紙の本
迷家は出てこないが、面白い
2017/12/23 15:54
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投稿者:土塩 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なかなか面白かった。
少女の頃、父と訪ねた遠野の物語や、廃墟でロケするAV撮影隊が遭遇する怪異や、時代箪笥を購入した女が経験した恐怖など、いずれも著者が経験あるいは聞き取った不思議で怖い話。全16話。
特に面白かったのは、留守中誰かが家に忍び込み、食物をあさりエアコンや洗濯機を使っているという一話。調査のため依頼者に扮した探偵助手の著者がその家で待機していると、突然監視カメラに映る男の影。間一髪、著者は逃げ出すが、果たしてその男の正体は・・・読んでのお楽しみ。
『迷家奇譚』という名称に惹かれて読んだのだが、迷家の話は一話もない。看板に偽りありだが、面白かったので許す。
電子書籍
ホラー、オカルト、民俗学、歴史と地理も入っています
2022/10/15 19:02
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投稿者:KeiM - この投稿者のレビュー一覧を見る
川端康成「雪国」をこの本に書かれた角度で読んでみたい。きっと小学生でも読み切れる。読書感想文は毎年雪国で書けるだろう。
16章にわたるエッセイ(?)は、著者の中学生時代の思い出、宮沢賢治の地ではじまった。学者の父とまわるイーハトーブ、イタコからの聞き取り、座敷童の出る宿。思春期の女子中学生は父との旅を無事に終えるか。本題ではないポイントにハラハラしながら読み進んだ。
また、AV女優としての廃墟ゲリラ撮影の経験談も印象的だった。福島や沖縄の海の話は人魚伝説にもつながっている。
短くポップに読める怪談集とは趣向が違う。エッセイや社会問題にも広がって、歴史の方まで深まっていく。
それから神社の鳥居の上にあるあの額が「 扁額 」と呼ばれることや、蛭(ヒル)の外し方も初めて知る。
知らない世界があちこち覗けて、ちょっと(かなり)民俗学っぽくて、目まぐるしく話が変わって渦巻のようにラストに突入。
なんだか流れに任せて読みすすめ、ラストはマラソンを完走したような気分になった。ときどきオカルトという給水ポイントもあり。人形や着物、箪笥の話なんてモロ怪談。子供の好奇心をそそる白墨や白木の箱が与えた影響はホラーそのもの。そして立入禁止の場所を乗り越えていくスリルとサスペンス。どうして拝んじゃいけないの? 高知の生霊返しはゾワゾワした。
ホラーだけでは済まない内容。同じ著者でもっと他のも読んでみる。
紙の本
思ってたのと(表紙から受けるイメージと)違った
2019/06/27 23:58
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投稿者:たけとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
時々実話怪談が交じるエッセイ集な感じ。「怪談稼業 侵蝕」とはまた違ったベクトルの私小説のような気も。面白かったけど怖くはないかな。
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なにかとお世話になっておいてこんなことを言うのは心苦しいのだがインパクトの強い手段で手に入れた知名度があるからこその所謂タレント本であり過去の映像作品と比べてしまうと刺激度は高くない。
民俗学の大学教育を父に持つ確かな血筋に加えて小説についてもしっかりと学ばれたようでその文章は容姿さながら端正で読み易いのだが怪異をなにか高いところまで持って行こうという気持ちが空回りし構成に迷いが見られるのが残念。
柳田先生の遠野物語でさえ「あったそうだ」の事実の口伝のみであり逆にそれが素晴らしい、このジャンルに論理はいらない
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しらベェの連載より民俗学的考察が強化されてて面白い。大学教授の娘として民俗学的旅をした記憶から現代社会に潜む妖怪や熊取連続自殺事件、寿産院事件と不気味な事件のルポ要素もある。狂気と紙一重の幽冥界が見えてくる。
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ただの実録恐怖物語だけにとどまらず、民俗学的な考察が語られているのは面白かった。「いちまさん」と「人形心中」のような、人形がモチーフの怪談って怖い。
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2020/6/6 読了
じめじめとした嫌な感じの日本らしい怖い話だった。最近、テレビで怖い話を全然しないので、怖いながらも少し懐かしい気持ちになった。
ただ作者のプロフィールには驚くばかり。会ってみたいなぁ
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2020.08.24
幽霊だけの話にとどまらず序盤や話の途中で歴史や事件の背景などの説明が長いこともあり読み進めるのが苦痛な話もあった。(そのあたりは飛ばし飛ばし読み進めた)
『鍵付きの時代箪笥』
タンスの引き出しの隙間から髪の毛が隙間からズルッと出てきて、不在の間に着物女の人が髪の毛を押し込めようとしてて耳元で『…ったら許さない』と言って消えたのが気持ち悪い
『人形心中』
もう10年以上前に探偵ナイトスクープで本気でマネキンと結婚したいって女の人が出てたなぁ…と思い出した話。
不気味な肌の色のリアルドールの胸元の黒ずんだシミって、従兄弟の血液…?気持ち悪い…ただただ不気味な話だった。でも従兄弟はリアルドールと暮らせて一緒に焼いてもらって幸せだったんだろうな。幸せって人それぞれだな…
『蛭夫』
ドキドキしながら読んだ。本当の人が日中に勝手に出入りしてると思って途中までドキドキしながら読んだけど幽霊オチでちょっとがっかり。
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期待したような迷家の話ではなかった。
さらにルポ系作品とは知らず手に取り、読み進めてから面食らった。
が、在野研究者と見紛う緻密な文献実地調査やインタビュー、実体験を交えた民俗・伝説・事件・オカルトエピソードの一つ一つを、豊富な語彙と高い文章力で取り纏めていて非常に読みごたえがあった。
見返しにあるように「〈時間〉〈場所〉〈ひと〉を重ね合わせ」ているのかどうかはピンと来なかったが、真偽の定かでないまま囁かれるネットミームのような現代の怪談も、何十何百年と経つ中で遠野物語のように幻想的な怪異譚に姿を変えていくように感じられた。
それにしても性と死は親和性が高い。
両方とも剥き出しの生命を感じるからだろうか。
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申し訳ないが、結局斜め読みになってしまった。
なんだろう。うまく言えないのだが、ルポとか考察文の顔を持ちつつ、作者さんの自伝的な匂いが濃すぎると感じました。そのせいで、公私がごっちゃになっているような感覚になり、とても読みにくかった。
ルポに徹するならそれにふさわしい対象との距離感を維持した方がよかったし、自分の生い立ちや経験とからめて、己の心情も時には書き込みつつ進めていくなら、そのカラーで統一した方がよかった。
もしくはそれらを別々に章立てにするなどして読者に提示した方が、読みやすかったのでは。
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川奈先生のルポタージュはなんてこんなに面白いんだろう。夢中になって読んだ。
『鍵付きの時代箪笥』と『生霊返し』が印象的。
色んな不思議な体験をしてきた川奈先生が本当にすごいと思った。