投稿元:
レビューを見る
小学五年生の咲陽は、「父親が仕事で帰ってこない」という同級生の小夜子を心配して家に連れ帰る。
だが、コロナを心配する母親に小夜子のことを言いだせないまま、自分の部屋に匿うことに。
翌日、小夜子を探しているという刑事が咲陽の家を訪ねてくる。
小夜子の父親が、ラブホテルで起きた殺人事件の犯人ではないかと疑念を抱く咲陽だが――。
(アマゾンより引用)
何か今までのよりちょっと微妙だった
投稿元:
レビューを見る
真壁&仲田シリーズ。といっても、仲田の出番は後半。出てくると解決しちゃうからな。
今回は、ミステリよりもコロナと貧困に焦点が当てられている。一見貧困とは関係なさそうな家庭も一歩間違えば… という不安定さを感じさせる。
仲田の体調も気になる。どこぞのスーパー女性刑事とは違って、生身の人間なのだな、彼女は。
彼女が立ち向かっている問題は、個人の資質でどうにかなるものではない。まさに、政治の力が必要なのだが。
それが及ばないなか、たぶん、現場では、彼女のように誠実に働いている人がいて…… その人から倒れていそうだ。
投稿元:
レビューを見る
コロナ禍で仕事がなくなる大人、影響を受ける子供。これまで読んだコロナ禍設定の小説の中でもかなりリアルというか自然。
投稿元:
レビューを見る
やっと図書館で借りられました!小学5年生の咲陽は、「父親が帰ってこないので知人の家に行く」と言った同級生の小夜子を自宅に匿うことになった…コロナ禍で両親にも言い出せず、小夜子の父親がある事件に関わっていることを知り、何とか現状を打開することはできないか…必死に考え行動する…。読んでいて、咲陽や小夜子のことを思うと切なくなりました…。ある意味特異的な状況下でもあり、そんな中で今後も咲陽と小夜子の友情が普遍的なもとのなればいいなぁ…と願わずにはいられません。それと仲田さんのように子供に寄り添った支援ができる大人が増えていくことも、コロナ禍には必要なこととも感じました。いろんなことを考えさせられる作品でした!
投稿元:
レビューを見る
コロナ禍で悲劇に巻き込まれた子供たち… 社会は彼女たちを優しく包んでくれるのか #陽だまりに至る病
コロナウイルスによって完全に生活様式がわかってしまった現代社会。
主人公である小学5年生の彼女は、近所に住む困っている友人に声をかけた。主人公は彼女を部屋に招き、二人の秘密の生活が始まる。一方で、とあるラブホテルでは殺人事件が発生した。警察は友人の父親が関係していると捜査を始めていた。
貧困にあえぐ子供たちを護る、仲田シリーズの三作目。本作も素晴らしかったです。
コロナが流行ってもう3年になりますね。
災いが起こると、まず犠牲になるのは弱者からです。そんなコロナ禍のリアルを痛烈に描写した切なすぎるお話でした。
本作の一番の魅力は、やっぱり主役の二人の少女たち。
主人公の太陽のような優しさ、今にも壊れそうな弱さを持ちながらも気丈にふるまう頑張りが切ない。
そしてもう一人の貧困にあえぐ友人は、大人や社会に対する憎しみを持ちながらも、まだ牙をむく一歩手前。彼女の不安定な魅力はとても引力が強く、読者の心を揺さぶります。
ふたりがそっと寄り添うことでどんな影響を及ぼしてくるのか。本作の一番の読みどころでした。
全体的なストーリーとしては比較的シンプルですが、登場人物ひとりひとりの信条や感情描写がとてもうまく、重厚感のあるものになっています。この辺りはさすがですね。
またミステリーとしても気が利いた仕掛けが施されており、最後には本書のタイトルの意味がわかります。
さて本書の最序盤には、公園で子供たちが自由に駆け回っているシーンがあります。あたりまえだった生活のワンシーンが、一日でも早く帰ってくることを切に願います。
今ならではの社会派ミステリー、たくさんの方に読んでほしいです。
投稿元:
レビューを見る
コロナで影響されれ家庭、子供たち。
今はコロナも少しずつ影響を変えてきてる。
ちょっとリアリティには欠けてる感じではあった。
投稿元:
レビューを見る
コロナ禍で困窮する生活とネグレクトが背景にある。小夜子の証言で、今まで見えなかった心の内が見えた時はゾッとする。けど、陽だまりに触れて変わった心、考え方。1人の女性の死、社会の昏いところで気持ちが落ち込むだけじゃなく、ホッと光が刺すようでよかった。
投稿元:
レビューを見る
「〇〇に至る病」というタイトルの小説っていくつかあるんだな、タイトルで本を選ぶのもいいかもと思って読んでみた。
結果、この作品は私はあまり好きではなかった。
コロナ禍ならではの描写が多くて、確かに大袈裟ではなくこんな世の中だったけど、ちょっとくどいなと感じた。
仲田さんの想像力が凄すぎた。
投稿元:
レビューを見る
小学生なりの一生懸命さが伝わる。
コロナ禍で色んな人が影響を受けたり、苦しんだりしていて、やるせない気持ちになる。
仲田さんが出てくると安心しちゃう(笑)
投稿元:
レビューを見る
小学五年生の咲陽は、家の隣のアパートに住む同級生「小代子」を、自宅に匿うことにした。
新型コロナによる影響を受けた子どもたちと、若い女性がラブホテルで遺体で見つかった事件が少しずつ繋がっていく。
新型コロナが広がり始めたころ、ある芸人が「これから若いきれいな女性が風俗に入るから楽しみだ」みたいなことを言ってた。
実際のところ、この本に書かれているような女性の貧困について現実にどこまで起こっていることなのかはわからない。
でも、亡くなった夏帆のような生活を不本意に送っている人が一人でも実在するのであれば、やはりそれは笑って語って良いことではなかったのだと思った。
この本の夏帆の話を読むに、あの芸人のあの発言が頭から離れなくて(それまで、すっかり忘れていたのに)。そんなことを思いました。
小代子の父親である虎生は、よくもここまで生きてこられたなぁと思うような人だ。
なんでも娘のせいにして娘に謝らせるって…。
かなり引いたけど、DV加害者ってこういう思考だよね、相手が悪いって心の底から信じてるよね、と思い直した。
虎生みたいな思考の持ち主は、実は少なくないのかもしれない。ゾッとする。
さて、タイトルの「陽だまりにいたる病」とは何か?
