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落合の真実
2021/11/16 21:04
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
というか……落合博満という天才スラッガーが、いかにして中日ドラゴンズの監督として8年間、中日をAクラスに置き、強い球団を維持してきたか……。その裏話も満載。ただ、他球団の視点からのコメントも欲しかった
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【嫌われたっていい。俺のことを何か言う奴がいても、俺はそいつのことを知らない。】中日監督時代の8年間、落合博満は勝ち続けながらもなぜ嫌われたのか。孤高にして異端の将の影響で人生を激変させた男たちの物語。
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中日の監督交代劇から早10年。
オープン戦初日の紅白戦、川崎選手の開幕投手起用、日本シリーズの山井選手から岩瀬選手への継投、アライバのコンバートなど、話題の尽きない落合監督のエピソードがこれでもかと詰め込まれた内容となっている。
強い、けれどつまらないと言われるほど、投手力や守備力に重きをおいた落合監督。その落合監督が繰り広げる闘い方や徹底ぶりが、この本からは端々に見て取ることができた。
また、落合監督の契約を意識したプロフェッショナルな思考が仇となり、日本人特有のキナ臭い体質と相容れなかったことも見て取れた。落合監督がもしMLBの監督だったら(もっとその采配をみれたのに…)、とそう思わずにはいられなかった。
落合監督だったからこそ、あそこまで中日が強くあれたわけだし、その中でスタメンに名を連ね、1軍に必要とされる選手たちは、日増しにプロとして自覚を持ち、自分の役割を全うできていたようにも感じられた。
今年から中日は新たに立浪新監督を向かい入れたわけだが、端から見ると、星野監督を思わせる感情型の監督なのではないか、というのが第一印象である。
少し時代にそぐわない印象ではあるのだが、現行メンバーを奮い立たせ、また優勝争いに加わり、それを毎年継続していける、そんなチームが一日でも早く見れることを一ファンとして願っている。
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落合博満のその恐ろしいまでの洞察力の凄さに戦慄を覚えました。そして、それを描く筆者の筆は冴え渡り、非常にドラマチック!一本の長い映画を観終えたかのような満足感があります。最後は涙で締めくくった充実した内容でした。
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本当のプロとは…
を考えさせられる。
ドライなようで、人情味を感じさせる落合博満という一人の人間の様々な側面を垣間見ることができた一冊。
個人的にとても読み応えがあり、どんどん先を読みたくなった。
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森野と立浪のエピソードに心震える。独学で(独学なればこそ)余人の及ばない観察眼を身につけた監督のエピソードは心に残るが、
なればこそなぜ解任されたか、の部分からセンチメンタルになってしまう所が惜しい。親会社の主流争いに巻き込まれて、新主流に嫌われたから解任されたかだけなのか、もしそうだとしたらこれほどの実績を残した監督を解任するに足る新しいビジョンが(それが絵に描いた餅の様なビジョンだったとしても)、そことのせめぎ合いの部分をもっと掘り下げて欲しかった(そうなるともはやスポーツノンフィクションではなくなってしまうが)。
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川崎憲次郎の開幕投手起用、立浪のレギュラー剥奪、日本シリーズで完全試合間近の山井大介から岩瀬仁紀へのスイッチ、井端と荒木の二遊間コンバート。理由は決して語られなかった当時の謎が次々に解き明かされていく、まるでミステリー作品のようだった。
当てにならない打撃の3割よりも守備の10割を求め、盤石のディフェンス力と、情を完全排除した合理主義で、勝利を積み上げた落合流のマネジメントが「嫌われた」のは、残念で仕方がない。
チームの勝利を求められ契約し、最高の結果でそれを履行し続け、かつ確実に多くの選手達を覚醒させた。それにも関わらず、優勝間近という時期に非情にも解任された。プロ野球とはなんなのか、ひいては組織とはなんなのかを考えさせられる作品であった。私は「常識」でがんじがらめのプロ野球が面白いとは、決して思わないのだが。。
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2022年1月1日読了。
P98
「試合中、俺がどこに座っているかわかるか?」
「俺が座っているところからはな、
三遊間がよく見えるんだよ」
「これまで抜けなかった打球がな、
年々そこを抜けていくようになってきたんだ」
P151
「スポーツは強いものが勝つんじゃない。
勝った者が強いんだ。三年間で負けないチームは
できたがー勝てるチームじゃなかったってことだ」
P161
「打つことはよくても三割だ。
でも、守りは十割を目指せる。
勝つためにはいかに点をやらないかだ」
P427
落合は自らの言動の裏にある真意を説明しなかった。
そもそも理解されることを求めていなかった。
だから落合の内面に迫ろうとしない者にとっては、
落合の価値観も決断も常識外れで不気味なものに
映る。人は自分が理解できない物事を怖れ、
遠ざけるものだ。落合は勝ち過ぎたのだ。
勝者と敗者、プロフェッショナルとそうでないも
真実と欺瞞、あらゆるものの輪郭を
鮮明にし過ぎたのだ。
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落合博満を深く知るのに最適な本。中日ドラゴンズの黄金時代を作ったにもかかわらず、辞任することになったのは、西武ライオンズの森祇晶と似ていると感じた。強い大人の本当意味でのプロ集団のチームを作ったのに、客が入らない、試合が面白くないとケチをつけられてしまう。川崎憲次郎の章では思わずうるっときてしまいました。森野将彦、宇野勝、和田一浩、小林正人などそれぞれの人と落合の関係も興味深かった。たぶん、再度プロ野球の監督になる可能性は低いのだろうが、もう一度見てみたいと思う。当時のコーチであった森繁和氏の本なども再読したいと思う。
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reeeeadable!
