海戦三部作の2作目
2023/03/18 14:56
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者塩野七生の比較的初期の作品で、まだまだ小説らしいい体裁を取っていた時代のモノである。騎士団の英雄的な戦いぶりをイキイキとした筆致で描き出している。しかしその後のどの作品にも顔を出す宗教 キリスト教 カトリックに対する批判的な姿勢がこの作品にも見え隠れしている。
「騎士団」という組織についても非常に多くを学べる、塩野七生「海戦三部作」の第二弾
2022/08/20 11:51
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
1522年の聖ヨハネ騎士団(1530年のマルタ島移住後は、マルタ騎士団の別名)とオスマン・トルコのロードス島をめぐる熾烈な興亡を描いてこれまた読ませてくれた一冊。それにしても、塩野七生の本は、小説の醍醐味を味わいつつ西洋史も学べるので、本当に勉強になる。本書では、「騎士団」の来歴や消長、騎士の生活や生態、気質などについても多くを学べました。
「これらの騎士団は、騎士道精神と修道院精神の融合を目指して創設されただけに、世俗の武人の集まりではありえない。騎士たちは、俗界での身分を捨て、修道僧と同じ規則を守る義務を課される。清貧、服従、貞潔がそれだった。妻帯は禁じられていた。彼らは、いわば僧兵であったのである。」(31頁)
「騎士たちは、イスラム教徒相手とはいえ、海賊に職業がえをしたのだった。それでいて、騎士団創設当時からの事業である病院を、あらためて前面に押し出す。テンプル騎士団壊滅に少しは両親の呵責を感じていた西欧の王侯たちは、これで完全に手が出せなくなってしまった。」(40~41頁)
「人間には誰にも、自らの死を犬死と思わないで死ぬ権利がある。そして、そう思わせるのは、上にある者の義務でもある」(130頁、オルシーニのアントニオへの一言)
「一七九八年六月、マルタ島の聖ヨハネ騎士団は、エジプト遠征の途中のナポレオンによって、マルタから追放された。・・・ 騎士団を失ったマルタ島は、一八一四年、ナポレオンの失脚によって、イギリスの領土になる。そして、第二次大戦を機に独立した。・・・ 今日のローマで最もシックな通りとされている、有名銘柄の店が立ち並ぶコンドッティ通りに、今でも聖ヨハネ騎士団の現在の本部がある。ヴァティカンと同じようにイタリアの中の独立国であり、・・・ 特筆しなければならないのは、聖ヨハネ騎士団が、骨董品として残っているのではなくて、活動を続ける組織であるということであろう。イスラム教徒相手の、戦士たちは消えた。しかし、騎士団のもう一つの任務であった、医療活動は残ったのである。今日、注意して見れば、世界中に、赤地に変型十字のしるしをつけた病院や研究所や救急車があることに、気づくようになるであろう。いまだに各言語別の隊を組んで活躍している、二十世紀の騎士たちである。・・・ 聖ヨハネ騎士団は、九百年すぎて、アマルフィの商人がイェルサレムに創設した当時の、使命にもどったのである。」(270~272頁)
それにしても、204頁に描かれたオルシーニの愛人の最期こそ壮烈。これはフィクションなのだろうか、それとも267頁にあるアントニオの書いた「記録」の断片に残っていたのあろうか。(何となく、創作であるような気もするが・・・)なお、評者が読んだ版で、207頁の「勢力」は「精力」の誤植かと。
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この人の書く歴史はどうしてこうも生き生きとしているのだろうと思う。人々の人生が物語を、そして歴史を作っているということを思わずにはいられない。
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塩野七生さんの大河3部作の第2作目。本書はコンスタンティノープル陥落後の話。キリスト教とイスラム教との対立の最前線になるロードス島を攻略せんとするトルコ皇帝スレイマン一世とロードスを守らんとする聖ヨハネ騎士団との攻防をモチーフにしている。
こちらも形式的には最初に登場人物たちの日常から当時の状況やそれぞれの人物像が描かれ、後半は戦記となる。
結果的にロードスは落ち、騎士団は流浪する事となるが、やはり結果がわかっていても、最後の章である「聖ヨハネ騎士団・その後」まで読み進んでしまう。塩野氏の表現力の力だろう。
