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文化論
2023/04/03 23:10
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投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人と人は互いに異なり、相互の理解のために演劇が役にたつ。
まず互いに違うことを認め合うことから始めなければならないが、これが難しい。
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個人的には平田オリザ著「わかりあえないことから」の方が内容が充実していて、話が深く胸が躍ります。ぜひ読んでみてください!
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このシリーズ好き。先だって読んだ、ユウさんの本でも書かれていたけど、演劇を通じてのエンパシー鍛錬には結構興味があって、本作でもその思いを新たにした次第。台本に近づけなきゃって思うから、かすかな違和感がどんどん募るみたいな状況が生まれ得るし、結果、参加自体を拒否することに繋がる場合もある訳だけど、じゃあそもそも、台本の方を変えちゃえば良いよね、ってだけでずいぶん世界は広がる。演劇に止まらず、遍く提供されて然るべき発想だと思えるけど、最初の一歩として取り組みやすい分野かも。
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「2時間で読める教養の入り口」が売りの「学びのきほん」シリーズで、演劇と教育の話。生きる上で演劇がなぜ必要か、教育に取り入れることでどんな力を付けさせるのか、という話がとてもコンパクトに分かりやすくまとまった本。コロナやウクライナ侵攻といった世相も絡めて解説されている。「どんな多様な価値観が集まったとしても、それぞれの価値観を認めあいながら、対話をあきらめず、問題を解決して、楽しく共同体を作っていける自立した一人ひとりを育てたい」(p.111)という一貫した著者の思いがよく分かった。
おれは英語を教える人なので、そして昔演劇を少しやっていたから、演劇教育の必要性といった話がスッと入ってくる感じがするけれど、それ以上に英語教育の中で何ができるのだろう、ということを考えたりした。例えば、著者は「世界的に見れば少数派に属するハイコンテクストな日本社会の文化を背負い、日常的に使っている日本語の特徴を活かして戯曲を書いて」(p.45)いて、さらに「それを相手にわかるように、相手の文脈に翻訳して説明できる」(同)らしいが、こういう力って高校の英語で付けるものなんじゃないのかな、と思ったりする。高校では新しく「論理・表現」という科目があって、もはや英語の英の字もタイトルから外れてしまい、とにかく「英語的な」論理・表現の方法を学ぶという目標だけれど、母語である日本語との対照という観点を入れてもいいんじゃないかなあと思った。ということを考えると、もっとおれが学生時代に語用論とか日英対照みたいな分野を研究して、それを教育に活かすとかそういうことをテーマにすれば良かったのに、と今さら思うのだけど。まあ今からでも遅くないのか??「戯曲とは、世界そのものをリアルに写すための設計図ですから、事実を正確に写しとるためには、リアルな話し言葉で台詞を書かなければいけない。」(p.47)というのが、平田オリザさんの提唱する現代口語演劇、ということだそうだけど、実はあんまりこういうの見たことないよなあ、と思った。
「価値観の違う人と出会ったとき、『なんでわかんないんだよ』とキレたり、『どうせわからないだろう』と諦めたりするのではなく、対話をしながら『お互いが変わっていく』ことに価値を見出していく。本来の対話ができたときにはきっと、プロセスは面倒臭くてもそれ以上に成果を感じ、ときには喜びさえ感じるはず」(p.60)というのは、それを体験させてやれればいいよなあと思う。けどまずこの体験をおれがしたい、と思ったり。なんか年々、寛容な部分はとても寛容になる一方、不寛容な部分はより不寛容になるっていう、この傾向ってなんなんだろう、と思う。歳を取るってこういうことなんだろうか?
