言語による世界一周の旅が味わえる
2008/07/06 20:56
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
言語学をより身近なものに感じさせてくれる一連の読み物を著してきた名古屋大学教授の最新作です。地球上に存在する言語数は7000とも言われる中で、そのうちの46言語を選んでそれぞれ4ページ程度に解説を付した一冊です。
各言語の文法や語彙の特徴はもちろんのこと、その言語が話される地域や国家の最近の政治経済状況についても一言触れるなど、言語解説本というよりはこの本で世界一周をしたような気分になれる、ガイドブックのようなものです。私は大いに楽しみました。
いくつか私の誤認を正してもくれました。
Hungaryという名称を私は東方からヨーロッパへ侵入しきた「フン族」に関係するものだと思い込んでいましたが、本書によればその国名は、5~6世紀にかけて中央アジアでマジャール人とトルコ系の「オノグル族」が共存していたため、周辺諸国が両者を混同して同一民族とみなし、「オノグル族の国(Ungaria)」と呼んだことに由来するものだということです。
またフィリピンで話されている公用語の「ピリピノ語」はタガログ語の別称だと勘違いしていましたが、そもそも「ピリピノ語」は1959年に人工的な国語として制定されたものであり、タガログ語にフィリピンで話されている他の言語の要素をいくらか加味したものだというのが実態で、両者は同一のものではないというのです。
さらには、台湾語を「びん南語」と呼ぶことは知っていましたが、そもそも「びん南語」が福建省で使用される言語であり、17世紀に同省から台湾島に開拓の名目で人々がつれてこられたことによって言語地図が今日の形になったということを初めて知りました。
知らなかった、あるいは認識不足だった事実が次から次へと出てくる本書に大変勉強させられました。
投稿元:
レビューを見る
46の言語の使用分布や特徴を1言語あたり4ページごと紹介するという本。フォーサイトという月刊誌に掲載されていた連載が元になってる。ただ、不用意に言語学用語が登場することがあるのが気になる上に、言語学的に体系付けられた説明がされているわけではなく、内容も浅いので雑学本以上の意義を見いだしにくい。日本との関係や展望をとってつけたように加えて終わる構成もいまいち謎で、あんまりいい本じゃないと感じた。この手の内容を新書でやるのは難しいのでは、、、
投稿元:
レビューを見る
おもしろかった。
世界のいろんな言語を、国際情勢や文化にも触れつつ簡単にまとめてあります。
一つ一つのチャぷたーも長くないので、電車の空き時間読書に最適。
投稿元:
レビューを見る
46の言語について、その成り立ちや特徴、文化的・歴史的・社会的背景などを、1つの言語につき4ページでまとめて紹介した本。国際ニュース系雑誌の連載を新書にしたもので、それぞれ均等な分量でとてもきれいにまとまっている。
決して言語に関して専門的なものではなく、一般の興味をひく程度に紹介されており、聞いたことのない言語や全くなじみのない言語でも、抵抗なくあっさりと読むことができる。地図も載っており、世界旅行をしているような気分で楽しく読むことができた。特に興味を持ったのは、アイルランド語、チェコ語・スロバキア語、インド英語、インドネシア語、クルド語、ヘブライ語、ケベックのフランス語など。巻末に言語系統図や、「膠着語」、「母音調和」、「放出音」など、よく出てくる用語のちょっとした解説などがあわせて載っていれば、言語そのものに加えて言語学に対する興味を起こす本になったかもしれない。(09/04/11)
投稿元:
レビューを見る
世界の言語四十六の成り立ちや文化や情勢をさらっとまとめた一冊。世界で使われている言語の多さに驚いた。7千・・・。想像がつかない数だわ。
NOKIAがフィンランドの会社ってことが一番勉強になった。言語関係ない。笑
投稿元:
レビューを見る
「言語世界地図」というタイトルだけど、民族の歴史や経済、文化なども折り込んで説明されていて面白い。
