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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
イスラム教と猫の話、重力記憶やアンシュタイン、角運動量の調節や猫球など、実は猫ひねりは重要な問題であるらしい。しかしながら、どうか猫を高いところから落とさないでほしい!
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「ネコひねり問題」を真剣に考える有名科学者たちという絵面がシュールで、かなり愉快な気持ちで読んでました。読み進めるにつれて、「ネコひねり問題」の思わぬ奥深さに、気付けば真剣に本書を読んでいました。とても面白かったです。著者の前書きで猫への敬愛を感じたので、終始安心して読めました
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「落下した猫が必ず足から着地するのはなぜか?」
答えは、「怪我をしたくないから!」などと言うと、チコちゃんに叱られる!じゃねーんだよ、と怒られますね♪
著名な科学者の面々が、この「ネコひねり」問題に対峙している。
外力が加えられない限り落下中の物体が回転することはあり得ない。と、ニュートン力学を知っている人は考える。
猫はおかしい。
4本の足が全て上を向いていても、そのままだと頭から落ちてしまいそうでも、たいてい足から着地する。
頭を上にしても下にしても、少し勢いを付けたり回転を付けたりして放り投げても、四つ足で着地する態勢を作る。
恐怖を感じた猫たちは必死で態勢を立て直しているのだ。
猫は何分の1秒かで宙返りができてしまう。
重力を感知し、生命の危険から身を守るという目的を達成するための「反射」反応のなせる技だ。
相対性理論によると、自由落下中は重力を感じない。
上下左右の識別はできないはずなのに猫はわかる。視覚に頼っているわけでもないのだ。目隠ししても分かる。
物理学だけの問題ではない。神経科学の観点からも随分と調べられている。
どうやら猫は、6秒程前の重力の記憶を頼りにしているらしい。
1700年の「液体中で泳ぐ物体について」という論文に、猫の落下問題に対する説明が出てきた。
このころから「ネコひねり」の問題に真面目に言及する科学者が現れる。
しかし、猫の空中での回転速度があまりに早いので、解析のために高速写真の技術向上を待つことになる。
1894年、猫の宙返りの連続写真が撮影される。この写真に、フランス科学アカデミーの物理学者が関心を寄せた。
それでも、猫の宙返りを科学的に説明するのは難しかった。
現在では、落下するロボット猫の研究も盛んに行われているが、宙返りの詳細に関する見解がいまだに大きく異なっているのに驚く。
なぜ猫の動きの解明にいまだに苦労しているのか。
多分一つの戦法ではないのだと思う。
落下の瞬間に、頭の位置が下がっていたり、少し前後左右に回転していたり、条件が異なる状況の全てにいろんな技で対応しているのだろう。
ネコひねりは、水泳の高飛び込みでも研究材料になっていて、人間も0.5秒で一回転できるようになった。
空中で身体をひねる競技は多い。走り高跳びなども猫の宙返りが人間の宙返りの新たな可能性を開いてきているのだ。
NASAでも無重力で宇宙飛行士が向きを変えるのに役立てるべく研究していた。
本書は、500ページ弱あって、かなりのボリューム感がある。
「ネコひねり」以外の話題もかなりあるので、興味がない箇所は読み飛ばしてもいい。
猫の落下に関しては、高層ビルが出来てから猫の高層階からの落下も当然増えたが、
不思議なことに8階以上の高い階からの落下の方が怪我の箇所が少なくなることが分かった。
この理由の解明と考察も面白い。
落下以外では、猫の水舐め行動。
舌を水面に少し付けてから素早く引っ込める。すると、空中に細い水柱が立ち上がる。その水柱が落下する前にかじり取る。
という表面張力を巧みに利用した技も持ち合わせているとは知らなかった。
最後に、本書の著者からのお願いを書いておきます。
『どうか、猫を高いところから落とさないでください。』
・うまく宙返りできない猫もいるかも知れない。
・落とした人に恨みを抱く猫がいるかも知れない。
くれぐれも、お宅のネコちゃんで落下実験はなさらぬように!
