紙の本
理系文系の知性が集結
2022/05/29 15:07
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、2020年7月に刊行された『コロナ後の世界』の続編に位置づけられ、現代の世界が誇る知性の最高峰の7人に2021年後半から2022年初頭にかけてリモートで編者がインタビューした内容が取りまとめられている。7人は歴史学者、遺伝学者、都市経済学者、国際政治学者、コロナ感染症ワクチン開発に多大の貢献をしたカタリン・カリコなど多方面の専門家である。7人の知性の見解の一部は次のとおりである。◆「情報流通の自由さ」、「間違いを修正するシステムの有無」などにより、パンデミックによって権威主義体制の落とし穴が露呈、民主主義体制の優位さを際立たせた。◆民主主義国家であっても、政府が一元的に個人データを蓄積するようなことを許すべきではない。歴史的にみても独裁制は権力のみならず、情報も1箇所に集中させてきた。◆テクノロジーが市民をコントロールするようなデジタル独裁主義は現実化の一歩手前まで来ている。ビッグデータは使われ方一つで、我々をあっという間に奴隷にしてしまう。◆新型コロナウイルスが人類にとって極めて厄介なところは、一定の割合で重症化したり死亡者がでる一方で、感染したことさえ気づかない無症状の人が多くいる。これが大きな謎である。◆すべての仕事をリモートワークでこなせるのは、知的労働者だけである。彼らは自分の能力が生かせる、または暮らしたい環境を選んで移動するため、彼らの集まる地域とそうでない地域の間で経済格差が拡大していく。◆「第一の場所」を住む場所、「第二の場所」を働く場所とすると、「第三の場所」とは、人と人がつながる場所をさす。知的労働者で成り立つ都市では、「第三の場所」が極めて重要なスペースとなる。◆新型コロナ感染症の特徴として、物事を大きく変化させる作用よりも、物事を加速させる作用が強い。世の中の変化が、この2年間で10年分くらい早送りされてしまった。◆エンドユーザーがどこにいても、いつでもサービスや製品を安いコストで提供される「分散化」が加速された。◆アマゾンの施策で魔術的だったのは、費用を収益に変える仕組みを考えだしたことにある。
7人の知性の見解は一部を除き、説得力がある。新型コロナ感染症用ワクチンの開発者として世界中で知られるようになったカタリン・カリコの40年以上の波乱万丈の研究人生を読むだけでも一読の価値がある。
電子書籍
せめて・・・
2022/04/21 21:10
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投稿者:sas - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の最後のまとめの中の一つで、米中が協力した世界を作ることが必要と書かれています。
体制として両国には相容れないものがあるとは思いますが、経済的に相互依存している部分があるので、せめて米中が協力した世界になって欲しいと思います。
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【新型コロナは文明社会をどう変えたのか?】ノーベル賞学者2人を含む世界の頭脳が新型コロナの出口戦略と、人類文明への影響を分析。コロナ後の未来を見通すために必携の一冊。
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とくに、カタリン・カリコさんへのインタビュー(第2章m RNAワクチンが切り拓く可能性)が、一番印象的だった。
その次は、ポール・ナースさんの、「第3章生命とは何か?ウイルスとは何か?」が、興味深かった。
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mRNAワクチン開発に多大な貢献をしたカリコ氏の章が印象深かった。
一つの仮説を信じてひたすら研究を続けるのは、結果が出てる今だからこそ素晴らしいと言えるけど、苦労も多かっただろうと思う。
全体通して、コロナはもはや収束することはなさそうだが、テクノロジーの発展とともに社会様式や生活を変えて適応していくしかないと感じた。
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第1章 デジタル独裁主義の悪夢を阻むには―ユヴァル・ノア・ハラリ
第2章 mRNAワクチンが切り拓く可能性―カタリン・カリコ
第3章 生命とは何か?ウイルスとは何か?―ポール・ナース
第4章 コロナ後の働き方はハイブリッドワーク―リンダ・グラットン
第5章 未来の都市は「第三の場所」を求める―リチャード・フロリダ
第6章 GAFAの勝者アマゾンは医療を目指す―スコット・ギャロウェイ
第7章 コロナ後の「Gゼロの世界」―イアン・ブレマー
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日本の生きる道はアメリカにつくしかない。