言語は、文化だけではなく、人種、国、宗教、歴史など色々なモノから形成されてきたのだなと分かります。
だから民族≒言語になりうるのだなと思いました。
投稿元:
レビューを見る
世界の主要言語を、4ページずつ、分かりやすく解説したもの。分布地図も経済されていて、分かりやすいです(^o^)著者も、テレビに御出演されている有名な方なので、ある程度書き手を把握しながら読めて良かったです。
こういう類の本は、偏見が入りやすい気ざするので(^_^;)
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
世界に存在する言語数は七千にも及ぶ。
単純に計算すると、一つの国で何と三十以上もの言語が使われていることになる。
その中から四十六の主な言語を取り上げ、成り立ち、使われている地域、話者数、独自の民族文化を徹底ガイド。
言葉を使うとは、単に他者に意味を伝達するだけではない、社会的なアイデンティティーを表すことでもある。
言語の奥深さ、多様さ、面白さ、そして社会情勢にかかわる背景などを紹介する。
[ 目次 ]
第1章 ヨーロッパ(スペイン語;ポルトガル語;イタリア語;フランス語;バスク語;アイルランド語;オランダ語;ワロン語・フラマン語;ドイツ語;ギリシャ語;ルーマニア語;セルビア語・クロアチア語;ハンガリー語;チェコ語・スロバキア語;ポーランド語;フィンランド語;スカンジナビア諸語;バルト三国;ロシア語)
第2章 アジア(タミル語;インド英語;シンハラ語;ベトナム語;ラオ語;ウイグル語;チベット語;モンゴル語;広東語;台湾語;韓国語(朝鮮語)
日本語)
第3章 中東、アフリカ(アラビア語;ペルシア語;トルコ語;アフガニスタンの公用語;チュルク諸語;グルジア語;クルド語;ヘブライ語;スワヒリ語;南アフリカの公用語)
第4章 アメリカ大陸、その他(英語;ケベックのフランス語;国連公用語)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
世界各国、地域の特徴と使用されている言語の案内。
日本以外にも日本語と同じ膠着語が意外と多いことや、世界各地で使われている英語が言語的に見ると珍しい特徴を持つことなど、気付かされることもあるが、網羅している地域、言語が多いため、各言語の特徴は簡潔に書かれており、言語の入門としては不足。
雑学的な感覚で世界各地域の知識を得るには良い内容だと思う
投稿元:
レビューを見る
各地域の言語の成り立ちにつき、その言語的な特徴、歴史的背景を解説した本。 語学の勉強が嫌いな僕としては、こういう本を読んだら意外と勉強する気も沸くのでは?と思って読んでみましたが、なーんもかわりませんでした。
投稿元:
レビューを見る
最近、世間の英語崇拝に時折気持ち悪さも感じることが多い。
しかし本書を読んでいると、英語はあくまで「たまたま」歴史のいたずらで共通語に近い現在地位を得ただけであって、唯一絶対の言語ではないと気づくことができる。世界には実にたくさんの言葉が溢れていて、人々はそれぞれの母語を通して世界を見ている。言語の側面から国家、民族についての見識を深めることができる良著だ。
パッと見、ギリシャ語が一番難しそうだった。
名詞、動詞が非常に複雑に活用する上に、動詞ほとんどが不規則動詞。いつか手をつけてみたいものだ。
投稿元:
レビューを見る
言語学としての分類だけでなく、言語からみた世界情勢についても述べられていて面白かった。
章の構成が地域毎になっているので、後から興味のある国・言語だけを絞って読むことができるので便利。資料集のような感覚。
大学の時にもう少し言語学の授業を真面目に受けてれば良かった。
投稿元:
レビューを見る
町田健が新潮社発行の月刊紙『フォーサイト』に連載した記事をまとめた世界で使われる言語についての書。
世界には6千から7千の言語が存在するということ、
ほぼ単一言語と言っていい日本に住む人間としては、こんなにも言語が存在することに驚かされる。
