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胸アツ四部作の掉尾を飾る力作の登場である。前作が三作目なのにタイトルが『ラスト・トライアル』。そこまでを読んでいない方には、このレビューは前作含めてのネタばれなのでご注意。しかし……。
そもそも第一作『ザ・プロフェッサー』から癌を患ってしまった老主人公なので、第三作目で再発し、第四作目での確実な死が予告されている物語である。読み側としての覚悟はネタばれでなくてもある程度求められるのが本シリーズを通しての「時は過ぎゆく」という大テーマであるかに見えてくる。
こうした哲学的テーマの重低音の上に展開するのが今回は、血の匂いが絶えないような最大の敵手ジムボーン・ウィーラーである。まるで全身武器のような女殺し屋マニー・レイエスは前作ほどの主役感は見せず、本当に単なる人間凶器としてのみジムボーンに合流する。
本書はいきなりトム・マクマートリーへの復讐劇を展開しようというジムボーンの脱獄劇という思いがけぬ導入部から、アクション、スリラーとしての黒さと残虐性が前面に出される。胸アツの物語は、エンタメ度の向こうに少し影を潜めそうになってどこか勝手が違う第四作であるのだが、ラスト近辺まで気が抜けない張りつめた悪玉側のストーリーテリングとは対極的に、トムのチームのそれぞれの繋がりをまたまた胸アツでドラマティックに仕上げてゆくのでご安心を。
リック・ドレイクとトムの弁護士パートナーたち、さらにトムの魂の息子とも言えるボー・ヘインズ、いつも存在感のあるパウエル・コンラッドといつもコンビを組むウェイド・リッチーなどなど、物語の非情な展開に否応なく巻き込まれる。実は第一作で既に導火線に点火されていたこの物語は、トムが率いるアメフトチーム最後の闘いなのだ。
そのアクションの裏側で、去り行く者が若手に引き継ぐもの、最愛の孫に引き継ぐもの。避けられない死、生きて残してゆくものの重さ等々を、後継者たちが体感し、記憶する。そしてさらに後継に引き継いでゆくという、人間の生きる時間への賛歌とも言える四部作シリーズであった。
遺された者たちの次なるシリーズが楽しみである。特にセカンドステージの主人公としてボーが抜擢され、本作で意外な存在感を示したヘレンも、一層の活躍を見せるようである。人も物語も引き継がれ語り継がれてゆく。第一作から、過去の実在するフットボール・プレイヤーへの尊敬を示していたトム・マクマートリーの物語はここで終わったのかもしれないが、彼の魂はボーたちの次の物語の中で受け継がれてゆくに違いない。
ともあれ、素晴らしいこの胸アツ四部作には燃えさせて頂いた。先日のリモート読書会では翻訳者の吉野さんを迎えて盛り上がりました。作者、翻訳者、そして読書会の仲間たちに改めて深く感謝を申し上げます。
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老弁護士トムにかつて煮え湯を飲まされたあの殺人鬼が脱獄し、最凶の殺し屋とともに血みどろの復讐劇の幕を開けた。相棒リック、検察官パウエル、黒人弁護士ボーら親友でもある教え子たち、さらに大切な息子夫婦と可愛い孫…殺人鬼はトムにとって最も大切なものを狙い、末期癌に冒された彼を容赦なく追い詰めていく。死の淵に立つトムは果たして愛する者たちを守れるのか。
堂々のシリーズ完結編。王道を行く展開でした。
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死んじゃったよ。(癌で享年72歳)トーマス・マクマトリ−、通称トム。
最後の最後にすべての力を出し切って脱獄してきたあのサイコパスな殺人鬼ジムボーンから、仲間(相棒のリック、親友のボー、検事長のヘレン、ジムボーンに殺されかけて瀕死の重症を負ったパウエル)の協力を得て誘拐された孫のジャクソンを取り返せた!
