紙の本
老人の過去とは
2024/01/12 23:36
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投稿者:キレイな富士山 - この投稿者のレビュー一覧を見る
軽度認知障碍の元刑事が、認知症疑いのある老人の過去を調べ始める。徐々に明らかになる老人の過去に、驚愕の事実が潜んでいる。
紙の本
「認知症」というワードが主として出てきます
2023/05/24 13:53
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投稿者:みえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからは、想像できない内容でした。
認知症の予備軍とでも言うべき主人公が、娘をきっかけに出会った認知症の老人の過去を調べるにつれ、警察の過去の悪しき隠蔽を知り、裏を暴いていく、というのが本筋です。
その中で、個人の葛藤や生き様などが巧みに描写されています。老人の壮絶な過去を紐解いていく様がおもしろかったです。さすがに警察は、そこまで腐っていないかな?とは思いましたが。
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第66回江戸川乱歩賞受賞作。
特別養護老人ホームの門の前に、置き去りにされた身元不明の認知症の老人。老人の身元を突き止めてほしいと娘から頼まれた元刑事藤巻は、自らも軽度の認知障碍を患っており、他人事とは思えずこれを最後の使命と引き受ける。
始まりは地味な老人の身元調べ。
だけど、老人が隠し持っていた数枚の身分証明書が発見されたあたりからぐいぐいと謎に引き込まれていく。
深まる謎、何者かによる脅し、証拠品の盗難、そしてとうとう死者まで。このあたりになると緊張感で息もつけないほど。
そして次第に明らかになっていく真相。黒幕の正体は?一気に社会派ミステリの様相を帯びていく展開に読むのをやめられない。
何より、利用され人生を損なわれた一人の男の哀しい一生、そしてその末路である今を思うとやるせない。
最後の収まり方には様々異論はありそうだけど、あそこで黒幕が生き延びる結末は読者としては感情が許さないかも。
主人公の今後に思いを馳せると辛いけど、失った20年を取り戻すという決断に少しの希望も。
記憶がこぼれ落ち何もわからなくなる直前、最後に残る記憶は自分の場合はなんだろう?と考えてしまいました。
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介護施設の前に捨てられた認知症の老人
彼は誰かを求めて元警官の老人が動く 元警官は認知症の前段階だとの診察を受けている 彼もまた他人には言えない過去を持っている
思いもかけない大きな謎が次々と明かされてゆく
ミステリーとしても充分面白いが、認知症のひとに最後まで残る記憶はなにかを考えさせられる
江戸川乱歩賞受賞作であり、巻末の選評もなかなか手厳しく読み応えある
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始めはライトなミステリーかなぁ?と思っていたのだけれど、読み進めるにしたがってがっつりミステリーだったし、門前さんをめぐる背景が壮大なものでびっくりしたけど面白かった!
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面白かった!これぞ江戸川乱歩賞って感じの作品。
前日譚に当たる短編も良かったです。
ここ数年の乱歩賞受賞作の中では一番好き。
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静かなミステリと思ってたら、読み進むにつれ広まり絡まる展開に引き込まれてしまった。
"クルーカット"の通称とか、渋いんだけど、ちょっとくすぐる感じもすごく好き。
最後に残される記憶、私は何だろうな。
それを不安だと考えてしまう"門前さん"の生きてきた日々を思うと、心がきゅーっとなった。
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第66回江戸川乱歩賞受賞作
元刑事の藤巻は、事故でケガをした際軽度の認知障碍を宣言される。
離婚した妻はすでに亡くなり、大学の娘はいるが迷惑はかけられないと思っていた。
娘の実習先の施設に身元がわからない認知症の人がいるので調べて欲しいと頼まれ、事件に巻き込まれる。
緩やかに始まるが次第に引きつけられてゆく。
自分の記憶がどこまで…という不安もありながらも認知症の人が気になるのはなんとも言えない。
調査を続ける藤巻の姿に元刑事としての矜持も感じつつ、胸にせまるものも感じてしまう。
そして、父と娘の揺るがない信頼関係もことばにできないほど。
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主人公が軽度認知障がいと診断されたところから開始するが、もっと重度の認知症患者が登場し正体を探る。もう認知症関係なく、身元調査がどんどん壮大にハードボイルド感も溢れる展開に。ジャケ買いしたことを忘れて2冊買ってしまった。
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マンションの管理人で、元刑事の主人公の藤巻は認知障碍の宣告を受ける。先の不安を思いながら、大学生の娘の研修先である介護施設で保護されている認知症患者の身元調査の依頼を引き受けることに。妨害や脅迫と事件が動いて行く。その裏に隠された真実とは…。
江戸川乱歩賞受賞作ということで手に取った作品。
まずは読みやすかった。どんどん話に引き込まれていきました。
藤巻と警察との確執、家族との関係、認知症への恐れなど、いろいろと絡みあって進んでいきます。
記憶がポロポロとこぼれ落ちていってしまい、なにもわからなくなる直前、最後に残される記憶は、いったい何だろうか…人生を奪われた男性が記したノートの言葉が印象深かった。
もっと暗くなるのかなと思ったけど、読後感は良かったです。
前日譚にあたる短編「春の旅」はほっこりでした。
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第66回江戸川乱歩賞受賞作品。軽度認知障碍を患った元刑事の藤巻が身元不明人「門前」の過去に迫るうちに徐々に恐るべき真相が炙り出される。人間ドラマ・サスペンスものとしては面白いが展開の風呂敷を広げすぎ真相が飛躍しすぎたように感じる。主人公の認知症の設定ももう少し深みを持たせてほしかったように思う。