紙の本
「少年チャンピオン」の遺伝子
2021/12/31 01:06
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投稿者:こゆき - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台とシチュエーションには近未来SFの醍醐味を味わえ、なおかつSFと思わせないような、親近感を覚える感情の揺れ動きを覚える、温かい作風の良作。
このシリーズはレギュラーのキャラクターが多いので、人間関係が進んだり、キャラクターが掘り下げられていくのが面白い。世界観も徐々に分かってくる感じも良い。本当にAIとロボットとアンドロイドとヒューマノイドが共存したら色々問題が出てきて大変なんじゃないかと……。この作品なりに答を出していったり、悩んでいたりするところが妙に身にしみる。
このシリーズは大変好きなのですが、ふときづくと「少年チャンピオンコミックス」なのですね。で、正しき「少年チャンピオン」遺伝子が受け継がれていると納得。医療漫画の金字塔、一匹狼のスーパードクターがどんな難病にも立ち向かう「ブラック・ジャック」が連載されていたのが少年チャンピオンだったから。さらに我がお気に入りのスーパードクターがメスを振るう「フランケン・ふらん」シリーズもチャンピオンレッドコミックスで同系列で、正しく遺伝子は発現し後継者は増えていっているわけですね。
ところでオムニバスだけれど、この巻の最後は「続く」なので、3巻も同時購入を勧めたいです。このラストでは、どうなるのか気になって仕方ない!!
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「僕らは今、問われているんです。医師としての…人間としての哲学を」
というAIの遺伝電子第3シリーズ、BlueAgeの2巻目です。
強いAIが普及し、人間と同じ権利を持つヒューマノイドが生活する世界での、ヒューマノイド専門医を主人公とするSFですが、その解像度が物凄く高い。
陳腐な言い方をすればリアルです。
知性のなんたるかを考察もしない有象無象のロボット感動モノとは一線を画す漫画です。
人工知能ってどういうもの?と考えたことがある全ての人に読んでほしい。
短編集として最高の出来だった第1シリーズ、世界の成り立ちに迫ったサスペンスSFの第2シリーズ、からまたガラッと変わって医療モノとしてAIが社会をどう変えていくかを追う第3シリーズは幕間にコラムも掲載されて、現実世界の少し未来がどうなるか、ということを考える材料となるお話です。AI関係の本を副読すると両方の理解が深まって良いです。松尾豊先生の本とか読みやすくてお勧め。
2巻で好きなのは生前のライフログを学習してバックアップ人格を運用するお話。
自分のアバターとして代わりにファンサービスしたり、秘書として雑務をになったり、死後に財産を継承することすら出来る。AIのお話としては良くあるものではありますが、バックアップを作った棋士がプライベートより囲碁を選んでしまう自分の代わりにパートナーと接する人格としてそれを作ったというのが面白いと思いました。
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どの話も面白いし、コラムも楽しい。
「パノプティコン」の小西さんみたいな、悪人ではないのだけどちょっと好き嫌い分かれそうな「いるいる」みたいな人の描き方がいいなと思う。
描き方によっては相当にウザい人になりがちだし、個人的には実際いたら苦手だなーと感じるタイプですが、話の最後でちゃんと立ち直った姿を見て、よかったなーとちゃんと思えました。
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ヒューマノイド科志望の研修医
須堂先生を中心にした物語、2冊目。
読むのがずいぶん周回遅れになってるけど
すっと入り込める。
今回は人間の側から
「AIに仕事を取られるんじゃないか」
「監視されているんじゃないか」
という問題が発生したり
亡くなった後も故人の擬似人格と暮らせるか
といった疑問が呈されたりします。
正解はないと思いますが
願わくは、この漫画のように
やさしいほうへ舵を切れたらいいなぁ。