もったいないから少しずつにしたけど一気読みできてしまう
落合博満についてみんなに知らせたいという熱い思いが空回りすることなく私に飛び込んできた
落合さんについて知るためにはあまり役に立たないかもでもなぜ一般人(そして多くのプロの方々)には分かりにくいのかがよくわかる
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素晴らしい本。紙の本で購入。装丁もなんとも言えず雰囲気出ている。
異形 アンチテーゼ 理解出来ない 文中での落合博満を形容する言葉。
人は理解できないものを、怖がり、遠ざけようとする。
日本人初の一億円プレイヤー、3度の三冠王、選手としては歴代トップクラス。イチローと並び称される素晴らしいバッターだった落合博満が中日ドラゴンズの監督になる。
期待されてもいいはずなのに、ざわつく周囲。
選手時代に番記者だったデスクは、オチアイと呼び捨てにし、開幕投手を当日まで教えてもらえないピッチングコーチ。生え抜きのスラッガー福留を中日に行きたいと思わせた球団職員をアッサリとクビにする。
優勝したのに解任されるコーチ。
落合博満に関わった選手、フロントを一章づつ描いていく中で、多面的に落合を見せるのだが、ほとんど綻びが無い。言葉や表情での表現が少なく、何を考えているのかを読ませない。感情のゆらぎがないのだ。
人間関係構築、やる気をみせる。一般的に組織では必要とされるスキルを全く評価しない落合。
心配するな、好きとか嫌いでレギュラーを決めない。監督に嫌われても使わざるを得ない選手になれ。
私自身はテレビや文章ででしゃばる落合夫人に好感を持っていなかったが、とこへ行っても孤独になってしまう落合博満にとって、夫人の明るさがとても重要なのだと知った。
最終年もペナントレースは逆転でものにするのだが、読者である私も落合監督に感化されており、そこまで感動しない。やる事をやったら勝つのは当たり前だろと、ボソッと呟いてしまいそうだった。
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恐ろしい本でした。現在11刷、12万部の大ベストセラーらしいですが、12万人もこの恐ろしさに立ち向かえているのでしょうか…と心配してしまいます。余計なお世話か。なにが恐ろしいか?これからきっと来る「契約社会」の預言書だから、です。いま「働き方改革」の流れの中で、終身雇用型モデルは崩壊し、一時、一世を風靡した成果報酬型も行き詰まりが語られ、企業はジョブ型雇用を求め始めています。「NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く」で語られるように、企業の人事もファミリーアナロジーから、スポーツチームアナロジーへの転換が、流行になっている感じです。しかし、企業がそもそものジョブの設定を適切に出来るか、そしてそれに見合うプロ人材がどれだけ人材市場にいるのか、などの問題もいっぱい。日本では、そのスポーツチームこそが、家族主義、いやマスコミも含めた村社会型になっていることが中日をサンプルに描かれます。そこに個によるプロフェッショナル論と好き嫌いを排した契約論を持ち込んだ落合博満の栄光と孤独が、これでもかこれでもか、と描かれます。一匹オオカミの厳しさが、恐ろしい…のです。我々は落合のように強くいられるのか?って言うか我々って言ってる段階で脱落だよね。あくまで個人じゃなくちゃ。秋田工業の野球部の全体主義に嫌気がさしてすぐ退部して映画館に入り浸ったというキャリアにスタートからして、もう圧倒的。でも12万部、12万人のプロフェッショナルが生まれるとしたら、日本の会社も変わるかも…。鈴木忠平、素晴らしい仕事です。
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落合という人は本当のプロフェッショナルだ。
野球が好きな人は是非読んでほしい。
これだけの孤独に耐えられる心が欲しいな。
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落合がいなくなって中日は元に戻った。偉大な監督でも恒久的に変えるのは難しいのね。打ち上げ花火に終わったのは残念、巨人ファンとしては楽になったけど。原は落合の前では蛇に睨まれたカエルだった。落合には巨人の監督もやってもらいたかった。
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落合監督を軸に、様々なチーム関係者の視点を交えてのエピソードはどれも濃いものでした。
文中で筆者が「落合のことを好きでも嫌いでもない」と当時感じていたと言うように中立的な目線で、チームや落合監督を定点観測していたスポーツ新聞番記者の方だからこその、8年間の変化が感じ取られるような作品でした。
筆者は8年間で落合監督ではなく周りが変化したと言っていますが、筆者が直接取材した落合監督の言葉からは自身が変化しているというか、揺れ動いている様子が伝わると思いました。戦いから感情などの不確実性を排そうとしていても、漏れ出てくる感情の揺らぎが見えるようでした。
自分は2018年のお正月に太地町の記念館のカフェで、同じように訪れていたファンの方4人程と一緒に落合さんとお話しさせてもらいました。現役時代や監督時代のこと、野球と関係ない話も気さくに話してくれて忘れられない時間だったので、今はコロナ禍で難しいかもしれないですがまたいつか行きたいなあと改めて思いました。そういえばそこにいたファンの方もみんな1人で来ていたなあと思い出しました。