
そうでない話が分かれて、
自分が今何に悩んでるのか、何が苦しいのか気付く。
全て読み終わる時には、問題が解決しなくても
「そっか」となんとなく納得できる。そんな作品でした。
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あかつきん、あかつきマーケットを取り巻く住民たちの物語。
一人一人の物語は違うけれど、あかつきんを通じて人と人の繋がりを感じられる。
温かい物語でした。
何度も読み返したくなる作品。
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閉店が決まった「あかつきマーケット」がある暁町で生活をする人々の連作短編集。
登場人物が多いので、話を振り返りながら読み進めました。
温かい話ばかりではなく、人それぞれの葛藤について考えさせられる…そんな作品でした。
心に響く言葉もたくさんあり、また再読したいと思える一冊です❁⃘*.゚
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それぞれのストーリーがあるように私にもあり、そのストーリーに意味はないかもしれないけど現象を形にすると意味のあるものようにも思える。何げない日常の変化に気づき、意味があるものになるよう過ごすことが大切なことなのかもしれない。またはそんなものもと受け入れながら決して希望は捨てずに生きて、生かされていくことが、大切なのかもしれない。
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13の人の人生。
あかつきマーケットのキャラクター、あかつきんが失踪と思ったらあちこちに現れて人助け。
それが主なお話かと思いきや、あかつきんが出てこない!
いろんな人が居て、いろんな考えといろんな人生がある。そんな話だった。
昼の月のバビルサの船出より
ばあちゃんはもうじいちゃんの一部になっている。
ばあちゃんだけじゃなくて、今までの人生で関わった人ぜんぶが、自分の一部だ。好きな歌をうたっていた歌手、かっこよかった俳優、仕事を教えてくれた上司、通りすがりの人がしてくれた親切。
「死んだ人間は、天国にもどこにも行かん。死んだら小さい、たくさんのかけらになって散らばって、たくさんの人間に吸収される。生きている人間の一部になる。とどまり続ける」
「じゃあその生きている人間が死んだら?」
「また、この世に残ったやつの一部になる」
そうやって続いていくんやで。
ここと、終わりのないすごろくの話が好きでした。
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嗚咽が出るくらい泣きながら読んだ。
苦しい、とか、痛い、とかではなくて、
温かいが故に涙が出てくるという感じ。
言葉に救われた
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初の寺地先生作品でした。「ゆるキャラが失踪!?」という帯に惹かれ、何それ!と思い読み始めました。
とある町に住んでいる人たちの、あくまで日常のお話。特別めいたことは特になくて、過ぎていく毎日の一瞬を丁寧に切り取り、それが上手く繋がっていったり重なっていくのは、読んでいて気持ちが良かったです。
誰しもがきちんと生きていて、それは決して楽しいことばかりではなくて、何なら少ししんどいことの方が多いけど、だからこそ生きているんだと思わされました。何もかもに強い人なんていなくて、誰もが何かに傷つき、その傷をほんの少しだけ癒してくれる、丸みのある文体がまた良かったです。
ゆるキャラの失踪ももちろん絡んではきますが、あくまで人たちのお話がメインで、でもそれだけでも充分に読み応えがありました。読んでよかった、と読了後に噛み締める作品に出会え、他の寺地先生の作品も読みたくなりました◎
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人はみんな目に見える情報を第一にする
例えば「あの人は優しそうだから」「しっかりしてるから」そんな見かけから受け取る情報をすべてだと思ってしまう。
でもどんな人にだって暗い一面はある
優しいと思っていた人はNoが言えずためこんでしまう人だったり、しっかりしてそうな人はそのイメージを崩さないように無理して頑張っていたり
そして誰もがそんな本当の自分に気づいて欲しくて、手を差し伸べてほしくて足掻いている
※
※
あかつきマーケットのあかつきんが失踪して神出鬼没に現れ、人助けをしていく
あかつきんが人助けをするのは心に何かを抱えている人がほとんどだ
誰もが心の内側に人には見せられない弱さを抱えているからこそ、そんな弱い部分を助けてくれるあかつきんに自然と共感し優しい気持ちになってしまいました。
“夜が暗いとは限らない”
このタイトルにはそんな目に見えるものだけが全てじゃない、人知れず皆色んな物を抱えている
そんなメッセージがあるのかと思いました。
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閉店が決まったあかつきマーケットが舞台。行方不明になったゆるキャラのあかつきんを軸に、町の人それぞれにスポットライトが当たって行く短編集。
物語が繋がっているから、前の話でチラッと出てきた人が主人公になるんだけど、ガラッと印象が変わる。
なんてやつだ!と思っている人の背景を知って、切なくなった。
誰かのことをちゃんと知るって難しいんだな。
自分にも同じような後悔ある物語を読んで、前向きなって救われ気持ちになったり、自分もこんな風に考えたいってなったり。
気持ちがじわじわとあったかくなって前向きになる本だった^^
自分を大切にする。
まだ幼い女の子にが言われた「他人の期待に応えるために生まれてきたわけやない。他人に渡したらあかん」とか、
亡くなった人への「自分を大事にするのが一番の供養」とか、いろんな大事の仕方がある。
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小さな町の中には、たくさんの老若男女の悩みと葛藤があって、出会いがあって、ドラマがある。
楽しそうな人にも、きれいな人にも。
悩みのない、闘っていない人なんていない。
改めて、そう気づかされます。
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1章15分くらいで読めるので、寝る前とか仕事の合間にちまちまと読み進めた。
その、短い物語の積み重ねで紡がれる人々の関わりに何度も何度も心があったかくなった…
今までそんなに特段多くの小説を読んだ訳では無いけど、その中でも1番心に残った群像劇だった。
あかつきんから始まり、あかつきんで終わるというまとまりも気持ちよかった
また、それぞれの短編の中でひっそりとあかつきんがひょっこり現れるのが何ともいえない可愛さだった…
人間だけの物語の中での異物感があるからか妙に印象に残る笑
けれど、そのあかつきんのなかにも1人の人生があって、それもまた深い…
ほんとによかった〜〜〜〜〜
毎日ちょっとずつ読めるのもすごくいい。
読了後の気持ちよさも、心のあったかさもすごく心地いい。
寺地はるなさんの小説は、これと「ガラスの海を渡る船」しか読んだことないけど、全部手に取ろうと心に誓った…
素晴らしかったです
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2回読んだ。
1回目は何日もかけて、ちょっとづつ
寝る前に。
3分の2を過ぎると終わらないで
続いて欲しいと思いながら読んでいて、
終わってしまったのでまた最初から読んだ。
2回目はあかつきんの中から見るように
柊の気持ちを想像した。
色んな日常があるし、色んな人の事情が
あるあるでどれも沁みる話だった。
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頑張っている人に読んでほしい、寺地はるなさんの本はいつも心を解いてくれて大好き。
グラニュー糖はきらきらひかるが特にお気に入り!
頑張ってない人なんていないんだろうね、正解とか普通って難しいよなあ
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あかつきマーケットのあかつきんがキーワードのように見えてそうでもない、リレー形式で進む最近好きな形態
素朴な人生があるという当たり前のことに気づかされる
素朴な人生にもドラマがあり、そういう表情で進んでいく物語