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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
負動産から腐動産というネーミングセンスが抜群だ。越後湯沢の別荘がお金を出して引き取ってもらうというマイナスの価値となっていると前に論じられていたが、一方で所有者側としては、相続が発生してもその事実を登記せずに逃げているという状態に、非常にカオスとなっている。そして外国人に売るという形で、まさに腐ったものに群がるバクテリアのような業者が現れているという。
登記の義務化は必要だろう。今は、土地を整備しようとしても、登記は対抗要件でしかなく、真実が載っているとは限らないため、誰の土地だかわからないことから事業が進まないという事態は発生している。土地を放棄できる制度があるとよいのだが、そうすると税収が減るおそれもあり、難しいのだろう。まさに土地がただのお荷物となってしまうわけだ。
著者は家は買うのではなく借りるのが望ましいと全体的に主張している。これは、確かに合理的だろう。一方で、家を買うことはおそらく合理性によるものではないのではないか。最大の所有欲を満たすものといえる。他のどんな財でもない、不動産というものの魔力に魅せられてしまうのだろう。著者が主張するように、確かに超高額な物件を購入するのに、あまりに多くのリスクがある。しかし、日本の最大の問題は、分譲されているものの方が質が高いという点だ。結局みんなが借りるようになると、高品質の物件が供給されなくなるのではないかとも思う。
今後は都心に働きに行くのではなく、オンラインでの仕事が増えるのではとの予測だが、これは新型コロナの流行により少し前進した。しかし、この流れが進むとは思えない。私が問題に思うのは、オフィスを都心にばかり作り、そこに郊外から通うという東京の都市構造だ。これを是正する方法はないのだろうか。東急ですらそれを今までできていなかった(してこなかっただけなのかできなかったのかはわからないが)ことを考慮すると、電鉄会社はこの仕組みを維持するのを望むのだろう。
墓ビルには建物の寿命という恐ろしい問題が生じるというのは想定していなかった。ただし、私にとっても墓ビルというのはおかしなものだと思っている。人が住めないのに、死んだらお墓で住める都心というのはやはり都市構造となっているということだろう。なぜ、東京では、住むのを郊外にして他のことを都心にするという分離した生活を送る構造なのか。こういった構造が、日本で一番東京が感染症に弱い都市たらしめているのではないか。
新橋のマッカーサー道路による分断。ここに限らず、大きな道路は街を分断して、外側を衰退させる効果を持つだろう。池袋の再開発。小型のマンションを開発させないと、ファミリーが住んで良いとはならないのだ。新しい単身者は来ないため、競争力を失って外国人だけが集まるようになってしまう。渋谷はIT企業のオフィスのイメージが強いが、渋谷に出る路線は田園都市線をはじめ、通勤ラッシュの酷さが目立っているように思う。
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EVの容積緩和ボーナスと渋谷スクランブルスクエアの関係、マッカーサー道路による新橋分断の影響が興味深かった。
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江戸時代の不動産の話から始まり、1990年代や200年代初頭の歴史の話など、読み物としては面白いコラム集。
ただ、読者が知りたい情報としては、一周遅いように思える。若干タイトル詐欺。
「はじめに」が書かれたのは2020年3月のようだが、アフターコロナ時代の不動産に関する考え方の転換については全く触れられていない。
かろうじて、「買う」よりも「使う」時代になってきたと言う文脈で、「会社に通うための家を買う」のは古いということが記載されているものの、そもそも都心に住む前提で書かれているのが既にナンセンスでしかない。
リモートワークが増え、場所に縛られない新しい生活様式・働き方が主流になってきた昨今では、地方への移住が増えつつある。
東京と地方では、住宅事情が全く異なる。
札幌や福岡などの政令都市でも、駅から徒歩10分以内に、庭付き戸建てを買うことは一般的なサラリーマンの稼ぎで十分にできる。
都心では家は借りることに軍配が上がっても、地方ではそうとも限らない。
「賃貸」vs「持ち家」の議論が下らないのはそのとおりだが、その議論が下らないのは、「賃貸」と「持ち家」の二元論に議論を矮小化しているからである。
実際には、上記のように首都圏と地方の違い、戸建てとマンションの違いなど、様々な分類分けをしないと議論にならない。
本書の内容に戻ると、AIを「理科系ネットオタクで日本語もしゃべれるのか怪しいような種族が開発した」ものとしており、これまた情報が古すぎる。
今の時代、文系出身の営業マンや金融マンであっても、AIくらい使いこなせないと仕事にならない。逆にいえば、文系こそAIを使いこなすための知識が必要になってきている時代である。
そもそも、日本語が使えないとAIは開発することもできないため、著者の文章は完全に理論破綻しているのだが。
時代遅れの著者が書いた、古い時代の不動産業を知るための一冊。
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想像をしていたものと、なんとなく違ったかな。
コロナのために、働き方改革推進当時(これを書いていた頃?)以上のスピードで、物件に対する希望は変わってきていると思う。
また、マンション管理問題や、リバースモゲージのデメリットなどは、すでに知っていたので、さらっと読んだ感じ。
著者の仕事柄、観光の話が出るのは納得なのだが、この本のタイトルでこの話題?というものも含まれていて、全てが不動産の話というわけではない。
自分は、2食付きの旅館プラン、好きですけどね。。
文体が、ぱつんぱつんとぶった斬られているのが、なんとなく気になった。
週刊誌や新聞のコラムのような文体。
でも、法律改正のビックボーナスの話は面白かった。
第1章 マンションは、どうなっていく?