どうか、トム、リック、ジャクソンが殺されませんようにと祈るような気持ちで読んだよ。
普通は主役だし、予定調和的な展開になるだろうと思うけど、このジムボーンはヒール中のヒールでサイボーグみたいに強い。
これまでにもバンバン、トムのまわりの人たちを殺してきたから、更にフィリピン人のマニーという凄腕の相棒も加わってるし、油断ならなかったわ。
今回も仲間の捜査官、ウェイド・リッチー、ボーの奥さん(離婚しかけていた)ジャズが銃殺され、いとも簡単に死なせすぎと思わなくもなかった。
トムの家族はとりあえず、皆無事で良かったけど…。
ヘレンのお陰で、ジムボーンもマニーも銃殺され、何ヶ月後にはトムも天国に旅立った。
これでこのシリーズもラストと思いきや、まだリックの父親ひき逃げ事件、これはどうやらジムボーンの仕業ではなかったよう。
これが未解決なので、また次作があるともこと。
また引き続き読まなくては。
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CL 2022.2.27-2022.3.3
四部作のラスト。なので読まないわけにはいかないけど、結局死ぬのは脇役ばかりで、トムの家族は誰ひとり死なず。脇役と言ってもボーにとってはあまりに過酷。ウィーラーが死んで裁判に勝っても全然めでたしじゃないんだけどなー
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驚きの展開はなく、法廷シーンもわずか。死んだ脇役のキャラなど忘れているので、このシリーズは一気読みが正解か。
この街に、本当にトンネルがあるのかが気になる。
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at homeなスリラー。
シリーズ最終巻。敵役の無茶苦茶ぶり。
最期の方に出てくるルースター・コグバーンの訳注は「勇気ある追跡」の方がよくない?
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四部作の完結編
主人公が死んでしまうんだけど、なぜか悲しみはない。ほっとするエンディングと言える。むしろ、実際に父を癌で亡くした著者のあとがきに心を揺さぶられる。最後は健康第一というが、つまりは戦いなんだな。自身との。
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末期癌に襲われた弁護士トム。刑務所に送ったはずの殺人鬼ジムボーンが脱獄し、トムの大切な人達を襲い始めた!
四部作のラスト。アクションが多く、法廷シーンほぼゼロ。なのがちょっと不満。悪くは無いけれど、それまでの3作の方がちょっと上でのかなー。
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シリーズ最終作。別にそこが売りの作風ではなかったと思うのだが、ジムボーン一味がやたら強くて、景気よく人が死んでいく(ただしマクマートリー家は除く)。
トムが引退したこともあって、こちらこそ売りだった気がする法廷バトルの割合が少ないのは不満。それでもぐいぐい読ませてくれるし、何より終盤、ライフル片手に現れたヘレン検事長のセリフがあまりにも格好良すぎて全部どうでもよくなった。何が「そろそろ法律の出番だと思ったの」だ、こやつめ。
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ついに最終巻ですよ(。-_-。)
トムの命懸けの闘いが始まりました!
前巻でラスト裁判って言ってたし癌再発だしもう
ボロボロのトム。゚(゚´ω`゚)゚。
最強最悪の殺し屋ボーンが女殺し屋マニーと共に
トムを襲います!
もうボーンは邪魔する者はためらいなく殺します
ボーンのトムに対する異常な執着、トムを苦しめる為だけに大切な家族、仲間たちとその家族、皆殺しの勢いでヤバい!
頼むから全員生き残りますように…と祈りっぱなし。
「おれたちならできる」
トムの父親の教えに涙。゚(゚´ω`゚)゚。
トムのシリーズは完結してしまったけど次があるらしいです〜主役は誰かな〜ってあとがきにヒントが笑
わーい(*゚▽゚)ノ
「ケツの穴全開で行くぜ」
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次のプレイだ 四十九番
おれたちならできる
トーマス・ジャクソン・マクマートリーと彼の愛する人たちとの物語も遂に最終巻
読みたい!でも読んだら終わっちゃう!という思春期の乙女状態で手を付けられずにいましたが、とうとう読みました!読んでしまいました!
そしてやっぱり「トム〜〜〜〜〜!」となりました!(どんな状態やねん)
今回はほとんど法廷シーンはなし
因縁の殺し屋ボーンが刑務所から脱走し、『最後の審判』を下すため、女殺し屋マニーと共にトムと仲間たちを狙う
トムは愛する人たちを守りきり殺人鬼を捕えることができるのか!?
そして末期癌に侵されたトムの運命は!?
