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歴史とはなにか みんなのレビュー

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みんなの評価4.0

評価内訳

38 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

最初からやり直し

2001/12/20 08:21

5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:小田中直樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ずいぶん昔、まだ高校生だったころ、「これは名作だから読んどけ」っていわれて、僕はイギリスの歴史家エドワード・カーの『歴史とは何か』(岩波新書)を手に取った。タイトルは大雑把だし、これは楽勝だろうって思って読みはじめたんだけど、これが大間違い。あとで知ったけど、これは世界を代表する現代史家が歴史学について深く鋭く考察した、まさに玄人向けの一冊で、高校生の素人の手におえるような代物じゃなかった。そして、その出版から四〇年たって、同じタイトルの本が出た。この野心的な本のなかで、著者の岡田さんは、世界の文明ごとに歴史認識のあり方を比較し、日本史を例にとって歴史と神話の関係を論じ、現代史の特徴を解説した。

 この本のメリットは、歴史の問題は時間をどう認識するかにあり、その認識のし方がまさに文化なのだと指摘したうえで、インド、イスラム、アメリカ合衆国、中国、地中海、日本という世界中の文明について、歴史認識の特徴を抽出して比較するという、野心的で膨大な作業に取り組んだ点にある。その際、岡田さんは、直進する時間の観念、時間を管理したり文字を記録したりする技術、そして因果関係の思想が揃わなければ歴史は成立しないと考え、インドとイスラムと合衆国は「歴史のない文明」であり、中国と地中海は「歴史のある文明」だと主張する。たしかにインド文明で重要なのは輪廻の思想であり、イスラム文明では因果関係は神の領域にあり、合衆国文明は過去を顧みないっていわれると、もっともな気がする。また、同じ「歴史のある文明」でも、中国文明の歴史観では「変化があってはならない」(四一ページ)のに対して、地中海文明の歴史観では「世界は変化する」(五九ページ)っていわれると、これまた「うーむ」と唸るしかない。分明と文明が理解しあうのは、こんなに歴史意識が違うとすると、なかなか大変なことだろう。

 この本のデメリットは、おもに日本史と現代史を論じる部分に関わって、次の二点にある。第一、立場が揺れてわかりづらいこと。たとえば、「歴史」って言葉を、実際に存在した過去の事実って意味で使ったり、それを叙述したものって意味で使ったりする。世界の変化には法則(筋道)はないって理由で「発展段階論」を否定しながら、筋道のない世界に筋道を与えるのが歴史だって主張する。歴史は科学ではなくて物語や文学だっていいながら、「よい歴史とは、結局、資料のあらゆる情報を、一貫した論理で解釈できる説明のことだ」(二二〇ページ)っていう。国境を超えた歴史である世界を描かなきゃいけないっていいながら、「国民国家の垣根を越えた共通の歴史認識を持つということが、いかにむずかしく、危険なことであるか」(一二六ページ)って断言する。歴史の使命は権力の正当化にあるっていいながら、歴史から価値判断を排除することを説く。

 第二、根拠なく断定すること。たとえば、集団的なアイデンティティは誕生したときの事情に最後まで影響されるとか、現代史では細部が問題だとか、歴史の主流は政治史だとか、現代史を見分ける基準は国民国家だとか、世界史は良くて一国史は悪いとか、どれ一つとっても、真面目に論じるためには本が一冊必要になるような断定がてんこもり状態なのだ。一九世紀以後に出来た概念を使って一八世紀以前の歴史を叙述しちゃいけないっていう不可思議な主張もみつかるし、この本を読んでも「歴史とはなにか」はわからない。

 もしも「看板に偽りあり」になりたくなかったら、「歴史」って言葉を定義し、歴史の書き方を解説し、歴史の客観性について説明し、国民国家のこえ方を提唱し、歴史と価値判断の関係を検討し、ものごとを整理するために使う概念の働きを考えなきゃならないだろう。おっと、つまり「全部最初からやり直し」ってことじゃないか。[小田中直樹]

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