第2章 不動産新事情
第3章 不動産の背景は、こうなっている!
第4章 地方はどうなる?観光はどうなる?
第5章 都市開発の行方
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タイトル通り、不動産の話。
前半の負動産・腐動産の話には、本当によく考えないといけないと思う。
購入か賃貸かの不毛な議論というのは、個人的にはその通りだと感じた。30年・35年の資金が凍結される投資案件は、会社のプロジェクトではありえない。
それでも購入するのであれば、絶対に欲しい、どんな苦労も厭わないと断言できる場合に限るべき、というのは個人の指針として有用と思いました。
で、前半部分は、これからの住宅の不動産に対して話だったので、興味深く読めたが、3章以降は観光に対する影響とか、不動産産業という視点での話だったので、そこまで食指が動かない感じでした。
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不動産会社のプロに勧められて読みました。不動産購入を検討している、いた人にはとても興味深い内容でした。いま良ければよい、またはステレオタイプな賃貸vs持家論を脱却する、日本の今までとこれからの視点から不動産を紐解いてくれています。
不動産を買うということは、その土地を買うこと。地歴、コミュニティを買う。
論理ではなく惚れて惚れて惚れ込んだ家や場所は置いておいても、変化の激しいいま、運用益の全くない不動産購入のリスクを考えさせてくれました。
超高齢化社会、人口減少、相続問題、生産緑地制度の期限切れ、本書には無いですがインバウンドのこれから、人の移動や働き方改革。
供給が増えて、需要が減る。
価格が下がり、借り手買い手市場が到来する。
これからは街の質で選ぶ時代が来る。街の環境、コミュニティの醸成に尽力する街の差異が非常に重要であること。感じていた価値を不動産のプロフェッショナルから得ることができ、ちょうどローカルなITの価値についても考えていた私には視座のあがる良い作品でした。
これからの住宅を選ぶ東京人は幸せだ。
で締め括られた一読の価値ありの本でした。
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二世帯住宅を買い、片方を自分が使い、もう片方を貸しに出す。キャッシュフロー。リバモゲ怖い。コミュニティーを買う。キャッシュフローを産まない不動産購入のリスク
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不動産のこれからを現在の状況と照らし合わせ、確実にくる人口減少、住宅供給過剰の未来、相続、街作りの視点等から述べている。
住宅な個人にとっても需要インフラ。これから起こる問題を教えてくれる一冊。家を購入するか、考えている人には読んで欲しい。
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不動産に関わる話をあげつらう本
自分の理論を語らずに、偏見から文句を言うに終止している、好きじゃない
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読み物として、面白かった。
不動産はクローズドな世界なので、
まずは興味を持って、情報を集め、自身で判断できるようになることが大切。
はじめの一歩として読む場合、(コロナ前までの)トレンドを加味して描かれているため、サクッと読めてしまう。
コロナ本格化前の出版であるはずに関わらず、
リモート社会を鮮明に想定している点は凄いし、
負動産、腐動産の章は良い示唆となった。