最後にチラと「陽だまり」というキーワードが出てきたが、はっきりとは書かれておらず。
小代子が、咲陽から匿われた一週間の間に、小代子の心に少しずつ芽生えたもの。その感情が「陽だまりにいたる病」なのだろうか。
今回は仲田の登場は少なかったものの、仲田が咲陽にかけた言葉がよかった。
確かにその通りで、人の不幸と自分の不幸を比べて我慢をしていると、他の困っている人にも「あなたより不幸な人はいる」という考えになるし、多分その気持ちを伝えてしまう。そんな風に相手を追い詰めるだけのことを言うのだとしたら、結局、虎生と同じだ。
「誰かを助け、誰かに助けられること」これは、このシリーズの大きなテーマの一つだろう。人が孤独に生きるのではなく、誰かに助けられたり、助けたりする世界であってほしい。
仲田の言葉のように、私もそう思いました。
投稿元:
レビューを見る
08月-17。3.5点。
小学5年生女子児童が主人公。同級生に貧困に近い児童が、父親と暮らしている。父親が突然「仕事」と言って出て行き、主人公が同級生を家にかくまうことに。。。
まあまあ面白かった。生安の女刑事の洞察力が素晴らしい。ラストは救いがあって良かった。
投稿元:
レビューを見る
コロナ禍を背景にネグレクトと貧困をテーマに描いた社会派ミステリー。
物語の主人公は小学5年生の咲陽。
母親に言われた「家は恵まれてるんだから、困っている人がいたらなにかしてあげないとね」の一言が忘れられないでいる。
そんな中、自宅のすぐ裏のアパートに住む同級生・小夜子の父親が帰って来なくなり、親に内緒で彼女を匿う事を決意する。
ラブホテルで起きた殺人事件との関係は?
うーん、コロナ禍の現状はリアルに描かれているも、それ以外の部分に現実味がなさ過ぎて勿体ない感じがする。
ミステリーと言うよりは少女の友情物語のような趣。
投稿元:
レビューを見る
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言、時短営業、一斉休校……
先の見えない不安と苦しさで、私たちがいちばん辛かった時期を思い出す。
主人公は小学5年生の少女二人。
コロナ禍による事件や貧困に巻き込まれていく。
この少女たちが、大人を相手に精いっぱい強がって戦う姿が痛々しく、切ない。
コロナという未知の病による不安や怖さ。
仕事や生活などの金銭的なことから、死の恐怖まで。
私たち大人でさえ不安に押し潰れそうなのに、子供たちはどんな気持ちでいるのだろう。
彼らにはこの社会と大人たちが、どんなふうに見えているのだろう。
彼らは大人が思う以上に、しっかりと周りを見て、自分に出来ることをやろうとしているのかも知れない。
事件を解決するのは、〈仲田・真壁〉の神奈川県警刑事コンビ。
仲田さんが想像力を働かせて、事件を解決していく様子が何とも爽快。
この春ようやく、日常を取り戻しつつあるようですね。
みんなでワイワイ集まれることが普通の日々よ、早く来い!