本書では、その一部、といっても主要な言語について、その発達や特色が解説されている。
「第1章 ヨーロッパ」では19言語、「第2章 アジア」では14言語、「第3章 中東、アフリカ」では10言語、「第4章 アメリカ大陸、その他」では4言語、合計47言語についてそれぞれ4頁程度で解説されている。
一冊の本にまとめられているのはありがたいが、やはり月刊誌などで少しずつ読むのに適した内容に感じた。
----------------
【内容(「BOOK」データベースより)】
世界に存在する言語数は七千にも及ぶ。単純に計算すると、一つの国で何と三十以上もの言語が使われていることになる。その中から四十六の主な言語を取り上げ、成り立ち、使われている地域、話者数、独自の民族文化を徹底ガイド。言葉を使うとは、単に他者に意味を伝達するだけではない、社会的なアイデンティティーを表すことでもある。言語の奥深さ、多様さ、面白さ、そして社会情勢にかかわる背景などを紹介する。
----------------
【目次】
はしがき
第1章 ヨーロッパ
スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語、バスク語、アイルランド語、オランダ語
ワロン語・フラマン語、ドイツ語、ギリシャ語、ルーマニア語、セルビア語・クロアチア語、ハンガリー語、チェコ語・スロバキア語、ポーランド語、フィンランド語、スカンジナビア諸語、バルト三国、ロシア語
第2章 アジア
タミル語、インド英語、シンハラ語、ベトナム語、ラオ語、ウイグル語、チベット語、モンゴル語、広東語、台湾語、韓国語(朝鮮語)、日本語
第3章 中東、アフリカ
アラビア語、ペルシア語、トルコ語、アフガニスタンの公用語、チュルク諸語、グルジア語、クルド語、ヘブライ語、スワヒリ語、南アフリカの公用語
第4章 アメリカ大陸、その他
英語、ケベックのフランス語、ケチュア語、国連公用語
終わりに
----------------
投稿元:
レビューを見る
言語学者である町田先生が書いた色々な国の言葉に関するコラム集。
各言葉でそれぞれ内容が簡潔してるので、どっからでも読めます。
ただ膠着語とか孤立語とか文法事項など少し内容が言語学に偏ってるので、その国の文化を知りたいっていうよりは純粋に言語に対して興味がある人向けです。
投稿元:
レビューを見る
一見『世界の言語入門』と似ているが、かなり毛色が違う。本書で取り上げられているのは、世界46の主要言語だ。既に休刊してしまったが、『フォーサイト』という国際情勢誌に連載されたものを元にしているだけに、経済的な影響力の強い大言語のみについて書かれている。オーソドックスな解説だが、言語の話だけでなく、歴史や政治についても言及されていて、これはこれで面白い。
それにしてもアジアは、言語的に見てもヨーロッパよりもずっと複雑で、多様である。ヨーロッパの言語のほとんどは印欧語族に属し、ごく例外的にウラル語族、コーカサス諸語、バスク語があるのみである。それに対し、例えばインドシナ半島5ヵ国の主要言語だけを見ても、オーストロアジア語族(ベトナム語・クメール語)、タイ・カダイ語族(タイ語・ラオ語)、シナ・チベット語族(ビルマ語)の3つの異なる語族があるのだ。
タジキスタンのタジク語とアフガニスタンのダリー語が、ペルシア語とほとんど同じというのは知らなかった。また、インドに次いで公用語の数が多いのは南アフリカで、11種類もあるというのも初めて知った。11種類のうち、英語とアフリカーンス語以外は全てバンツー系の言語(ニジェール・コンゴ語族の一部)であり、そのうちの一つは「ン」で始まるンデベレ語であり、別の一つは、吸着音があることで有名なコサ語である。
あとがきにある「世界の言語状況に関する知識は、世界情勢の正しい理解に大いに役立つ」というのは、全くその通りだと思う。民族とはすなわち言語であり、民族紛争は言語間の争いであると言ってもいい。言語を通して眺めた世界は、国ごとに一色に塗りつぶされた世界地図よりもずっと真実を表していると思う。