紙の本
サラリーマンとは何を映し出していたのか
2022/11/20 09:54
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投稿者:トリコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1960年代ごろを中心に、サラリーマンそのものというより、文芸作品やメディアの考察を通じてサラリーマンとその時代について考察した研究。
あとがきで、著者が、親より祖父に影響を受けているように書かれているのが興味深かった。
電子書籍
会社員
2024/03/18 16:39
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投稿者:hamu - この投稿者のレビュー一覧を見る
サラリーマンの文化史ということで時代がよくわかって面白かったです。サラリーマンもいろいろと変化があってすごかったです。
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谷原吏『〈サラリーマン〉のメディア史』の中で、近々出版される、と言及されていた本です。朝日新聞の書評でも、同時に取り上げられていました。同じテーマのシンクロニシティだとしても「メディア史」と「文化史」の違いを感じました。「メディア史」の方はサラリーマンという存在が社会からどう「まなざされて」来たか、の歴史ですし、「文化史」の方は副題に『あるいは「家族」と「安定」の近現代史』とあるようにサラリーマンの心はどう揺れ動いて来たか、の歴史です。「文化史」は士族という身分制度の崩壊から始まる「月給取り」という存在の出現を源流とする中間層の浮き沈みの物語なのです。だからタイムラインは近代産業史であり、舞台は都市(それも東京)成立史であります。朝日書評には「サラリーマン」のレクイエム、という言葉を両書共通に見出していますが、「文化史」が指摘している社会最下層への転落を恐れる存在としての「サラリーマン」という発見は、鎮魂歌というより現在進行形の問題かと感じました。また、それぞれの本がページを割いている映画についての違いが興味深いと思いました。源氏鶏太の「三等重役」を原作とする「社長シリーズ」は共通として、「メディア史」は植木等の「無責任シリーズ」、「文化史」は「江分利満氏の優雅な生活」というのがそれぞれの本の論点を象徴しているようです。つまり社会からどう「まなざされ」るか?が平均。自分の中の「恥ずかしい」とどう折り合いつけるか?が江分利満。テーマの違いだけではなく1986年生まれと1976年生まれという違いもあるかもしれません。それにしても岡本喜八特集で「江分利満氏の優雅な生活」見ておいてよかった。
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面白く読める学術書も増えているが、こちらはタイトルはキャッチーなものの、中身は学術書。研究者には役立つことが多いと思われる。