投稿元:
レビューを見る
小学生だということを忘れてしまうような思考力や行動力、その中に垣間見える稚拙さと純真さ。大人になりきれなかった大人。コロナによって狂わされた生活。それぞれがなかなか魅力的に表現されていた。ラストの緊迫感の要因はそれか…とは思ってしまったれど、現代の問題を捉えていて面白かった。
投稿元:
レビューを見る
未知のウイルスによって浮き彫りになる現代社会の暗部を描いたサスペンスミステリー。
神奈川県警本部の真壁警部補と多摩署の仲田巡査部長が捜査に当たり、社会の闇を解き明かす。シリーズ第3弾。
◇
川崎市登戸で飲食店を経営する父と看護師の母を持つ小学5年生の咲陽。比較的裕福な家庭で生活する自分は恵まれていると思っていた。
そんな咲陽は、自宅裏の古アパートに父親と2人で住む同級生の小夜子を気にかけている。小夜子は子どもの目からも貧困がわかる暮らしぶりだったからだ。
ある日、小夜子を訪ねた咲陽は、「父親が出かけたきり帰らない」という小夜子を心配して自宅に連れ帰る。
母親に事情を話して小夜子を泊めてもらおうとした咲陽だったが、医療機関に勤める母親はコロナ感染のリスクを理由にそれを拒否。やむなく咲陽は、親に内緒で小夜子を自室に匿うことにした。
小夜子との奇妙な同居生活が始まってまもなく、刑事が咲陽を訪ねてきた。小夜子の行方を探しているという。先ごろ町田で起きた女性殺人事件と関係があるらしい。
その場はしらを切った咲陽だが、小夜子の父親が殺人犯ではないかという疑いがしだいに大きくなってくるのだった。
全4章で、物語は前半が咲陽視点で後半が真壁視点で、終盤に小夜子視点で描かれる。
* * * * *
新型コロナウイルスのパンデミックがもたらした影響の甚だしさを改めて感じました。
多くの人が収入の激減で困窮にあえいだし、収入の道自体を断たれ死を選ぶしかなくなった人も少なくありませんでした。
そこまで追い詰められていない人であっても、不安と持っていきようのない腹立たしさを抱え、街中に殺伐とした空気が漂っていたのを思い出しました。
本作では、それがリアルに描かれています。
咲陽の両親は善良で良識のある人たちです。娘に対する愛情も溢れています。それでも、レストランの営業不振や母親の失職による収入減から不機嫌さを隠せなくなるし、母親に至っては娘に八つ当たりしてしまったりするのです。
レストランを解雇された奈々さんも真面目な明るい人でした。なのに、ネットでよからぬ行動をとってウサをはらすような陰湿な人になってしまいます。
悲惨なのは死んだ女子大生です。奨学金とアルバイトで学費と生活費を賄い、学業にもしっかり取り組んでいたのに、アルバイト先の営業自粛により失業。生きていくために大学を退学し風俗に手を染めるしかなくなってしまいます。(彼女が生命を落とすに至ったのは、実家のというより故郷の人々の偏狭さが原因と言えますが、コロナが拍車をかけているのは間違いないでしょう。)
ちなみに、小夜子の父親の不甲斐なさは発達障害からきているように思われます。
正義の味方に憧れる割には娘の面倒すらろくに見ず、幼稚な独りよがりの殻から出てこようとしない。落ち着きがなく感情のコントロールが利かない。だからすぐ仕事をクビになる。貧困はそのせいです。(成人になるまでにケアされるべきレベルの障害���度に見えるけれど、放置されたのでしょう。そんな人は結構いるのかも知れません。)
こんな状況にあって、子どもたちは善戦していたと思います。
主人公の咲陽はなかなかしっかりした賢い少女です。自制心が強く、落ち着いた行動がとれるという大人っぽいところがあります。友人たちからも頼りにされるほどです。
そんな咲陽でもコロナパニックに翻弄されるけれど、自身でしっかり受けとめて最善を尽くそうとしていました。
そして、小夜子の言動の真意を読み取って、心の鎧を脱がせていく最後の場面は見事としか言いようのないほどで、まるで仲田蛍を見るようでした。(将来は警察官かな?)
一方、小夜子も劣悪な環境に負けず、自分を腐らせていませんでした。父親を見切り、世の中に対して常に防御姿勢を取り続けるところは咲陽とは別の意味で大人であると言えます。
ネグレクトを含め身体的虐待を父親から受けていながらこの強靭さ。ここまでの強さを持った少女はシリーズ初ではないでしょうか。
その他、咲陽の仲良しの友人たちも ( 家庭に恵まれているのもあるでしょうが ) 皆いい子で、制約の多い生活のなか健気に過ごしていました。
子どもたちが酷い目に遭うストーリーはどちらかと言うと苦手で、これまでのシリーズ2作品は読んでいて辛かったけれど、本作の 咲陽 − 小夜 コンビには救われた気がします。
欲を言えば、仲田巡査部長の活躍をもっと見られたらよかったと思いました。
* * * * *
かな師匠にご紹介いただいた天祢涼さんの『真壁 − 仲田 シリーズ』3作品。
すごくおもしろかったです。お奨めくださって本当にありがとうございました。
『乙女の本棚』シリーズ読了、お疲れ様でした。レビューもとてもよかったです。漫然と読んできた作品がかな師匠の手にかかれば違う輝きを放って見えるのが不思議です。
師匠のレビューは、読むと心がほんわか温かくなって、いつも得した気分になります。これからも楽しみにしています。