紙の本
整理整頓
2023/01/01 17:21
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
1) 日本では、捨てるブームが起きて久しい。 捨てて捨てて捨てて、まるで新たに興った 「 捨てる宗教 」 みたい、と感じることがある。
2) 本書は、捨てる話ではない。 家具も台所もバイオリンもバルコニーも、全ての物は、本来の目的で使われてこそ満足し、その積み重ねがオーラとなって部屋に漂う。 家は美しいが、愛情豊かに輝いているか。温もりはあるか。 幾ら綺麗でも人を寄せつけない家、これが原因で離婚に至ることもある。 こんな感じの内容で、確かに、羊頭狗肉の家に羊頭狗肉の客や友人を招く、ってのもどうかと首を捻ってしまう。
3) イランの 「 白の拷問 」 と 「 人間が完璧さを求めることは罪深い 」 という話しが出て来るが、この二つは、捨てて捨てて完璧に近く整理整頓された白っぽいミニマリストと重なった。
4)主人公は、床に付けてしまったワインの染みを消そうと奮闘する、、、病的なくらいに。 これを読みながら、私自身は、私をも含めた家族と飼い猫が、部屋の壁や床、家具等のあちこちに付けてしまった数々の消えない傷や落ちない染みが、愛おしく、それらを見る度に懐かしい思い出が甦り、「 いろいろあったよね~、楽しい事もそうでないことも、でも許しちゃうよね~ 」 って、そう思っていたら、チャンドラー・ノヴァイクなる人物のお手入れ本が登場して、 「 どんな木の床でも時が経てば傷むが、それは木に魂があり生きている証拠。人間だからアクシデントは起こる 」 とあり、思わずニンマリ。
5)本書は、「 家 」 を手入れして綺麗にするのは、住んでいる人や訪れる人が、「 いかに居心地が良いか 」 に尽きるのではないか、と思わせてくれる。
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友人から留守の間、家と猫を預かって欲しいと頼まれた主人公が、トラブルを隠すことに奔走する作品。ネタバレになるので言わないが、大きな隠し事は最後どうなの?、と思う。少し中途半端かな。
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オスカーの人物像を語る毎に自分で自分を追いつめる主人公
不条理ではなく自ら騒動を起こした結果であり、混沌ではなくただの酩酊
「フラット」から解放された文末
「世界は無限に広がっている」
この一行で、最後まで読まずに4日目あたりでやめておいたら良かったと心から後悔
ただ、オスカーの企みはあらゆる場所にメモを忍ばせてるあたり、主人公を知り尽くしている感に一抹の友情を感じる
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表題は、作中に出てくる架空の本のタイトルなんだけど、これが、世間によくある「おしゃれライフスタイル本」のパロディで、主人公がその本を読むところ、シチュエーションが絶妙でおかしくて笑ってしまった。
全体として、非常に緻密に考えられた設定の話(ジャンルとしてはミステリになるのかな?)で、なかなかおもしろかった。
ちょっとしたミスを隠そうとしてどんどん悪い状況に転んでいく、という展開は、読む方も最初から分かっているんだけど、私が最初に想像したよりはるかにとんでもない状況になっていって、でもちゃんと全部きれいに回収されて、すごく納得のいくラストだった。
作者は建築・デザイン関係のライターだというけれど、確かに完璧な建築みたいな設定と結末で、頭のいい人だなぁと感心した。
正直にいうと、主人公の物思いが冗長すぎて前半はかなり退屈なので、それで★ひとつマイナス。
タイトルを見たとき、私の大好きな本『悪意と憂鬱の英国式週末テニス』(マデリーン ウィッカム著)をなぜか想起させられて読んでみたくなったのだが、思った通り、その本と同種のユーモアの本だった。強いて言うなら、悪意と憂鬱の英国式ユーモア?
ディテールがほんのりとおかしい。
音楽家のオスカー(←超神経質な性格)の作品「路面電車の時刻表による変奏曲」とか。
主人公がどう思ったかはともかく、私はオスカーいい奴じゃん、と思ったけどな。
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なんかもっとこう、ユーモアの質というか、勝手に期待していた自分が悪いんだろうが、
それ以上にこの本の全てにおいて中途半端なやりっぱなし感がひどい。
良いのは猫における描写のみ。多分作者は「人間同士における微妙な距離感(生まれ育ち人種)」を描きたかったんだろうが、舞台はイギリスなんだけど、主要人物のアイデンティティの説明も雑だし、結局何が言いたかったのかほんとにわからんかった。白人がゆったりのんびり余裕を持って生きれて、アジア人は頭脳だけは良くても人間性が良くない、そういうこと?
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海外小説をあんまり読んだことがないからか、これが怖さとおかしさなのか分からなかった。
家主の注意を無視し好きに生活したら大変なことになっちゃった。お咎めもなく主人公的にはハッピーエンドっぽいのがすっきりしないというか不完全燃焼。そういうのも含めユーモアでおかしさなのかなんなのか。
家主も冷静冷酷な人柄にみえて能天気そうな主人公と同じ過ちを犯してしまっていたところは人間考えることはみな同じなんだなと思い面白かった。