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第十四巻。
チンギスはは大軍を率いてホラズム国に進軍を開始。
対するホラズム国は、マルガーシが所属するジャラールッディーンの“皇子軍”をはじめ、精強な傭兵隊などで迎え撃つ姿勢です。
一方、甘藷糖を中心とした交易の道創りに力をいれるトーリオは、甘藷畠がある南方の小梁山を訪れますが・・。
ついに、モンゴルVSホラズムの闘いが開戦しますが、どちらも大軍ということもあり、一進一退の長期戦の構えで、展開が遅めな感じです。
喧嘩をしかけたホラズムとしては、“地の利”が活かせるのと共に、大軍遠征中のモンゴル国の兵站が苦しくなることを期待しての自領内での開戦だったわけですが、想定以上に強固なモンゴル軍兵站線に瞠目しているようで、そりゃぁ、テムジン時代から兵力以上に兵站に力を入れてきた伝統ある(?)モンゴル兵站部隊をなめたらアカン!という感じです。
ただ、モンゴル軍には、ホラズム軍のマルガーシのような、際立ったヒーローが居ないんですよね。
チンギスの息子たちは皆キャラが薄めですし、ええキャラだなぁと思う若者(例えばヤルダムとか)は、皆交易担当になっているという・・。
で、交易といえばトーリオが甘藷糖の商いの件で小梁山を訪れるのですが、そこでトーリオと交渉した若者が“秦広”という名前だったのには思わず「ん?小梁山で“秦”の字・・もしや、あの人の孫とか!?」と、ここでも“大水滸シリーズ”との繋がりを薄っすら感じてワクワクした私です。
そして、最近古参メンバーがどんどんいなくなってしまっているのですが、ついにチンギスの弟・カサルが逝ってしまいました・・てか、カサルって“そっち”方面だったのですね・・・知らんかった(汗)。
戦でもチンギスの長男・ジョチの息子(チンギスの孫)・トクチャルが若い命を散らしてしまい、ここでの父子のシーンは切ないものがありました。
さて、戦場のターンがちょっと盛り上がりに欠けるかなーと思っていたとろ、終盤になってジャムカの息子・“黒貂野郎”マルガーシと玄旗を受け継いだ雷光隊・ムカリとの一騎打ちという、この巻最大の山場がありました。
この二人の勝負は、まさに胸アツの読み応えで心が震えるカッコ良さでしたね。
結果、あの人が散ってしまいましたが・・(涙)
改めて、(既に亡くなっているとはいえ)ジャムカのヒーロー性というのはここにきても色あせないのだな・・と“テムジン&ジャムカ時代”をしみじみと思い起こした次第です。
(個人の強さでいったら、マルガーシはジャムカを越えている気もしますけどね)
さて、次巻はどんな動きがあるのでしょうか、じっくりと見守りたいと思います~。