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ティク・ナット・ハンの「般若心経」の新しいコメンタリー。
以前に、同じくハンの「般若心経」のコメンタリー”The Heart of Understanding"を読んで、あまりのわかりやすさと英文の美しさに感銘を受け、その大幅改訂版"The Other Shore"を買った。
が、ページが大幅に増えていることもあり、途中で挫折して、まずは日本語で読むことにした。
基本的なメッセージは、「空」というのは、「無」と違って、相互依存的であって独立した実体ではない、ということ。
「ある」と「ない」の二項対立を超える"interbeing"という概念であること。
その辺のところは、以前の"The Heart of Understanding"でも明快だったが、今回は、般若心経中盤以降の、「○○もなければ、○○もない」の連打で言うところの「ない」も「独立した実体はなく相互依存的である」という意味であることをとても丁寧に説明してある。
さらに、例え話とか、他の経典との関係など増えていて、懇切丁寧で、わかりやすくなっている。
一方、長くなった分、散文的、講話的で、"The Heart of Understanding"の詩的な美しさはやや後退したかな?
日本語で読んだせいかもしれないけど。
日本語だとどうしても伝統的な仏教用語が出てきてしまうので、英語に直したときのシンプルな言葉の美しさは後退するのかも。
やっぱ、仏教のエッセンスはこの短い経典に凝縮されているのだな〜と思う。
次は、新旧の英語ヴァージョンとこの翻訳版を対比させながら、読んでみたい。