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ミステリに殺人が無いと。ダイアモンドと犯人探しだ。
p345
ドナが一人で防犯カメラ映像を二人で見るためにイブラヒムの家に訪れるシーンは、なんだか、泣く。
みんなあんなになって、衰えるのかしら。そんなに衰えるというのかしら。
ドナ、自分もあと40年もすれば同じようになるの、その時生きていれば。
結末はちょっと、ねえ。
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高級高齢者施設に暮らす4人の男女が、自身の持つ知識や行動力で、未解決の事件を勝手に推理する「木曜殺人クラブ」。
今回はリーダー格のエリザベスの元夫がそこに入居してきたことから事件が始まった。
それとは別に、マーティン・ロマックスという、ビジネスマンを騙る大悪党。
金になるなら、盗品だろうとなんだろうと取引の対象にする。
彼のもとから2千万ポンド相当のダイヤが盗まれる。
犯人は、エリザベスの元夫・ダグラスと思われる。
そのダイヤがないと、マーティンはアメリカのマフィアに殺されてしまうので、なんとかしてダイヤを取り戻さなくてはならない。
4人の中で一番内省的なイブラヒム。
新しいことをはじめるのが苦手で、今まで外出もあまりしなかったが、意を決して街に出た。
楽しい数時間を過ごし家に帰る途中、自転車に乗った若者たちに襲われスマホを奪われ大けがを負う。
仲間たちは当然犯人に目にモノを見せてやると息巻くのだが。
一度読み始めたら止まらないくらい面白いのだけど、ひとつだけ気になることが。
イブラヒムを襲った犯人のライアンに、木曜殺人クラブのメンバーは報復をするのだけど、自分たちが違法に買ったコカインと、イブラヒムの財布から持ち出したカードをライアンの家のトイレタンクに隠して警察に通報する。
それは、犯罪では?
ホリー・ジャクソンの『卒業生には向かない真実』を読んだ後だから余計気になるのかもしれないけれど、犯人が反省してないなと思ったら、被害者仲間が私的に復讐するのを是とするような共通認識がいまのイギリスにあるのかしら。
だとしたら、それはちょっと怖い。
地味だけど人を見る目に長けているジョイスも、頑固だけどウラオモテのないロンも好きだし、ロンの孫のケンドリックとイブラヒムのやり取りや、エリザベスの夫で認知症のスティーヴンと何でもやってくれる協力者のボグダンのやり取りなどとても好きなのだけど、善人が正義のために行う行為はすべて正しいとする考え方はちょっと…。
今回は事件も大きかったし、悪人だけではなく何の罪もない若い女性も殺されたりしたけれど、それでも読後感がいいのはキャラクターたちのおかげであるのはわかっているのよ。
特に好きなシーンは、ドラッグ・ディーラーを騙しておとりに使った挙句警察に逮捕させたときのこと。
”コニー・ジョンソンはできるだけロンに近づき、歯ぎしりしながら言う。「あたしがシャバに出たら、あんたの命はないよ」
ロンは彼女を振り返る。「ああ、おれは七十五なんだ。で、あんたは三十年ぐらいは食らうだろ。うん、了解だ」”
犯罪とは無縁に、こういう人を食ったような年寄りになりたいと思う。
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高級老人ホームで開催される木曜クラブ、第2弾。なんというか、女性版007OB(OG?)の大活躍という感じ。
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前作で「エリザベスってなんか訳知り顔で嫌味な感じ〜」と思った方、朗報です。今作はエリザベスが翻弄されます。もちろんジョイスからも。
相変わらず登場人物の掛け合いが最高。穏やかそうに見えて好き勝手にいろいろやってるジョイスが最高。謎の内容と展開も前作よりこっちのほうが好きです。前作で楽しめたならこちらも満足できるかと。
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『木曜殺人クラブ』シリーズ第2作。今回は木曜殺人クラブ、警察、MI5、マフィアといった面々による、消えたダイヤモンドの捜索劇が話の縦糸になっている。
今作もやはり、(高齢者施設が舞台であるがゆえの)死が常に隣に立っていることがもたらす諦めや虚しさ、そしてその中で生きていくための強かなユーモアが感じられる。
それにしてもジョイスの「当然、すべてが死に関係しているなら、何ひとつ死に関係していないってことよね?」という台詞には胸を突かれた。
前作同様、今作も幾つかのロマンスが描かれたけれど、クリスからパトリスへの告白は情けないながら劇的で、思わず応援してしまう。
前作から続くエリザベスとスティーヴンの関係性は優しく、美しく、そして悲しい。だからこそ、最後のタイトル回収には、それでも前を向こうとするような力強さが感じられた。