イヤミスの典型。
2015/09/25 17:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
話のベースというか、展開はきっちり密に組み立てられていて引き込まれるのだが、しかし何とも後味が悪い。そもそも虐待を受けている少女がメイン(色々な人が彼女について語る、という形をとってはいるが)だから、話に影があるのは当たり前なのだが、最後に至って次々と判明する事実が何ともいえない。何がどう厭か書くとネタバレになるので避けるが、とにかく一番読んでいて厭なタイプ。結末もまた、救いようがなかった。すごいとは思うのだが…。
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帯にあんな事が書いてなければ、もっと純粋に読めたのではないかと思ってしまう。それでも私には十分面白い作品でした。
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全てがインタビュー(インタビュアーのセリフはないので、モノローグとも言えます)で構成されています。児童虐待がテーマなので少々重たいですが、グイグイと引き込まれるお話です。ラストに向かっての加速感と、どんでん返しとも言える結末は読み応え抜群です。
話の軸となる児童相談所の所長がばりばりの長崎弁なので、読んでるうちに長崎弁がうつってきます。
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これは…。個人的には「告白」よりも、「愚行録」よりも面白いと思った。
DVが主題のため心が痛いシーンも多いが、続きが気になって読み進めてしまう。
そうしてラストシーン。いわゆるどんでん返し系で、帯にも「予想外の結末に驚愕する」とあるが、なにをもって本作を「どんでん返し」と位置付けるか。詳しく書くとネタバレするので控えるが、個人的意見としては、ふたつの箇所でどんでん返しが起こっているように思われ、面白い。
描写力が秀逸。名前が出なくても口調や文脈だけで、誰の語りなのかが明確になる。
そうして、タイトルと章題も秀逸。
第9回「このミス」の優秀賞作品。ちなみにこの回のこのミス大賞は「完全なる首長竜の日」。
個人的には、大賞には本作のほうが選ばれるべきだったのではないかと思う。
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評価が高かったので目について読んでみたわけですが…後ろの解説にもあったので湊かなえの告白と比べてみますと、どっちも救いはないんだけどあっちは犯人がこれから自分は罪を犯す、自分はどうなってもかまわない、という強い意志を最初から最後まで感じる。そもそも最初に何が起こったのかを説明し、その上で周囲の人間の話が始まるので流れも理解しやすい。一方こちらは、そもそもなにが起こったのかさえかなり最後のほうまでわからない。被害者どころか事件そのものがわからないから何の話だよ! とかなりイライラするし、登場人物たちにわかったように語られてもすべてぼかしてあるからふーんとしか思えない。そして、犯人は最後まで犯人としての自覚がない。あるのかもしれないけれど、これは結局は心の病だよねー治らないよねーという扱いなんでしょう? 題材がこれでラストがこれでは、読後感悪いとかそういう問題ですらないような…
正直、奇をてらう以外の目的なかったんですか? と聞きたくなります。小説に対する考え方の違いかな。
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この作品、テーマは「児童虐待」なのです。
もう読んでてイライラ・モヤモヤ・怒り・悲しみ、色んな思いが浮かびます。
そして児童相談所の実情について詳しく書かれてもいます。
児童相談所というのがこういう施設なんだと、今回初めて知りました。児童相談所に与えられている権限や、それをどう行使するかなど興味深く読みました。
とっても興味深く、一気に読みました。
ただ、『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞作品と思って読むと少し違うような感覚が残ります。
「驚きの結末!」みたいな事はないです。
ラストに浮かび上がるものはあるのですが、そこまで「驚き!!」というような事でもないと思います。
むしろ「やっぱりな・・・」って感じで、とってもやるせない気持ちに。
タイトルと装丁から、かなりエンタメよりの作品かと思いましたが、そんな事はなく、重いテーマを扱った読み応えある作品でした。
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後半は面白かったが、前半は誰が誰の話をしているのかよく分からず、読むのが辛かった。
児童虐待に絡めた話で、構成を除けば、有りがちなストーリーという気もする。ちょっと読むのに時間を空けすぎたこともあり、あまりのめり込むこともなかった。
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ありがちの極み。
使い古された、いわゆる「愚行録」「理由」「告白」手法に、「白夜行」の雪穂くずれのヒロイン。
二番煎じも大いに結構、でもオリジナルを越える何かがないと。
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養父から虐待を受けて育ったある少女に対して、ルポを行っている主人公&関係者たちのインタビューで構造されている作品。
虐待というのはこうも連鎖してしまうものなのか・・・。
どこかでこの連鎖を断ち切ってもらいたいと思わずにはいられなかった。
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衝撃的でした…
このミステリーがすごい!優秀賞作品と知り、読んでみました
語り口調、児童にまつわる話なので
「告白」をどこか思い出してしまいますが、
どちらか選ぶのなら
私はこの作品のほうを選んでしまうと思います
すっごく面白いです。
いい本と出会ってしまいました;-)
ミステリーとしても大満足で何重にも仕掛けられていました
児童虐待、児童福祉施設への問題がかなり訴えかけられています。
読み終えた後は家庭内暴力の怖さに震えてしまうと思います
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最初は【湊かなえの告白】系の話?