あとは教師として生徒をどう支援するか、というのは難しい。というかおれができてないなあと思って、反省した。「私が気をつけているのは、できるだけ子どもたちを放っておくことです。私や先生が『こうしたほうがいいよ』などと言ったところで、子どもたちはほとんど聞く耳を持ちません。友達の発表で失敗や成功を実際に目撃することで、自分たちで気づき、多くを学び、次の時間への意欲が湧いてくるのです。」(p.75)、「『子どもたちが失敗しないように』という配慮から、ある程度の水準になるように誘導してしまう先生をよく見かけます。しかし、そこで余計な口を出してしまうと、子どもたちは自分で考えることをやめてしまいます。」(p.86)って、はーいおれです、って感じだった。親には失敗させろって結構言うのに、クラスの行事とか結構おれ助けちゃうんだよなあ、というこの気持ち。まあ色々言いたいことはあるんだけど、これくらいにしておいて。
他にも「共同体の中で最も弱い人をどう活かすか」(p.75)とか、「演じるというのは(略)『自分のコンテクストを少しずつ押し広げてその役柄に近づいていく』こと」(p.93)だとか、日本人はシンパシーは得意だけど、エンパシー(「異なる他者を理解するための行為、態度、あるいは想像力」(p.100))が苦手、とか、面白かった。平田オリザさんも面白いけど、このシリーズの他のも結構読みたいな、と思った。(22/08/29)
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近代化に従って都市に人口が集中し、村落共同体を保つための祭りや芸能だけでは限界が見えてくる
と、それを補完する形で、多様な価値観を持つ人々が合意形成する方法を学ぶため、先進的な国々で
は演劇教育というものを取り入れるようになっていきまし
ハイライト(黄) | 位置No. 633
人間は元来、「対話」を欲していません。価値観が近い気の合う仲間だけで楽しく暮らしていけるの であれば、「対話」は必要ない。「会話」だけで十分なのです。しかし、もはや世界に出るまでもな く、日本社会も多様化が進んでいますから、「会話」だけでは対応できない。 「対話」は、どちらが 正しいかを競うことでも、勝ったほうに従うということでもありません。お互いに異なる価値観をす り合わせ、新しい価値観を創造していくコミュニケーションです。価値観の違う人と出会ったとき、 「なんでわかんないんだよ」とキレたり、「どうせわからないだろう」と 諦めたりするのではなく、 対話をしながら「お互いが変わっていく」ことに価値を見出していく。本来の対話ができたときには きっと、プロセスは面倒臭くてもそれ以上に成果を感じ、ときには喜びさえ感じるはず
ハイライト(黄) | 位置No. 677
演劇は、観劇によって「世界を見る解像度を上げる」だけでなく、自ら作り、参加する体験を持つこ とを通して、母語の特性を捉え直し、その特性を体感することができます。 つまり演劇は、「対話 の体力」を 鍛えるのに最適なツールでもあるの
ハイライト(黄) | 位置No. 701
日本の学校教育は、明治時代、強い軍隊や国家を作るための教育として始まりました。国の命令に疑 問を持たず行動できる国民を育てるための教育です。しかもそれを、全国の子どもたちに一律の内容 で教えてきました。 このシステムは子どもたちやプログラムを管理しやすく、教える側としてはや りやすいものでした。その結果、諸外国に比べると教育格差、地域間格差の少ない国となりました。
しかし、そのような良い面がある一方で、時代が進み日本社会の価値観が多様化するにつれ、画一的 な教育システムにはひずみが生じ、子どもたちとの間に大きなずれが 顕在 化 してきたの
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演劇が社会に必要なこと
多様性を受け入れるために必要なこと
が平易な文章で書かれていてめっちゃ面白い!!
もう一回読む
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私たちにはまだ演劇がある。未成長の分野があることは、日本の希望だと思う。
多様なままでともに生きる世界を、みんなで考え対話するべきだ。大人も子どもも。
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分かり合えないことから
を読んでオリザさんのファンですというか、師匠と思ってます。
こちら読みやすかった。友達(教師)に教えたろ!
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演劇って観たり伝えたりするだけのもじゃなくて、「する」ものだよね!演劇をやる本人や共同体がが何かを得たりできるものだよね…
自分の発する言葉や、言葉や身振りのつながりについて意識的になる、つまりコンテクストが同じとは限らない相手と「対話」することで、理解し合うワークになるし、それを日常的に行う練習になるよね…
「転校生」を実際に授業でつくり上げていくなかで、メンバーに合わせて設定からやわらかく形を変えていく様、実社会でも応用できそう。
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演劇をまたやりたくなったけど、会社の中でも役立つようなヒントがいろいろあった。「冗長率」を自在に変化させる力。これを駆使してみたいと思った。そして対話の体力をアップさせる、うんうん、その為にはシンパシーよりもエンパシー。共感力ね。がんばろ。
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「演劇を通して「対話」を学べば、違いを乗り越え、ゆるやかにつながれる
日常的な話し言葉を用いた「静かな演劇」で、日本演劇の潮流を変えた平田オリザ。日本語の特性やコミュニケーションのあり方を徹底的に分析してきた同氏がたどり着いた「他者と世界を理解する」方法としての演劇とは。役割に応じて「演じ分ける」存在である人間にとって、演劇はその起源から実社会におけるコミュニケーションと切り離せないものだった。多様化が加速し、疫病や戦争で人びとの分断も進む社会のなかで、「ともに生きる」ためにはどうすればいいのか。フィクションの設定を借りて自由に台詞を考え演じる「演劇ワークショップ」は、ことばへの意識を高め、異なる価値観を理解し、仲間とともに新しい価値を創り出す充実感を体験する有効な手段のひとつ。教育現場からも熱い注目を浴びている実践例をはじめ、演劇の可能性をさまざまな視点から検証した異色の演劇入門。」
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なぜ日本人が対話が苦手なのか、
なぜ今対話が必要なのか、
など、演劇の視点もだけど、ことばやコミュニケーションの取り方、教育の観点からも勉強になった!今まさに読みたい本だった!(出会えてよかった〜)