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うわあ…、めちゃくちゃカッコいい小説だった!
ここ数年で読んだ中で一番面白かった。
新三郎が17歳のパートと、13年後のパートの2部制で、前半の新三郎の瑞々しい少年時代は読んでいて心が柔らかくなっていくようだったし、後半は策略と策略のぶつかり合いにハラハラして、最後の最後までまったく中だるみせず新鮮な気持ちで読んだ。
武家同士の出世争いあり、派手な大立ち回りあり、恋愛あり、RRRみたいなバディー感もあり。
エンタメ性たっぷりだけどそれらがスッキリとまとまっているのが本当すごい。
そして軸にある黛家の三兄弟の運命と絆に何度も胸を打たれた。
実写化してほしいなー!見てみたい。
歴史小説はほぼ読んだことなかったけど、言葉も昔っぽすぎず読みやすかったです。
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前作も感服しましたが、本作も凄い。前作は特に心情・情景描写の巧妙さ、そして渋みあるストーリーにに惹かれましたが、本作はそれに加え、アクティブなストーリー展開に惹き込まれました。後々、前編・後編で映画になるかも、なんて。
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「高瀬庄左衛門御留書」に続く「神山藩シリーズ」第2弾。
神山藩で代々筆頭家老の家柄にある黛家。その三男坊、剣の腕も今ひとつ、覚悟もないまま道場の仲間とのんびり過ごしていた新三郎が大目付の家に婿入りするところから話は始まる。
兄弟の絆、友情、御家騒動、政争、謀略、裏切り、さまざまな要素を織り込みながら描かれていく新三郎の成長譚。
頼りなかった三男坊が選んだ道。上り詰めていく中で失ったもの。最後に明らかになる真実。そして成長した彼が得たものは。
最後のシーンで彼が思い浮かべたのが他ならぬ漆原内記だったことが印象深い。やはり権力を目前にするともっと高みにと思うのは武士の常なのかな。強かな家老になりそうな予感。
結婚後十余年経ってから妻・りくと互いの想いを打ち明けあったシーンはしみじみ良かった。
読後がすこぶるいいこのシリーズ、次は第3弾を読みます。
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ストーリー的には前回読んだ「藩邸差配役日日控」の方がおもしろかった。
こちらはオーソドックスな時代もの、という感じで、
ラストはまさにテレビの時代劇を見終わった気分。
結末には意外性はないものの、
所々でさらりと差し挟まれる花や野鳥の描かれ方が良い。
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『高瀬庄左衛門御留書』に続く神山藩シリーズ第2弾。
作家は『カラマーゾフの兄弟』が念頭にあったというが、兄弟が素晴らしすぎて、まぶしいくらい。
野鳥のはさみが多くて、食傷気味。
んんん・・・という箇所がいくつかあったけど、
一気の読んでしまった。
『高瀬庄左衛門御留書』は周平ふうで、
『黛家の兄弟』はもちろん周五郎。
次は司馬遼太郎か?一平太郎でいけば。。。違うか。
本家は、日ノ本有数の藩らしく、
神山藩自体は北陸にある十万石くらいの藩らしい。
あまり北陸さ?は感じなかった。
次は『霜月記』を読んでみようと思う。
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砂原浩太朗を読むのは3作目。
期待に違わぬ物語。
色々盛り込み過ぎで消化するのが大変だが、それも含めて堪能した。
数年後読み返してみたい。
作品紹介・あらすじ
第165回直木賞、第34回山本周五郎賞候補『高瀬庄左衛門御留書』の砂原浩太朗が描く、陥穽あり、乱刃あり、青春ありの躍動感溢れる時代小説。
道は違えど、思いはひとつ。
政争の嵐の中、三兄弟の絆が試される。
『高瀬庄左衛門御留書』の泰然たる感動から一転、今度は17歳の武士が主人公。
神山藩で代々筆頭家老の黛家。三男の新三郎は、兄たちとは付かず離れず、道場仲間の圭蔵と穏やかな青春の日々を過ごしている。しかし人生の転機を迎え、大目付を務める黒沢家に婿入りし、政務を学び始めていた。そんな中、黛家の未来を揺るがす大事件が起こる。その理不尽な顛末に、三兄弟は翻弄されていく。
令和の時代小説の新潮流「神山藩シリーズ」第二弾!
~「神山藩シリーズ」とは~
架空の藩「神山藩」を舞台とした砂原浩太朗の時代小説シリーズ。それぞれ主人公も年代も違うので続き物ではないが、統一された世界観で物語が紡がれる。
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2024.3.20
神山藩シリーズの第2作。第1作は主人公の老年期を舞台にした渋味の効いた物語でしたが、今作は主人公の兄弟が若者のためか、瑞々しさを感じました。物語の展開もどんでん返しが続き、わくわくする場面もありましたが、深い感動も覚えます。神山藩のモデルとなった地をいつか訪ねてみたいと思います。
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神山藩シリーズ2作目となる本作は三兄弟の絆、矜持、男気といったものが、波乱に満ちた時代の流れとともに描かれた感動作。
武士の世界を生き抜いていく中で黛兄弟が陥った事件とその理不尽な顛末から如何にして自分たちのあるべき道を切り拓いていくのか。どんでん返しもあってミステリーのような展開が凛とした空気の中で描き込まれていくストーリーに引き込まれた。久しぶりに寝る時間も惜しくなるほどに先が読みたくなる物語。
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「黛家の兄弟」(砂原浩太朗)を読んだ。
泣いた。
こんなにも静かで透き通った文章を連ねてこんなにも熱くて心を打つ物語ができあがるのだな。
静かに移ろう季節を花の佇まいや野の鳥の鳴き声に託す文章がとても美しくハッとさせられる。
季節が移り変わるみたいに自然に、だけどふと気がついたらもうすっかり変わっていた、そんな黛新三郎であったよ。
『静寂がひろがるなかに、椋鳥のものらしい啼き声がまじる。秋めいた大気に、どこかひややかなものがふくまれていた。』(本文より)
あー震えた!