主人公が虐待の末に…?
なんて思いながら読んで、終盤で「あれっ?」って焦って( ´艸`)
最後の一行でゾワッってなって(^_^;)
ちょっとやられたって感じ。
でも、このやられかたは【荻原浩の噂】とかでもやられてるからなぁ。って感じも否めない(笑)
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この本を読み終わったときに思い出したのは、
以前読んだ本の「どっちも被害者にはなれんたい。」という言葉。
一つの虐待が次の虐待を生む、負の連鎖。
みんなが被害者で、でもみんなが被害者にはなれない。
どこかで必ず線引きをしなくちゃいけない。
でも、じゃあその線引きはいつ、どこで、誰がするのだろう。
母親と亜紀ちゃんの間に引かれた線は、しっかりとした境界線の役割を今も果たしているのかな。
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ある少女にまつわる殺人の告白読了。オチは、あーまあそうなるよねーって感じだったんですが、クライマックスの真相はお見事でした。これならたしかにこのミスも許せる。しかしこの報われなさがな……というか、中身はいいんだけどやっぱりこの独白形式の流行はうむ……あまり……
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重い…あまりに重い… けれど、読み応え充分♪ ^^
湊かなえの「告白」と比較する人が多いようですが、自分は読んでる間、まったくそっちは思い浮かばず、恩田陸の「Q&A」と同じ形式なんだな~、としか思ってませんでしたw こうしたインタビューだか会話形式だとかモノローグのみでストーリーが進んでいくスタイルが昨今流行っているのは「告白」が大ヒットしたから、というのが巻末解説の説明ですが、本当に流行ってるのかどうかは知りません。文庫しか読まない人間なのでww
しかし帯などで妙に煽っている感ありありの、ラストに大どんでん返し!、というほどの仕掛けは、ラストにはありませんでした。自分的に、あのラストは読めてしまったのでw ただ、そのラスト手前の部分の隠された真実と、そこに至るまでのミスリード描写は本当に素晴らしく面白いです。
重いテーマが敬遠されがちかもですが、読み応えのある物語を欲しているなら読んで損はしないと思います♪
次回作は明るい職業+恋愛モノ(有川さん系?)らしいので、非常に楽しみです♪♪
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10年前に起こった虐待を受けた少女めぐる事件を児童相談所の所長など様々な事件の関係者からのインタビューをもとに浮かび上がらせた小説。
インタビュー形式の小説なので読み口は湊かなえさんの『告白』や宮部みゆきさんの『理由』と似ているのですが、独白だけの小説ながら人物の書き分けが上手い! 事件の関係者の数は結構多かったのですが、どれも人間臭さが感じられました。方言を有効に使っているあたりもその人間臭さにつながっているのかな、と思います。
ミステリーとしてはかなりの技巧派の作品だと思います。小出しにされる事件の全容に引き付けられるとともに、意外な展開もしっかりと見せてくれます。自分は10年経ったこの事件を今更蒸し返すインタビューの聞き手についていろいろ考えながら読んでいたのですが、これもなるほどな~、と思わせられました。驚きとまでは言わなくてもそうつなげるか、という巧さに感心しました。
少女の両親に対してなかなか強硬手段がとれない様子にもどかしい思いに駆られます。こういう話読んでいるといかに司法が子供を守るのに力不足なのか考えてしまいます。そしてそれが生み出した新たな悲劇……ラストに進むにつれ哀しさとともに、薄ら寒さもこみあげてきました。エピローグ的なものも非常に気になります。このインタビューの聞き手はその後どんな行動をとったのかなあ……
第9回このミステリーがすごい!大賞〈優秀賞〉