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開始: 2022/7/6
終了: 2022/7/12
感想
猫と科学の歩みを結びつける試みがなされた一冊。科学と現実のせめぎ合いというテーマを猫と猫好きの視点から記述している点がユニーク。
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そもそも「ネコひねり問題」とはなんぞや、という感じで読み始めたら、ネコが逆さに落とされても、落下中に体を捻って足から着地できることの謎を解き明かそうとした科学者たちがたくさんいた、ということを物理の法則なども交えながら解説した本。
ネコが普通にやっている、ある種、自然現象に近いことだけど奥深い。
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2022年7月9日日経書評
書評を見てから約3か月、ようやく図書館から届いて読み終えた。受け取ったときには本の厚みにギョッとしたが、読み出すと100頁くらいはあっという間に進んでしまう。
おそらくは原文も軽妙なのだろうが、水谷淳という方の翻訳の力も大きいと思う。加えて本文のレイアウトが眼に優しくて、読みやすさを加速してくれる。奥付けにDTP担当と記載されている宇田川由美子さんという方のセンスなのかも。ついでに言えば、最近出版される本にわずかに残る校正ミスも、この本では読んだ範囲では見つからなかったのは、校正と明記された神保幸恵さんの地味な成果です。
それにしても、たかが猫ひねり問題にアインシュタインから量子力学まで登場するとは思いもしなかった。第12章の「猫の宙返りと基礎物理学」のところは、私には理解が難しいところがあって、何度か行きつ戻りつして読んだが、完全に理解した自身はない。
でも、四で面白い本だった。
我が家のデブ猫(17歳)、若い頃に布団の上で背中から落としたら、見事に横腹から落ちた。もう少し高くから落としても結果は変わらず。これ以上高くすると、足を挫く危険があるので、まあ猫でも運動苦手な子もいるだろうと断念した。
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Falling Felines & Fundamental Physics
https://www.diamond.co.jp/book/9784478109373.html
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こんなに分厚い本、しかも超一流科学者が考えた内容なんて、ちゃんと最後まで読めるかなーーー???と思いつつまえがきを読み始めたところ、そのまま引き込まれて一気読みしました。
詳しい科学の内容が理解できたわけではないけれど、「ネコひねり」が写真術から始まって、宇宙やロボットetc.といろんなところへ広がっていくのがすごい。
いやーーー、科学者ってすごい。
ネコが愛されているってこともよく分かりました!
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著者は頭の子音を揃えた、原題「Falling Felines & Fundamental Physics」というタイトルがお気に召しているようだけれど、もし書店の本棚にこの背表紙の本が在ったとしても目にとまるか微妙だなと、まず思う。それは米国流のエスプリなんだろうと思いつつ、邦題の少々くどい言い回しの方がより多くの人の好奇心を刺激するだろう(猫だけに)。ただし、本の内容としては原題の方が正確に内容を要約していて、うっかり「ネコひねり」の問題のみ取り上げた本だと思って読み始めると、あちらこちら寄り道するように語られる物理の基礎的な法則に関連する逸話とかが少々余計に思えてしまうかも知れない。でも基本的に著者が目論んでいるのは日常の些細と思える現象に実は物理学の根本に関わるような問題が絡んでいるってことに専門家以外の読者にも気付いて欲しい、興味を持って欲しい、ってこと。
「ご冗談でしょう、ファインマンさん」で有名な物理学者ファインマンも、自身の研究対象であった量子電磁力学に関する啓蒙書を書いているけれど(そのタイトルはズバリQED。量子電磁理学、Quantam ElectroーDynamicsの略でもあるけれど、もちろん証明終わり、Quod Erat Demonstrandumも意識はしているんだろう)、こういう科学啓蒙書を欧米の科学者は比較的熱心に出版するという印象はあって、なるほどこれもそういう一冊なのか、と読み終えて腑に落ちた。確かに、特に米国では、そういう出版物はポピュラーだしね。
