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紙の本
未登録文化遺産
2022/07/11 00:30
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投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
植物の生育には、水が欠かせない。
椒村は名水の里である。
椒村では、米も野菜も、特級の品が収穫される。
全国的に知名度の低い、この村の特産に目を付けたのは、日本人ではなく、宇宙人であった。
暴虐な肉食民族ヴァルマン族が地球を調査対象の星に選び、日本の過疎地域に潜入している事実を知るのは、椒村の一握りの住民だけであり、人類の未来は、野菜が大好きな若い日本人女性の行動に左右されている。
飲食店で働くナツキの祖父は農業を営んでおり、彼女は、野菜に興味を示したレオガルズを祖父の龍三に紹介し、レオは彼をマスターと呼んで、ナツキと龍三から農業のイロハを学び始めた。
肉食の宇宙人が雑食へと食生活の転換を図ろうとするのには、それなりの理由がある。
ナツキと出会った時、レオは食欲を刺激されて、人肉を喰うシミュレーションを脳内でした。
肉を食べない日々が続くと、禁断症状を発して、レオは理性を失いかけるのだ。
この様な生態の宇宙人が、野菜の摂取と栽培技術の獲得を、一族の者に対して説き勧めるのであるから、ヴァルマン族は深刻な社会問題を抱えている、と考えるのが自然であろう。
ヴァルマン族は封建的な階級社会を形成してはいるものの、実力主義を採用しており、女性が活躍する道も閉ざされてはいない。
レオの兄貴分のシドルドは、菜食に対して否定的な考えを持ちつつも、農業以外の技術を、龍三の友人である虎次から習得中だ。
しかし、レオが有益な提言をしたとしても、上司の意向に沿わなければ、左遷されるだけでは済まされないのがヴァルマン族の社会であり、現在、身の危険が迫る程、レオの立場は非常に危うい。
人類社会には、紛争を回避し、相互理解を促進する、様々な潤滑剤がある。
飲み物は、体を潤し、心を解す。
ヴァルマン族は、水の恩恵を、過小評価している。
水は百薬を育む。
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