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ニュートンが「発見」したとされる万有引力であるが、その意味が科学界に受容されるには長い時間を要した。物質が接触せずに力を及ぼす遠隔力としての重力は、神が作った第一原因からの演繹によって現象を説明するデカルト主義者からは、到底受け入れられるものではなかった。1世紀後の天才オイラーをしても、エーテルの存在を仮定した「誤った」説明への拘りから抜け出すことができなかった。最新の素粒子物理でも、4つの力のうち、重力を媒介する粒子だけが未発見であるという。神が造り賜うた自然の本当の姿は、そう簡単に人類の前に姿を現さないのだ。
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文章が読みやすくて引き込まれる!おもろい!
(あと作者の方にお会いしたことあるけど凄くかっこいいの!落ち着いてらっしゃるのに磊落で、刀みたいに目が鋭くて素敵)
古代ギリシアの哲人が非接触力をどんな思考上のフレームで把握していたのか?宗教上の要請が如何に近代の科学者の理論を構築させたか?興味深いテーマでした!
あと出てくる図表や挿絵ののセンスが超好きです。
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科学史に刻まれる天才達ですら、後の時代から振り返ると信じがたい誤謬に囚われている。現代科学の最先端でも、未知だけど同レベルの誤謬はあるはずで、渦中にいると不思議なほど認知できない。生まれ育つ過程で沁みついてしまった当たりまえの考え方のうち、一体何がそれに当たるのか..? 生きてるうちに知ることができれば幸運だなぁと思う。
若い頃からいろんな科学書を読んできたけど、ベスト3に入る面白さ。学校でもこういうところを教えた方がいいのでは。日本では「力学」と称してるけど、その「力」とは何なのか、早い段階で自分なりに不思議さを感じることができれば、その後の学びが深くなりそうな気がする。
※表題はちくま文庫だけど、実際は現代数学社の単行本を図書館で借りて読みました