紙の本
2011年から2015年にかけて、小熊英二氏が発表した論文やインタビューを集めたもの
2016/08/25 21:46
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、2011年から2015年にかけて、小熊英二氏が発表した論文やインタビューを集めたものである。その間に震災やそれに伴う原発事故、自民・民主・自民という政権交代が起こった。同時期に書かれたものが集められているため、同じような文章を何度も見かけることになる。それはこの本の性質上仕方がない面もある。それを差し引いてもこの本は十分に読む価値があると思う。小熊英二氏は、今の日本において物事の本質を深く考え、世界に発信している一人だと思う。
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新聞は時間的制約があって自分の関心の強い分野しかじっくり読まないので、このように論点がまとめられているのはありがたい。いま日本の社会でどのようなことが起こっていて、なにが大きな問題になり、政府や各種行政機関やあるいは市民団体や地域のコミュニティはどのように対応しているのかが分かってくる。大事なことは「お上」に丸投げしないことなのです。わたしたちひとりひとりが、もっと政治や社会にコミットしていかなくてはならないのですが、分かっていてもなかなか十分にはいかないのが現状でしょうか。
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俺の立場は反中央である。
就活の結果、東京からはじき出されたという思いが今でも残り、地方生活が長くなった今となっては人口集中した東京の機能不全が目について仕方がない。
地方から人口を吸いあげた上に、都民ファーストと称する傲慢さは都民に自覚がないのだろうか。
ところでなのだが、保育園不足による待機児童の問題は、俺が持つ市民感覚からは完全に外れている。
知人の話では、児童数の減少により保育園の経営が成り立たなくなり廃業が増えていて、遠くの保育園までの送り迎えが大変だという。
こちらのほうが正しいと思う。
待機児童の問題と俺の市民感覚のギャップが何かと考えると、つまりは保育園不足は東京の話だ。首都圏事情を日本の問題と混同している。
逆に何故、東京事情の保育園不足の問題が全国区になったのか。その理由は本書で示されている。
保育園不足に悩む地域の母親小集団の連携と効果的な発信。さらには小集団にありがちな「我々は大多数だ」という勘違いを無くすために、Twitterで複数アカウントにより常に様々な集団からの情報を仕入れていたという。
筆者は社会問題は地域による解決が望ましいという。過去、世界において人々の繋がりの最小単位は家族、地域、宗教であった。近年において家族のつながりは薄くなり、日本ではもともと宗教は馴染まない。
地域社会の強化が必要という答えには首肯するが、現実は個に分断されている。事実、俺自身も地域社会では何のつながりも持っていない。
個と個と繋ぐ人と場が必要だろうと思う。その場は全国で局地的ながらも、その活動は広がっているようだ。
本書では身近な社会問題から、憲法九条や沖縄基地問題、反原発デモを分析する。