ってな感じの今作、そりゃあもういろいろあって涙涙ですが、トムは最期までかっこよかったー!
とにかくトムは最期まであきらめない!絶対にあきらめない!なぜならばそれが“あの人“の教えだからです
そしてトムは自分の愛する仲間たちにもあきらめることを許しません
そうです“あの人“の教えを繋ぐこともトムに与えられ使命だからです
ちなみに“あの人“とはアラバマ大アメリカンフットボールチームの伝説的ヘッドコーチ、ベア・ブライアントのことで、実在の人物です
カレッジフットボール史上最高のヘッドコーチと称される彼はそりゃあもう名言残しまくりでこちらも是非ネットでチェックしてほしい!めちゃくちゃ情熱的でかっこいいっす
そしてこのベア・ブライアントヘッドコーチに代表されるように、このトム・マクマートリー四部作にはアメリカンフットボールが物語の中心にあってその魂みたいなんが物語をかたちづくっていて、キャラクターの造形にも影響してると思うんです
フットボールを知っていると、より深くこの四部作を楽しめると思うんですよね
そこで…
〈トム・マクマートリー四部作をしゃぶり尽くすための即席フットボール講座〉
(ドンドンドンパフー!)
まずは、超簡単にフットボールのルール説明を、ボールを基点にした陣取り合戦です(簡単すぎるわ!)
ま、詳しくはウィキペディアを見てもらうことにして(w)フットボールの大きな特徴は攻撃する側と守備する側が完全に分かれているということなんですね
そして戦術のスポーツでもあり、非常に細かく動きなどを決めて闘うために、通常は一つのチームの中にオフェンスチーム、ディフェンスチーム、スペシャルチームと分けられていて、各チームのポジションも他のスポーツに比べても非常に高い専門性があり、強いチームまたは高いディビジョンになるほど(化け物じみた能力の持ち主でもないかぎり)複数のチーム、複数のポジションを兼ねることはありません
つまりはアメリカンフットボールほどポジションによって求められる資質が異なるスポーツはないということです
そしてこのトム・マクマートリー四部作の登場人物も主人公トムを筆頭にフットボール経験者が登場しますが、性格や特徴に沿ったポジションが与えられていて、そのへんも見どころとなっておると思います
具体的にポジションと登場人物を見ていきますね
まずはオフェンスチーム
最前列は通常5人のオフェンスラインが並びその後ろにフットボールの王様ともいえるクォーターバックがいます
このクォーターバックが攻撃の指揮をしてチーム全体を動かしていくのですが、オフェンスラインはオフェンスと言いながら、基本このクォーターバックを「守る」ために存在する砦のような役割です
オフェンスラインに求められるのは大きくて頑強な体と精神で、第二巻に登場し、いとこのボーと雇い主の麻薬王カルホーンの間で揺れるTブッカーのポジションです
彼はボーに有利な証言をしたいと思いつつも家族を守るために、見たことをそのまま話す(結局はそれはカルホーンに有利になる)ということを強い意志を持って選択します
続いてワイドレシーバーです
このポジションはオフェンスラインの外側に位置し、ゲーム開始と同時に走り出しクォーターバックからのロングパスを受けるのが役割です
そのため足が速いのはもちろんですが、長いパスはどうしても正確性がなくなるため、多少パスがズレても掴み取ってしまう高身長と長い手が要求されます
そしてロングパスという攻撃手段はギャンブル性が高く失敗することのほうが圧倒的に多いため、くよくよしない陽気さが必要で失敗しても「さぁ次だ!」とチームに明るさをもたらす存在です
そしてときには相手チームの裏をかいてランプレイのときにチームメイトのために普段は全くしないブロックに参加することもあります
ボーンの襲撃を受けたボーを守るために身を投げだしたトムの元チームメイト、レイレイが陽気なワイドレシーバーでした
続いてディフェンスチームです
相手のオフェンスラインに相対してディフェンスラインがありその後ろに位置するのが守備の万能選手ラインバッカーです
この選手はディフェンスラインの外側を回って相手の王様クォーターバックを狙うこともあれば、ラインの中央をボールを持って抜け出てくるラインバックにタックルしたり、相手のレシーバーを追いかけたり、クォーターバックのパスをはたき落としたりと守備に関することならなんでもやります
