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みんなのレビュー26件

みんなの評価3.7

評価内訳

26 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

「小説ってお前、あれは大きな道を歩いて造るものだ。お前は大きな道を歩いておらん。それじゃァ、ピエロになるだけだぞ。」

2005/07/03 05:33

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Straight No Chaser - この投稿者のレビュー一覧を見る

読み返す毎に、描き出される孤独の色のさらなる深さに驚く。
『百』は僕にとってそんな一冊である。
色川武大といえば、その集大成ともいうべき『狂人日記』という渾身の一作があり、彼特有の世の中の「眺めかた」が万華鏡のように散りばめられた『怪しい来客簿』があり、『生家へ』という彼のフリーランサー(作家)としての出発点が刻み込まれた連作集がある。また阿佐田哲也名義による『麻雀放浪記』『ドサ健ばくち地獄』の二作は、遊び人(ホモ・ルーデンス)のバイブルとして燦然と輝いている。
思えば、はじめて手にした色川さんの小説は『ぼうふら漂流記』で、中学生だった僕はその本を『ファーブル昆虫記』的なものと誤解して買ってしまったのだった(←ジャケ買い)。もちろん、ぼうふらの生態が書かれているわけもなく、友人の細君と二人きりで海外へギャンブル旅行に出かける男、その旅先での顛末を書いた(色気なし)どちらかといえば阿佐田哲也ふうの一冊で、当時恋の病にうかされていたteenager(←自分)がその本をどんなふうに読んだのか、正確なところは覚えていない。が、それまでの僕が読んでいたような学校推薦図書系の本(←それはそれで良い)とはちがって、ふわりとした大人の世界〜ふわりとした大人の文章、そういうものを存分に堪能してしまったのではないか……(閑話休題)
むかし福武書店からハードカバーで出版されていた『狂人日記』の装丁に、有馬忠士さんの絵が使われている。青と黒の強(こわ)い針のような木々が(或いは木のような針)が空間を突き刺すように何本も屹立している。そんな絵である。
「小説の本にあとがきなど無くもがなと承知しているけれど」と書き起こされる、色川さんの文章を少し引用する。
「彼は十数年もの間、幻聴や幻覚に苦しめられ、病院生活を余儀なくされた。そうして、他人に見せるだめでなく、(病院内でも隠しており、弟さんもこれほどの量が溜められてあるとは生前には気づかなかった)まったくのモノローグの作業なのだが、にもかかわらず、言葉にしにくい自己を造形の世界で誰かに伝えたい意志が溢れているところが、ただの病人の絵とちがう。彼の絵には、人間の影がまったく無い。孤絶の深さ、静けさ、その底に含まれる優しさ、私としては他人の作品に思えぬものがあった。」
『百』には、家族を題材とする四つの私小説ふう(色川流)の短篇が収録されている。「連笑」「ぼくの猿 ぼくの猫」「百」「永日」と読み進むにつれて、父子関係という軸(幹)が浮き彫りにされていく、そんな仕掛けになっているように思う。
「連笑」における弟との交流、その寂しいあたたかさ。「ぼくの猿 ぼくの猫」の江口寿史(たしか彼は鰐に喰われるのであった…)或いはカフカを思わせるリアルな幻覚、「百」における父と子の会話、息苦しい、そして「永日」……ここで、家族の閉塞をやわらかく撫でる風のように、賀川という「私」の友人が登場する。彼との会話のなかで「私」はいう。
「ナルシストだから、ただ孤立した絵柄になっているのですが、僕も小さい頃から、いつか必ず行きづまってにっちもさっちもいかなくなり、誰だかわからないけれども衆の前にひきすえられて、内心というものを総括されるときがくると思ってたわけですね。そのとき自分はやっぱり変貌しないだろうけれども、自分の内心というものがあまりに個人的な尺度を持ちすぎていて、他人に通じる言葉にすることができません。僕の恐怖は、自分にこだわるわりには、その自分を他人に主張する術がなくて、絶句して終るしかないということですね。……」
苦悩は深まる一方だ、どうすりゃいい。
で、色川さんがたぶん渾身の力で読者のために書いてくれたのであろう「永日」の最後の一行に一読者として救われた……そんな読後感が残っている。

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紙の本

切っても切れない関係

2017/11/04 12:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:tomtom - この投稿者のレビュー一覧を見る

主に父・弟との関係を描いた4つの短編。中でも1つ目の「連笑」がお気に入り。
《殴れば泣いてしまう、そのくせどこまでも後をついてくる》弟との微妙な距離感を描いている。自分が誘導して偏向したものを見せてしまうことの空恐ろしさ、かぁ。ほう。
自分が「弟」なので、兄はこんな風に思ってたのかなぁって、つい考えながら読んでしまう。

表題作と「永日」は老いた父との関係。《おやじ、死なないでくれ──、と私は念じた。父親が死んだら、まちがいの集積であった私の過去がその色で決定してしまうような気がする》
生々しい感情の描写や深い自己分析。4篇とも全て、色川氏の私小説と思わざるを得ない。

他の作品も読もう。

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紙の本

弟のいる感覚

2001/01/28 11:18

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:katokt - この投稿者のレビュー一覧を見る

 弟はいるだろうか? 兄弟姉妹をもつっていうのは不思議な感覚で、それは明らかに親に対する感覚とは別種のものである。幼い頃から長い期間をへて醸成される不思議な感覚がそこには存在するのである。その感覚が十人十色だろうし、実際に該当の兄弟姉妹がいないことにはその感覚は知りようがない。

 姉から弟への思いについては、幸田文の「おとうと」や太宰治の「斜陽」あたりがあがるだろうが、兄から弟については、この本の同題名の短編「百」を勧めたい。

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紙の本

この子にしてこの親

2020/10/18 00:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

百歳を前に大往生を遂げた父親へ、自らの思いを綴った私小説が心に残ります。退役軍人で恩給暮らしという生き方が、著者に与えた影響も大きそうです。

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2004/09/28 22:04

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2006/08/12 16:00

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2011/08/11 20:09

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2011/09/29 12:31

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2013/01/22 22:08

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2013/04/25 22:33

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2013/12/01 21:33

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2013/11/23 21:17

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2014/05/29 12:29

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2014/06/02 21:33

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2014/10/19 01:21

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