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入管は、裁量権を持ち過ぎている。
ー理不尽な拘束に、精神的にも肉体的にも参って、食べることができなくなり、亡くなった女性の事件に、同じ日本のこととは思えなかったが、そもそも、そののような現実や社会の仕組みを理解しない、無関心な市民である自分も謙虚に反省し、理解を深めることで、世の中を変えなきゃいけないなぁと思った。
最初は、不思議な話だな?と思ったが、後半、ドキドキしながら、この話が誰に向かって話していたのか、わかり、ホッコリ。
休みの前の日の夜、一気読み。
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中島京子は「小さいおうち」でも大きい社会に翻弄される小さい人々の営みを描いていたが、今回もそのコンセプトで大事な小説を書いてくれた。
入管の裁量がどれだけ大きいか、日本がどれだけ外国人の在留資格を取らせたくないかが、よくわかる。
エマニュエル・トッドが、日本は移民を認めない方針をとったこと、女性の地位向上に努力することをやめたこと、この二つの点で、縮小衰退していくと予言したが、全くその通りだ。日本政府は何をしたいのだろうか?何を目指してるのだろうか?目指すものよりも、今現在の自分の目の前にある好き嫌いだけで世の中を動かしているように見える。
トッドは、少しだけ、日本人もいい加減になっらいいよとアドバイスしてたけど、「やさしい猫」を読んで、人間ってそもほも揺れ動く「遊び」の部分がある生き物なんだから、社会もそこのところをうまく飲み込んで大きく包み込んでくれないとなぁ、と思った。
中島京子の勇気と正義に感謝したい。
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とても とても 良いお話
私たち 日本人が知るべき事柄を 優しい語り口で ただ ずっしりと でも 淡々と だけど 優しく 教えてくれる
本当に読んで良かったと ため息が出る
そして
中学生や 高校生
これから 大人になっていく 若者に 是非読んでもらいたい
とても 大事なことが詰まったお話です
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可愛らしいタイトルと柔らかな色調の表紙から、ふんわりした物語を想像していたのだけれど、実際はとてもシリアスな現実を突き付けてくるものでした。
日本人の女性とスリランカ人の男性が知り合って恋をして結婚する‥‥そんな単純なことのはずなのに、複雑な問題が絡んでくる。
入管、就労ビザ、配偶者ビザ、オーバーステイ、仮放免‥‥etc‥etc‥‥ニュースで聞きかじっただけでは知り得ない当事者の苦労。
助けてくれる制度は沢山ある、それを知らなかったのはあなたの勉強不足では?
って、そんな制度があるなら最初から丁寧にそちらが説明しておいてくださいよ!こんなところに小さな文字で付け足したように書いてあるだけじゃ分かりませんよ!いや、書いてないことさえあるじゃないですか!
ってこと日本人でも何度も経験したことがありますよね?
それを外国人に求めるなんて。日本人にだって理解し難い専門用語の羅列なのに。
この物語は、日本人女性の娘(高校生)が“きみ“に語りかける形で進んでゆく。
全てを噛み砕いて分かりやすく説明してくれるので読者が、置いてけぼりになったりはしません。
高校生くらいの時、こんな本を教科書代わりにしたっていいんじゃないかな?と思います。
シリアスな現実を“きみ“に語りかけることで、とても温かな一冊になっています。
やはり表紙はこれなんだろうな、と納得です。
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非常によくできた、入管行政に関する啓発小説。この問題について、様々に目配りしつつ、なおかつわかりやすく書くことに注力している。こういう本を夏休みの課題図書にしてほしいものだ。
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ドラマの中での話だと思っていたようなことが、現実なのだとつきつけられた気持ち。
限りなくノンフィクションに近いフィクションだと思う。
今までいろんな事情の外国人に関わってきたつもりでしたが、どちらかというと、恵まれた人ばかりだったと思います。
半年ほど前から行政書士の勉強をしているので、覚えた言葉が持っている意味の重さを思い知らされました。
一度は逃げ出した外国人問題に、また取り組みたいという気持ちが強くなりました。
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ハッピーエンドでなかったら、あまりに不条理で残酷な物語。
強制送還、難民、オーバーステイ、入管。
耳にしたことはあっても深く考えずに軽く流していた言葉たち。
自分がそこに関わる人間だったらと思うと本当に怖いし、あまりに不条理な世界に愕然とする。
シングルマザーのミユキさんはボランティアでスリランカ人のクマラと出会う。再び出会った2人はやがて恋に落ちるのだが、あまりにも大きな問題が立ち塞がって・・・。
オーバーステイで収容され、強制送還されそうなクマラを出すためにハムスター先生を弁護士として雇うのだが、裁判の時のハムスター先生のなんとカッコいいこと!