切なすぎます。
自分で道が開けるようにコロナ後の未来を考えさせられる一冊でした。
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コロナ媧が社会に与えた影響を、複数の角度から考える切っ掛けを与えてくれる、とても興味深い本だった。掲載された先生方のそれぞれの本も読んでみたい。
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コロナ後の世界ついて、世界の著名な識者にインタビューしたもの。
私でも名前を知っているような人たちのインタビューです。そういう意味では興味深いですが、中で語られていることについては、それほど深いところまで語られてはいません。
それは、識者自身の著書ではなくて、本書の編者によるインタビューであったという事もあるのかもしれません。
ただ、最後のイアン・ブレマーのパートで、ロシアによるウクライナ侵攻が触れられているように、つい先ごろのインタビューをまとめたものの様です。そういう意味では、新鮮さという意味もあると思います。
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雑誌で見て少し気にはなっていたところ、図書館で見つけたので借りて読了。
雑学というか、プチ教養という感じに読み物として楽しませていただきました。
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権威主義体制と民主主義体制との比較及び中国覇権への対応、リモートと対面の比較及びライフスタイルの変化がメインテーマという印象。あとは、ワクチンとGAFA。
「未来」というより現状分析的で、日々の報道等に触れていれば内容的に目新しさはあまりないが、コロナがもたらした変化や課題を整理するには手頃な一冊。ただし、カリコ氏の自伝的話はアチコチでやってるので不要だったかな。
ちなみに前作ではトランプ再選を懸念している人が数名いたが、その懸念は払拭され、バイデンへの評価は概ね高い。という意味では、このシリーズは文春新書にしてはリベラル系に偏ってインタビューしているのではないかという印象もある。
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ユヴァルもカタリン・カリコもリンダ・グラットンもそれぞれの著書で読んだ内容と同一、さらには別著『未来を読む』でもオムニバス形式で同内容のインタビュー記事があったから、それらを読んでいる私にとっては、本著は重複内容だった。
勿論、中身がつまらないという事ではないが、そこに関しても、200ページ強の本に7人の知識人だから、1人30ページほど。インタビューも主著に対しての切り口なので、んー、浅い。リモート面談による取材?あるいは、台本があるような全世界で販売できるような完パケ?いずれも、ちょっと残念。
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コロナ後の未来に関する識者へのインタビュー集。幅広い分野を扱っており、内容は浅め。ただ、各分野での論点を手軽に把握するには有用。他の本との重複は多い点は注意。
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ユヴァル・ノア・ハラリは富の源泉がデータへと移り、これを支配する企業と国家がかつてない権力を持つことに警鐘を鳴らす。カタリン・カリコのmENA開発エピソードとタンパク質を自由に生成できることが人類にもたらす恩恵の可能性、ポール・ナースの生物の定義と生物学が実世界の多様性と格闘している学問であるという話、リンダ・グラットンの人生100年時代における個人と企業のあり方、リチャード・フロリダの労働の場ではなくコミュニケーションの場としての都市の再定義、スコット・ギャロウェイが看破するGAFAのうちの更なる勝者としてのAmazon(コストセクターを収益源に変えるビジネス力)とApple(垂直統合モデルと圧倒的なブランド力)の存在と結婚マッチング市場でも少数の高スペック男性の勝者総取り現象、イアン・ブレマーの説く絶対的パワーを持ってコントロールする勢力がいなくなったGゼロの世界(SNSによるアメリカ社会の分断深刻化がアメリカの内政へのリソース配分圧力となり対外関与を減少させる一方、中国は国際情勢をコントロールする存在になり得ていない)、いずれも興味深く面白く、一冊で多様な種類の知見と話題に触れることができた。
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歴史学者、ワクチン開発者、ノーベル賞受賞者、ビジネススクール教授、都市経済学者、大学院教授、国際政治学者(本物の)らへの、コロナに関するインタビューを集めた本だ。難しそうに思えたが、読んでみれば納得の中身。面白く、スラスラ読めた。理解できた気がするが、身についたかと言われれば、、、さてどうかな。