日本でも講談社がブルーバックス・シリーズを出し続けて、いわゆるポピュラー・サイエンスというジャンルの本はあるにはあるけれど、少々残念なのは、新書ではなく単行本として本格的にそのジャンルを手掛ける専門家が少ないこと。また海外で話題となって翻訳されて日本で紹介される際にも、どうかすると「話題性」のようなものに焦点が先に当たった形で紹介されることが多く、科学的好奇心が喚起されるかどうかは二の次的な感じがしてしまうところ(出版社の責任ではないけれど)。例えば少し前に話題となったカルロ・ロヴェッリの「時間は存在しない」とか、更に遡ればスティーヴン・ホーキングの「ホーキング、宇宙を語る」とか。もちろん、それはそれで専門家が考えていることが広く知られるようになったという意義はあっただろうけど、読んだ人が自分でも考えてみるように仕向けた本というのは、日本では余り人気がないような気がする。ファインマンが「QED」を道端で嬉しそうに読む少年の写真を研究室に飾っていたという逸話を何処かで読んだ記憶があるけれど、そういうレベルで科学に対する啓蒙活動というのがもっと盛んになればいいのにといつも思う。なんて言いつつ、自分も原題通りの邦題なら手に取ってないかも知れないので、他人事じゃないんだけれど。そんなことを考えていて思い出したけれど、ポピュラー・サイエンスの本を何冊も翻訳している青木薫さんの仕事にはいつも感心しているってことは書いておきたい。
さて、本の内容としては、確かに猫が空中で行うくるり一回転の宙返り(ニャンコ先生は三回転もできるけど)は、どんな力学的な運動として説��できるかということを中心に書かれており、それが思いの他深遠な物理学的難問であることが徐々に明かされていくという筋立て。そういうと何だかハリウッド映画の宣伝みたいな「ストーリー」に聴こえてしまうけれど、実際には、如何に人間が物事をなるべく単純な原理で説明したがる生き物であるかということの裏返しの話とも言える。実際、物事を深く理解すればする程、実態はより複雑であることが解ってくるというのは、きっとあらゆる分野の実務経験者が実感していることなんじゃないだろうか。データ解析の例を取ると、最初は直線回帰で推定することで満足していたものを、より精度よく推定できる関係式を導こうと多次元化、非線形化して推定誤差を小さくしようとするのはよくあること。けれど、それが実際の現象の「正確な」描写なのかは別問題。実は、本書のいいところは、その視点をちゃんと押さえているところだと思う。
世の中ビッグデータ解析だのマシンラーニングだのと人が単純にイメージできる関係を越えたデータ解析の結果を志向する方向に流れているけれど、現象を再現することと現象を理解することは違うってことがはっきり認識されていないことが多い気がしてならない。理解とは所詮人間の脳が持つ能力で因果関係を見出すということなのだから、ともすればカオス的なふるまいが絡んでくる自然現象の詳細全てを説明することとは自ずと意味が異なっていて当然だ。本書の話で言えば、猫が角運動量や重力場の影響や流体力学を駆使して空中で回転する筈もないけれど、その動きの大まかな必然性を物理の言葉で言うこともできるというのが、本書の提示する「理解」であり、Fundamental Physicsという言葉のニュアンスでもある。一方で、猫は進化の結果得た生物学的能力や個体の経験値(当然、宙返りにだって個体差はある)を基に何気なく宙返りをやってのける。人間の体操選手だってもっと複雑な動きを、訓練で覚え込ませた身体と脳の出力結果としてやってのける。もしも違いがあるとすれば、人なら力学的に分析した結果を運動野ではなく前頭葉でも理解して改善できるってことかも知れないけれど、猫の宙返りの研究を体操選手が参考にしたという話は本書では少なくとも取り上げられていない(ただし宇宙飛行士が宇宙空間に漂う船内でどう姿勢を制御するかに応用したという話は出てきます)。
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猫は高いところから落ちても
(あおむけに落とされても)
足から着地する。
それでいいじゃない、怪我しないんだから。
、、、では済ませない人類の好奇心、
物理学者の探究心が面白い。
大勢の研究事例を紹介してくれていて、
(半分は私には難しくて理解できなかったものの)
すごく笑えました。
それと同時に、猫にかわいそうな実験も
数々やってきたんだな、と黒歴史も
初めて知りました。
猫、飼いたくなります。