ミユキさん、マヤ、クマさん、ハムスター先生、みんなの想いが一つになって勝ち取った自由なんだなと思った。
タイトルでもある『やさしい猫』。考え方によって全く違う物語になることがわかり、改めて柔軟な思考の大切さを考えさせられた。
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色々なことを知らない自分を恥じる。
外国人であるから、という理由でこんなに困難があるなんて。日本人同士の婚姻は簡単過ぎるくらいなのに、外国人との入籍は壁がなんて高いのか。嘘が嘘じゃないって、嘘を証明するより難しい。
何度も読みたい。
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スリランカ人のクマさんは、優しくて真面目でユーモアがあって、とても素敵な人だ。そして、ミユキさんとその娘マヤちゃんを心から愛している。そんなクマさんが、どうして何ヶ月も犯罪者のように閉じ込められなければならなかったのか。日本が極めて移民申請が通りにくい国で、入国管理局の対応もひどいということはニュースで知っていたが、どこか遠い話だった。クマさんのような人が大勢いて何年もの間閉じ込められて辛い思いをしているということを、この物語を読んで初めて実感した。ハラハラして読み進めたが、幸せな終わり方でホッとした。辛い思いをしている外国の人たちが幸せになれるよう、私たちはまず知らなければならないのではないだろうか。
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外国人が日本に住むことが、これ程複雑で厄介なことなのかと現実を知った。「きみ」への語りかけや「やさしい猫」の意味が解けてスッキリ。難しいテーマを解りやすく噛み砕いたやさしい本です。
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不法残留で東京入国管理局に収容されてしまうクマさんと
なんとか一緒に暮らそうと
弁護士や元入管職員の支援もあり
家族になろうとする母ミユキと娘マヤ。
小説ではあるが、
入管や在留資格、難民申請について理解を深められる本。
また、裁判の様子も詳細に書かれており
しっかり調べられた上に書かれた小説だと感じる。
難しい説明も、家族小説というカタチをとっていることで
理解もしやすい。
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軽い気持ちで読み始めましたが(タイトルの猫につられた)とても重かった…
でも一気に読んでしまいました
この国の制度が情けなく、申し訳ない気持ちでいっぱいになった
主人公もまっすぐ、周りの人たちが優しいのが救われる。
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タオル必携。題名に釣られて手にしたが、実は入管に関するとても真面目な内容。先頃、ニュースで、入管で適切な治療を受けさせて貰えず死亡した外国女性の話題を見たが、まさに私達の国で打ち捨てられている人がいる現実に驚いた。でも、さすが中島氏は優しく明るい文章で希望をもたらしてくれている。
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2019年の『夢見る帝国図書館』以来の著者作品。
『夢見る~』を読んだ直後、日比谷図書館での著者による講演会を拝聴したが、いわゆる作家然とした風情がなく、腰の低い、どちらかというと一般人的な、同世代としてとても親近感を覚えたもの。
本書も、この冬の読みものにと書店を物色していて、著者名、タイトルに惹かれて内容もよく確かめずにジャケ買いくらいの勢いだった。
もとより、『小さいおうち』のころからたおやかな優しい筆致の著者。タイトルからの印象で『樽とタタン』的な、庶民の日常的な暮らしがほのぼのと描かれているのかと思った。
読みだしても、主人公マヤが「きみ」と呼びかける、おそらく幼い対象に向かって、噛んで含めるように家族の物語を聞かせる体裁で、インバウンドに絡んだ、日本にも増えた外国人と、自分の母親の再婚ストーリーが、面白おかしく展開するのかと。
「きみ」が誰なのか最後まで引っ張られるのは、なかなか手練れの技。予想はハズれたけど、なるほどと拍手。
それ以外にもストーリとしての展開も、見事、面白いほど裏切られ、この国に突き付けらる難民受け入れの諸問題を、いち家族の物語を中心に実に濃厚に描ききる。日本では珍しい法廷劇にまで、一気に盛り上がっていく筆致に、後半は読む手が止まらなかった。
難民問題は、非常に難しい問題だ。
東南アジアの難民(ロヒンギャ等)のドキュメンタリーなどの映画や、写真展を通じて公演なども聴いてみたりもしたが、日本は難民認定の確率が低い、受け入れ体制ができていないなど、半ば不平不満を聞かされている気分だった。じゃぁ、そんな確率の低い国にではなく、難民受け入れを奨励している国に行けば良いのでは?と思ってしまう。
本書を読んでも、大筋、その考え方を変えようとは思わないが、本書では、理不尽な理由で滞在が認められないケース、入国管理局の裁量の問題、本国送還までの収容に関する制度の不備、理不尽が、主人公家族を中心に丁寧に綴られていて考えさせられた。
特に、日本で生まれ日本で育った子どもが、両親のどちらも日本人でないという理由で、日本国籍を認められないのは(血統主義というらしい)、そこは制度を改めてなんとかならないのかと思った。
「日本で生まれ育った子どもが未来を思い描けないっていうのは、ほんとに残酷な現実だから。子どもは生まれる場所を選べない。未来を狭めているのは制度の問題で、子どもたちの責任じゃないから、なんとかしてあげられないのは、切ないよね」
とはいえ、現状、日本は難民を極めて少なくしか受け入れないという国是を採っている。それが、労働力や、将来の人口構成の問題になるのかもしれない、というはまた難民受け入れとは別の次元の問題であると思っている。
ただ、全てのオーバーステイの外国人が不法で違法な、招かれざる存在だというわけではない、ということは本書を読んで良く分かった。
全ての人、誰もが納得という解決はなかなか見いだせないとは思うが、世界に範を垂れるべき先進国として改めていかなければいけない点はありそうだ。 本書をきっかけに、もう少し考えてみようと思えた。
良書です。
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書き方、題材、視点、全てが自分には新鮮で
本として面白い✖️学び得るものがあるっている最高の経験ができた。
『これは東京の片隅の、小さな家族のケース。でも、この裁判は、日本の社会に根を下ろして生きていこうとする外国籍の人々に対する国の姿勢を問うものです。』
ここらへんすごく感動したなあ。幸せに。