当然求められるのはなんでもできる万能性ですが、最も重要なのはその時々で何をすべきかを一瞬で判断し決断する力であり、あらゆる状況でボールを追いかける執念です
自分が中心となって法廷に立つこともできるし、サポート役や地道な調査も厭わず、直接的な戦闘シーンもこなしちゃうという、トムを親父っさんと慕う黒人弁護士ボーにぴったりのポジションです
そして主人公トムのポジションはディフェンスラインの一番外側に位置するディフェンシブエンドです
このポジションは相手のオフェンスラインを跳ね飛ばし外側から敵の王様クォーターバックを狙うポジションです
敵側のラインにぶつかっていくわけですから屈強な体が必要ですが同時に高い俊敏性も求められます
ときには相手ラインを躱したり、クォーターバックがすでにボールを持っていないとわかれば反転して中央を固めにいかなければなりません
そしてディフェンシブバックに求められる最も大切な能力は勇気です
なりふりかまわず身を投げだし相��の大将に真っ先に突っ込んでいくのがディフェンシブバックの役割です
という感じです
文字だけだとなかなか難しいんですが、なんとなくフットボールのポジションと登場人物との相関性が伝わったでしょうかw
そんなに的外れなことは言ってないと思いますので、これからトム・マクマートリー四部作を読んでみようかなと思ってる方は是非ウィキペディアで調べてみてね!
(こんだけ長々と書いて最後ウィキペディア頼みかい!)
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【著者あとがき・引用】
答えを出せるのは読者であるあなただけであり、それこそが読書の愉しみではないだろうか。物語は人によって異なった意味を持つ。それがわたしが読書をする理由のひとつである。そしてまたわたしが物語を書こうと思う理由のひとつでもある。
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すべては想定内のストーリーだったがあたりまえのように寂しく悲しい結末だった。悪役の結末はあっけなかった。リー・ロイもなんどか出てきたので良しとしよう。
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読書備忘録746号。
★★★★★。
マクマートリー&ドレイクのリーガルスリラーシリーズの第4作で完結作です。期待を裏切りませんでした。
そして、悲しいけど、やり切った感満載の結末。
勧善懲悪100%のストーリーでした。
プロローグ。
第2作で捕まり死刑を待つのみとなったジムボーン(ボーン)・ウィラーとマクマートリー(トム)が刑務所で面会している場面。ボーンは、近いうちにお前を最後の審判に掛けてやると脅す。
そして第1章で、脱獄する・・・。
脱獄を幇助したのは、冷酷な殺し屋マヘリア(マニー)・レイエス。
ボーンは、とある依頼人からトムとトムのパートナーであるリック・ドレイクの殺人を請け負っていた。
そして、ボーンは自分を刑務所に送り込んだトムとリックと友人弁護士のボーセフェス(ボー)・ヘインズを憎んでおり、彼らの家族を含めた大切な仲間たちの復讐殺人も企んでいた。請負殺人の報酬と自身の復讐を兼ねようとしていた訳ですね。
そしてトム。末期ガンに侵されており余命数ヶ月。歩くことすらままならないトム。しかし、ボーンはトムがガンで死ぬ前に自分が殺すことを最終目的にしていた。
警察はトム、リック、ボーの家族も含めて厳重に警護するが、それをあざ笑うかのように、仲間たち、家族がボーンとマニーの凶弾に倒れていく。
そして、トムの最愛の孫がボーンに連れ去られた!トムをおびき出す為に。
死の淵にいるトムに最後のスイッチが入る。
人にはエネルギーの予備タンクがある。そのスイッチを入れるのは愛である。燃料は愛する人たちを奪おうとする者に対する激しい怒りだ!
どんな状態だろうが決してあきらめない!
シリーズを通して、作者が常に読者に伝えようとしてきたテーマである。
トムは、異常な量のステロイドを射ちボーンのもとに赴く。
果たしてトムはボーンに勝てるのか!
そうです!勧善懲悪です!笑
一応補足しておきますと、今作はほぼリーガルサスペンス要素は無いです。
ほぼ戦いです。
そしてエピローグ。当然ですが墓地ですね。
いやはや面白いシリーズでした。