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大きな歴史の文脈では語れない歴史
2021/09/12 18:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
毎日新聞の連載では読んでいたはずなのに、改めて通しで読むと、心に訴えてくるものがあった。
かなり加筆もあったようだ。
毎日新聞の伊藤記者が、自らの親族である静六の戦中をたどっていく。
全体を通して感じた事は、大きな歴史の文脈では語られることのない歴史が、静六の目を通して伝えられ、小さなエピ一つ一つが大変興味深かったということだ。
例えば日中戦争と太平洋戦争の合間。市民や記者たちにどんな日常があったのか。
静六本人は戦地でなくなっており、関係者もほぼこの世にいない。
ただラッキーなのは伊藤家の本家に、日記や手紙などがたくさん残されていたことだ。
これはかなりうらやましい!
著者は残された資料や記録に丹念に当たっていて、当時、静六本人の目には見えていないだろう当時の社会状況、政治状況もつぶさに描いている。
近年、戦争に赴いた世代はすでに世を去り、その子ども世代から、いまは孫やひ孫の世代となり、
それまでタブー視されていた、あるいは、身近すぎて聞けなかった戦争体験の記憶が、掘り起こされ、継承されようとしている。
こうした動きに敬意を払いつつ、
本書のすごいところは、では今の時代、自分だったらどうしただろう。と、ちゃんと現在につながる普遍的なテーマになり得ていることだ。
一人ひとりの人間一つ一つの小さな出来事が、歴史を作っているのと改めて気づかされ、私たちが、折々に、置かれた場所でどう振る舞うのか問い掛けてくる力作である。
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