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紙の本
残しておきたい本
2016/12/07 07:23
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投稿者:ももたろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の幼少時代育った家は斜向かいに鍛冶屋があった。
そこにはお婆さんと息子一家(子ども二人)が暮していた。
子どもたちは私よりもゆうに一回り以上年上だったから、一緒に遊ぶということも交流もなかった。
しかし、母が用事で行くときは一緒に行き、
おじさんの仕事ぶりを見たり、店先のコークス置き場の小山に登ったりして遊んだ。
鍛冶屋のおじさんはこの本の表紙の職人さんと同じ出で立ちで、
毎日朝から晩まで、テントンテントン鎌や鋤、鍬などを作っていた。
農村の暮しになくてはならない存在だった鍛冶屋だが、今では無くなってしまった。
「最近、世間では手作りのよさ、ひたむきの味なんてことをいいますが、私はそれをあんまり強くいいすぎても、逆に職人を困らせたり苦しめたりするような気がするんです。
手作りなら値段はいくら高くてもいいという風潮も、成金みたいで好きではないね」
物差しで計ったりすることもなく、いつも同じに作れるようになったのは60代になってからだという。
勘を磨くということだが、それは仕事に真剣に取り組むことによってしかない。
実直に勤勉に生きてきた鍛冶屋の心意気が感じられてくる。
この本は永遠に残しておきたい大切なものがいっぱい詰まっている。
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