紙の本
暗くて不幸な物語
2021/05/09 17:33
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつも暗くて不幸な物語を紡ぐ著者だが,今回のは極めつけだ。読んでいて苦しくなった。著者はどうやってこういうストーリーを考えつくのだろうか。いくら開拓村とはいえそんなに貧しいとは信じられない。それでも「それを愛とは呼ばず」などに較べればハッピーエンディングで救われた。
ちょっとプロットが劇的過ぎるけれど,著者の最高傑作の1つかもしれない。時間を置いて読み倒したい作品だ。
紙の本
タイトルどおりの甘い恋の話と思ったら大間違い
2020/12/16 21:51
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルだけ読むと、甘ったるい恋愛小説かと思ってしまうのだが、そこは「蛇行する月」「ホテル・ローレル」「誰もいない夜に咲く」で北海道の慎ましく生きている男女の愛欲を書き続けている桜木氏なので、そうはいかない。小夜子と理恵という仲のいい従妹のそれぞれの母(つまり姉妹)の壮絶な人生が描かれていく。「みんな自分の都合のいいようにしか見ないし聞かないもの。わたしも、お母さんも同じ。だけど、なにを言われても許せないものは許せないの」と理恵は母・百合子が家から祖母を追い出したと思っているから恨む、おそらく私も自分史を書くとしたら、人を傷つけたことは忘れて自分の都合の良い話にしてしまうだろう。最後、百合子の臨終に駆けつけた老人が誰なのか登場人物たちは知らない、しかし私たち読者はよく来てくれたと彼に感謝する
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題名は安っぽかったけど、骨太の作品‼
通常は直木賞作品が一番良いと思うんだけど、なかなか。
ホテルローヤルも楽しみですね。
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感動した。
あまりにおもしろくて、一晩で読み切った。
小説の中身、あらすじもかなり良かった。
主人公のユッコも、妹の里実も、その母ハギも、みんな魅力的だ。
一条鈴子の生き方にも、どこか、凛としたものを感じた。
なにより、作者の冷静な描き方がよかった。
作者の筆力を感じる。
ホテルローヤルもよかったが、この長編は、ぜひたくさんの人に読んでほしいと思った。
私、はこの作家が好きだなあ。
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壮大な一女性の生涯の話です。
表紙とタイトルからは想像もつかない、
とても力強い作品でびっくりしました。
もうぐいぐい引き込まれて読んじゃいました。
頑固でしなやかでいい加減で無責任で残酷で・・・
でもなんと人間というのはたくましく力強いものだろうと
思わせてくれます。
生き抜く力・・・。
幸せか不幸かは周りからどう見えようが、
本人にしかわからないものなんでしょうね。
初めての桜木さんでしたが、すごくよかったです。
他のも読みたいと思わせてくれました♪
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ミステリーではないけれど、話が繋がったような瞬間は、心地良かったです。作中のように、食べるものに困る事を経験したことはないけれど、環境は人をたくましくするのかなと感じました。結婚や出産の段階に、女性が幸せだと思ってもらえるような男になりたいものです。感情のすれ違いは、本人達は分かるすべもなく、儚いですね。
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一人の女性の人生を、描ききった作品。
期待以上だった。
この作品にはたくさんの親子が出てくる。また、誰かの子であった人物が、また誰かの親になる。そのときに衝突したり、すれ違ったりするのは、親子というものの性なのだろう。
どうしようもない親もいる。だが、そうでない親のほうが多い。
主人公の百合江は、決して不幸ではなかった。
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桜木紫乃・著 / ラブレス 読了、再読了、再々読了。
直木賞受賞作『ホテルローヤル』で桜木紫乃さんと云う作家さんを知りました。
正直なところ受賞作は、わたしには今ひとつピンとくるところは少なかったのですが、それでも、わたし自身も何かは分からぬ何かを心のどこかで捕まえてしまっていたようです。
直木賞は作品ではなく、作家に与える賞、そんな風なことを耳にした覚えもありました。
デビュー作の『氷平線』、『誰もいない夜に咲く』、『凍原』と文庫落ちしたものを手当り次第に読み進めました。
一冊を読み終えるともう一度その一冊を・・、そんな読み方が続きました。
本作『ラブレス』に至っては、一週間を使って三度読み直しました。
たった一人にでもいい、その一生の中のほんの数コマの一場面でいい・・、理解してくれなくても分かち合えなくても肯定してくれなくてもいい・・、たった一人にでも、過去にあったほんの些細な場面を頷いてもらえたら、それだけで人は人を終えることができるのかも知れぬ、数冊の桜木紫乃さんの著作を読みながら思いました。
本作『ラブレス』は、昨日お世話になった病院の担当ナースさん、駅前のマックのレジ係のJK(←女子高生って今はこう呼ぶのね)、長野のイヂワル女悪友、そして昨日七十ン歳の誕生日を迎えたマイ母までを含めて、日本中の女性、年代を問わずに堪能できる一作かと思います。
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舞台が標茶、釧路という設定なので懐かしい風景が目の前に広がるように感じた。
貧しい開拓農家の姉妹を描いた作品だが、描かれる女性達がそれぞれに納得した人生を自分で選び取っているように感じた。
厳しい状況だが、女性達の力強さや潔さを感じる。
直木賞作家の本と言うことで手に取ったが、一気に読ませる筆力がある。北海道と言う設定も手に取った理由のひとつ。
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桜木紫乃の作品は初めてです。彼女の感性の軸足がまだ掴みきれていないので、なんとも言えないけれど、好きになりそうです。この作品の終盤は限られた登場人物の割に、やや人物が散漫になっているように思える。
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ウエメセやけんど、最後の締め方がいま一つ物足りない感じ。でも、そこにいたるまでは面白かった。神戸出張の帰りに新幹線で読んだ。
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話があちこちに飛んだりすることがあって最初は
すぐに頭に入らなかった。
百合江という人の人生は果たして幸せなのか不幸せなのか・・
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話題の直木賞作家さん、しかも北海道の方ということで読んでみた。
小説を読むのはとても久しぶりのこと。
読み始めたら一気に読んでしまった。
時間にすると10時間くらいでしょうか。。。
娘と生き別れるシーンは、涙をこらえることができなかった。
列車の中で読んでいたので、ちょっと恥ずかしかったけど。
話の時制と場所がたびたび変わるので、わかりずらいかな…という気はする。
女性は共感するシーンも多いかな…という印象。
男性の感想もぜひ聞いてみたいと思った。
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百合枝の壮絶な貧困が読んでいて辛過ぎて
読み始めたことを後悔したくらい
ここまで赤裸々に極貧生活を描くのかと
胸が苦しくなります
過酷な人生を、人を恨まずにに受け入れて
自分のやることを淡々とやり
言い訳をしないというより、口下手なのか
それでも必死に行きている百合枝の生き方に
どんどんひきこまれていく
百合枝の母の悲惨な人生と悲しさには
読んでいて涙が止まらなかった
悲しくてつらいけれど、
生きていることには意味があると思える
とてもいい小説に出会ってしまいました
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血を分けた親姉妹であっても、本心や真の願いは時に届かずすれ違う。
事あるごとに顔を思い浮かべ、何度も夢に見た人が今際の際に寄り添い、「だいすきよ」と囁くラスト。
里美や理恵、小夜子、人生にもがく最中のすべての人間にとって、百合江の一生は尊く眩しい。