投稿元:
レビューを見る
これは佳い話だったねぇ。
本の中の表現を借りれば、お話し全体が『慎み深く微笑んで』おり『空気が恥らうように華やいで見える』というか。
東京は谷中の、四季を彩る草花、旬の食べ物、季節に似合った着物、そして古くからそこに住む人々の江戸っ子らしい気風の良さと人の佳さ。
そうした下町の風情に囲まれて育む栞さんと春一郎さんの慎ましやかな、切なさに息苦しくなるほどの大人にしては淡い恋。
『人を好きになるとすべてのことが反転してしまうことを思い出した』とか『永遠と感じていた景色が儚く、幸福だと思っていたことが切なくて物悲しくなる』など、忘れて久しい恋をした時の頼りない浮揚感とそこはかとなく醸し出される侘びた心根が好ましく、また一方で、立ったままで桃に齧りつく場面や若いカップルの写真を撮ってやる場景に現れる自分でも思いもよらない心の揺れが“不倫”というこのお話の佇まいには似合わない言葉を思い起こさせ痛々しい。
折々の移ろいとともに丹念に描かれる四季の行事とまめまめしい暮らし振りの中で少しずつ前に進む二人の恋は、あわせて描かれる雪道君やイッセイさんや花子らとの様々な形の別れと裏腹に、生きてるもの同士が出会えただけで奇跡なのだと、今更ながらに思わせて心揺らす。
投稿元:
レビューを見る
こんなにほんわかとした不倫の話は初めて。ふわりとした春風のようなやさしいお話。美味しいものを食べたくなった。
投稿元:
レビューを見る
朝日新聞の東京版で、どこかの高校の先生が連載している「東京散歩」で結構前に取り上げられたのを読んで以来、ずっと読みたかった本である。
そして冒頭、新年のきりりとした雰囲気に、下町で丁寧に生きている感じがする若い主人公、素敵なご近所づきあいといった描写にさらに期待が高まったのだが、読み進めるにつれてしぼんでゆく・・・
恋愛が主題なのに主人公がなぜ恋に落ちたのかよくわからない。(産後のホルモンバランスのせいかとも思ったが、アマゾンなどのレビューを読んでいるとそうでもない様子。やっぱり不倫を描くならもっとこってりじゃないと・・・)
他にもいろいろと印象的な挿話もあるのだが、必然性がないというか、?な感じがつきまとってしまう。
どうにもばらついた感じが振り払えないのであった。
投稿元:
レビューを見る
栞と春一郎さんの恋は、正直にいえば歓迎できない恋。
なのに、ひきこまれてしまう。
谷根千の情緒あふれる街の様子がいきいきと描かれていて、
生活のひとつひとつがとてもいとおしいものに感じられる。
ものを食べるときの描写がとても素敵で、
いちいちおでんが食べたくなったり、あんみつが食べたくなったりしちゃう。
食べるって、満たされるって、こんなに楽しいことなんだなーって思う。
ていねいに生きるって、心のアンテナを立てることなんだな。
もちろん、描かれているのが下町だからこその雰囲気もあるけれど、
栞が暮らしの中のひとつひとつの出来事に心をとめているからこそ
これだけいきいきした世界が立ち現れるのだろうなって心底思った。
ああ、おいしいものが食べたい。
おいしいものをつくって食べたい。
投稿元:
レビューを見る
この作家さんのお話は食べ物が美味しそうですね。現実世界から薄い膜で遮断された様なほんわかした世界観がホッとして好きです。主人公が前向きになれて幸せになれそうなラスト、物足りない気がしなくもないけど安心です。
投稿元:
レビューを見る
『喋々喃々』読んだ。今あるもので満ち足りるということ。あるがままを大切にするということ。自分の心を受け止めるということ。明日のあなたに、今日の私も会えますように。
投稿元:
レビューを見る
主人公は谷中でアンティーク着物屋さんを営む栞さん。
季節に合わせた和装がステキで、
手料理も外食も美味しそう。
栞の想い人が妻子持ちなので、楽しく読み進めることはできませんでしたが、最後まで読み進める価値はあると思います。
投稿元:
レビューを見る
和装、四季折々の挨拶、お付き合い、古い言い伝え、暮らしの知恵、旬の食べ物。
ひとつひとつを大切にして、こまごまと生きる主人公のかんじがとても魅力的。
恋愛のしかたもあわあわとしていて、透明で、好きです。
谷中に住みたくなります。
投稿元:
レビューを見る
栞さんの季節に沿った生活の仕方には憧れるものが多く、街を愛して楽しむ
ところとかとても魅力的。
誰かと一緒においしいものを食べるっていう情景も大好き。
・・・なのだけど、どうしても不倫話は苦手だ。
その辺の決着もついてないし、楽しいはずの場面に影を落として読んでしまう。
投稿元:
レビューを見る
季節の移ろいをしっかり描きながら、栞のこころの移ろいを捉えた静かな物語だと思った。
でも自分自身には置き換えたくない、ワガママな気持ちもあり…。
ひとの気持ちってムズカシイ。
丁寧に毎日を生きている栞だからこそ、落ち着いた結末であって欲しかった気がする。
投稿元:
レビューを見る
舞台は、昔ながらの町並みが残されている東京の下町〝谷中〟です。〝谷中〟は正確には、下町ではなく寺町というんだそうですネ。その寺町の雰囲気とともに、男女の淡く危うい関係が描かれていて、タイトルにぴったりの内容でした。四季の移ろいや、折々の行事や、旬の食べ物、主人公の住んでいる古い町屋や、普段着にしている着物なども、失われつつある情緒を、そこはかとなく醸し出していて良いですネェ。
ちなみに〝喋喋喃喃〟とは、男女がむつまじげに語り合うさま。または、小さい声で親しそうに語り合うさまを表す言葉だそうです。〝喋喋〟とは口数の多いさま。〝喃喃〟は小声でしゃべることなんだそうですよ。
投稿元:
レビューを見る
衣服や草木、食べ物や行事等を通した季節の移り変わりに関する丁寧な描写、更に小さな生き物や出来事、他人に対する優しい目線など、心洗われるような繊細な作品です。
2人の関係が不倫でなければ更に純粋に感動できたのか、逆に不倫という危うさが背景にあるからこその美しさなのか。う~ん、悩ましいですね。
投稿元:
レビューを見る
食べ物がとってもおいしそう。下町、寺町の雰囲気が心地いいです。問題が解決を見せず、向かう方向性も見えないという驚きの終わり方でしたが、喋喋喃喃の題名の通り、ささやくように、静かにゆっくりと日常と向かい合っていく課程のみを描いた物語なのかなと思いました。
投稿元:
レビューを見る
あぁあ、終わっちゃった。粋と古さと、美味しさとしつらいと想いと四季と、たくさんの素敵がここにある。オトコとオンナはとまらない、流れるままに。どうかこのままこのままで。
投稿元:
レビューを見る
谷根千の着物屋さん。雨の日は休み。
それだけで素敵です!出逢う人がそれぞれ魅力的です。
素敵な大人の恋でした。
またまた食べ物が美味しそうでお腹がすきました。