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科学エッセイとして面白いけど~1「落下するフィギュアスケート選手」1850頃マクスウェルが,落下し始めたときからすでに回転していて肢を引っ込めたりの倍s足りして慣性モーメントを変えて回転速度を変える。2「タック・アンド・ターン」1894頃マレが,前肢後肢を引っ込めて上半身・下半身の慣性モーメントを変え,逆回転を抑えながら先に上半身を遅れて下半身を回転させる。3「ベント・アンド・ツイスト」1935頃ラドマーカーとブラークが,腰を折り曲げて上半身と下半身を逆方向に回転させることでそれぞれの角運動量を打ち消し合うようにする。4「尾をプロペラのようにつかう」1895頃,ペノアが,プロペラ運動で身体を逆方向に回転。その他,ニュートンがアインシュタインが…~最近の研究については理解するのが難しいね。自由落下する物体はその姿勢を変えられない・・・でも実際には変えてるじゃん!その理屈を説明することができない。この本を読んでいてずっと思い返されていたのは幼小中の友人カズマサ君の兄ヒロフミ君がネコを東電の社宅の4階から落とした事件。何かで読んで実験したかったんだろうけどネ
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可愛い表紙に釣られ、読了。物理の領域になると難しくなるけれど、翻訳もこなれていて読みやすい。何度も落とされたであろう猫たちを気の毒に思いながら、巧妙にひねる写真が出てくると可愛いなと思ってしまう。それでいて、非常に壮大で読み応えのある本。
『物理学では数式や観察を通じて「物事がどのように作用するか」はとてもうまく説明出来るが、「なぜそのように作用するか」は必ずしも分からない』(p426)
だからこそ学問があるのだなと思う。私もなぜ本を読んでいるのかと聞かれると正直困る。オススメです。
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当たり前ではあるが本書は題名通り「落下する猫が宙返りして着地できるのはなぜか」を論ずるもの。と言ってしまえば身も蓋もないが、しかし2つの理由でなかなかに読ませる作りになっている。
1つ目の特徴は、本書が19世紀以降の物理学が獲得してきたパラダイムを順に追いかけ、その時代時代に妥当とされた知見から導き出される暫定的な宙返り問題の「正解」を時系列的に並べる形をとっていることだ。そのため、僕のような物理学に見識のない読者は「これが究極の答えでは?」と何度も早とちりをさせられるのだが、先を読むたびにその都度問題の「一筋縄ではいかなさ」を思い知らされることになる。一応の正解は、NASAに研究を委託されたスタンフォード大の科学者トーマス・R・ケインらが辿り着いた、ラドマーカーらの「ベンド・アンド・ツイスト」を2度行うモデルのようだが、何せ本書はその時点でまだ5分の2を余しているのだ(若干拍子抜けだが、終盤近くで「猫は物理学者と違い、一つのモデルを排他的に選択しているのではない」という指摘がなされる)。
2つ目は、そのパラダイムの相幕に挿入される逸話の面白さだ。猫の空中落下連続写真を世に出した19世紀末の2人の科学者の邂逅(なんとこの2人、イニシャルも生年も没年も同じ!)、偏屈な数学者ジュセッペ・ペアノが挑んだ不毛な「チャンドラー揺動」の原因発見者争い(結局的外れだったというのが面白い)、8階よりも高所から落ちた方が高くなる猫の存命率、「ビュリダンのロバ」と呼ばれるロボット特有のパラドックスを克服するためのアルゴリズム…どれも単独で一冊の本ができそうな厚みのある話だが、極め付けは、最終章手前で論じられる「トポロジー位相」に関するものだろう。
猫の宙返りは、全体として角運動量を保存したま身体の各部分を連続的に動かしながら、最終的には最初と全く姿勢のまま正反対の方向を向く。これが「フーコーの振り子」を例に論じられる「非ホロノミック系」という幾何学的位相変化の蓄積と同じだというのだ。確かに、この猫の「腰の曲げ角度」と「腰をひねる角度」からなる座標を球表面上に配置し、猫の身体運動を計時的にプロットすると、先述のラドマーカーのモデルが猫の背骨の構造上不可能な領域を通過しながら元の座標に戻るのに対し、ケインのモデルではそのような無理のある経路を通らないことが視覚的に把握できる。これには驚かされた。フーコーの振り子と猫の宙返りをトポロジーで繋げる著者の力量に感じいることしきりだ。
以上、猫の可愛らしいイメージとはややかけ離れたハードな内容を持つ本書だが、読み物として非常によく作り込まれており、知的好奇心を満足させるに十分。やや長いが多くの人に読まれることだろう。
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図書館新刊コーナーから。
本の大分後半まで、猫の回転方法は一つだと思いこんでいた。
人間だって、逆上がりするフォームは、似ていても完全に一致はしないだろう。
猫だって、結果無事に着地すればいいのであって、フォームは気にしていないだろう。
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猫の宙返りを起点に他分野の科学史について楽しく読めた。
知識がないので所々読みづらくはあったが全体的に平易な文で書かれており非常に面白かった