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海戦モノ3部作の第2作。イスラム世界と中世ヨーロッパの間位置したロードス島で、オスマントルコと島を守る聖ヨハネ騎士団との5カ月に及ぶ攻防を描く。時代や事件、土地自体に馴染みがないせいか、「レパントの海戦」や「チェーザレ〜」に比べるとインパクトが薄かった。
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エーゲ海に浮かぶロードス島は対イスラムの最前線となっていた。島を守る聖ヨハネ騎士団の戦いを中心に描いた作品。コンスタンティノープルの陥落から続く3部作の第2弾
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塩野七生の三部作と言われるキリスト世界とイスラム世界の対決を都市国家ヴェネチアから見た連作歴史小説の2作目。騎士のプライドとスルタンのプライドがエーゲ海の小さい島、ロードスで激突する。1作目のコンスタンティノープルよりもより人物がたっており、小説としての完成度は高いと思います。また誇りを持って戦う双方がなによりカッコイイ。3部作の中で個人的には一番好きな作品です。
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『地中海戦記』三部作の第二弾。
思いがけずBL要素(と言ったら失礼かもしれないが)が見られてびっくり(苦笑)
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地中海三部作第二弾。歴史的叙述を中心に小説的要素を取り込んでいるのは、前作と同様。
しかしやはりこの小説的部分には個人的には不満で、「海の都の物語」のように歴史叙述に徹するほうが、この人は面白い作品が書けると思う。作中のオルシーニのセリフの大部分は、時代背景の「解説」になっており、小説としては不自然(明らかに同時代人の視点を超越したセリフばかり)。それなら思い切って小説的要素を廃してしまったほうが良かったのではないか。
歴史的叙述部分は相変わらず緻密でありながら、当時の雰囲気をよく表しており、上質。特に築城技術の変遷は、前作から続けて読むと、非常に興味深いものとなる。
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ロードス島は薔薇の花さく古の島という意味だとか。コンスタンチノープルの陥落、レパントの会戦の三部作の真ん中の作品。文章の美しさに引き込まれる。戦地に赴く若者たちの一瞬の触れあいが美しい。死ぬまでに一度訪れてみたい島になりました。
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コンスタンティノープルの陥落に続く三部作の二つ目。
トルコ対聖ヨハネ騎士団の戦いがアントニオの目を中心に書かれている。
塩野七生は書く作品が安定しているね。面白かった。
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やっぱりこの人は小説家なんだなと、思った。
たとえ、登場人物のセリフが歴史叙述めいていても、曖昧な史実を語っても、小説だとそれはスパイスで、この人の書く登場人物は多くを語らずとも魅力的に映える。
この本は西欧とトルコの衝突を描く三部作の第二作。歴史的には一番マイナーだけど、西欧の色や考え方を感じるならこの本だろう。
(2009/4/15読了)
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社会からあぶれた10代の若者が主役となり圧倒的な勢力の異教徒と戦うため
絶望的な戦いに挑む様はこの出来事を知らなかった私には衝撃的だった。
幾百年を超えて今でも騎士団があることにも伝統に対する敬意の念が絶えない。
文章が物語的で読み易い。
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塩野先生の代表作の一つ
歴史小説ですが、独特の書き方で普通の小説とはちょっと違う印象を受けます。
具体的に言うと、ある事件が起こった際の背景や影響などを小説のシナリオとは別にして詳しく解説されてます。
読者はロードス島の攻防だけではなくそれがどういう時代、どういう背景で起きたかを十分に身に着けたあとで話はどんどん深まって行きます。
個人的にはもーちょっと攻防記の部分を小説っぽくしてもよかったかなーっと思いました。
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圧倒的な敵に対して怯まず、自らの運命からも逃れようともせず、立ち向かっていった騎士団員たちの姿に心打たれます。