難しかった、でも、挫折せずに読めました
2023/03/22 07:02
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
入門とはいえ、聞きなれない言葉や用語が出てくるので、やはり難しい。でも、わからないところはあるにせよ、それなりに読み進めることはできて、最後まで挫折せずに読み終えることができました。権力や統治について、個々の、あるいは、個の集まりとかとの関係ととらえるということが従来のとらえ方と違う、ということなど、なんとなく、でも、ちょっと理解できた気がします。何度か読み返せば、もっと理解できるのかも。
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
既存の知のあり方の批判、自己への配慮と自己に配慮する者としての主体から他者を導く統治が生まれるという西洋哲学の考え方から、真理の実践による主体の構成、自主管理としてのセルフ・マネジメントを説いている。
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フーコーを100ページでまとめるとどうなるのか?
ということにはやはりならず、「後期」フーコーの入門書です。
個人的にフーコーで関心があるのは、権力論、主体論、統治論で、本でいうと「監獄の誕生」〜「性の歴史」、コレージュ・ド・フランスの講義でいうと76年の「社会は防衛しなければならない」〜84年の「真理の勇気」のあたりなので、この本で取り扱われているところとほぼ重なる。
フーコー関係を初めて読む人、あるいは、「後期フーコー」の著作なり、講義を全く読んだことがない人が、どの程度、これを読んでわかるのかどうかは全く不明だが、私的には頭の整理になった。
後期フーコーのキーワードの一つは、「生政治」。
その概念は、著作では「性の歴史」の「知への意志」、講義では78年の「安全・領土・人口」で概論的なところは示されるのだが、さていよいよ本論という期待が高まる79年の「生政治の誕生」では、なぜか話しは新自由主義とか経済学の話しに脱線して、翌年の「生者たちの統治」では、研究計画の大きな変更がしめされて、結局、「生政治」とはなにかがわからないまま、ギリシャ〜ローマ時代の話になって、そのままフーコーはなくなってしまう。
ここは哲学史上の謎みたいなもので、それ自体が興味の対象なのだが、個人的には、「生政治」の概念にとても興味があるので、その辺りをもう少し理解したいと思っている。(アーレントの書かれなかった「精神の生活」の第3部「判断」がどういう構想だったのかというのに匹敵する謎ですね)
この本は内容的には、後期の著作と講義のわりとあっさりとした要約で、苦労しながら読んだものの再確認というところなのだが、面白かったのが、「生政治の誕生」などででてくる「新自由主義」の議論の位置付け。
フーコーの議論は、「今、当然と思っていることが歴史的にみると必ずしも当然のものではない時代があった」ということを具体的に昔のテキストを解釈しながら進めていくもので、それが現代にどうつながるのかはかなりのところ読者に委ねられている。
「生政治の誕生」は、めずらしく当時の「今」の話題であった「新自由主義」の起源を経済学の歴史や20世紀の社会変化のなかから議論するもので、それ自体は面白いのだが、「生政治」の話からは大幅な脱線と思えていた。
たしかにそれは脱線なのだが、著者は、「新自由主義」の議論をまさに「生政治」の現在形として読み込んでいる。
ある意味、わたしたちは、「新自由主義」がたどり着いた荒涼とした世界に生きているわけで、そこでは、市場と自己責任、ひとり企業家としての生を強要されているわけだ。
これにいかに対抗して生きるか、ということなんですね。
そう、これが私がフーコーから学びたいことのナンバー1だったのだ。
という地点に連れて行ってくれたことが、この小さな入門書。
ここ数年、読んでいる新自由主義のイデオローグともいえるハイエクと議論が絡み合ってくるところがあって、わたしのなかのいくつかの問���意識の系統がつながってきた感じ。
一般的にお勧めできるのかはよくわからない「入門書」だが、ナラティヴ・セラピーを勉強している人たちには、よい「フーコー入門」になるかもしれない。
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はじめに
- 社会の変化の背景: 2007-2008年のリーマンショック以降、世界は大きな経済危機を経験し、多くの国で既存の体制に対する異議申し立てが行われた。
- 広場革命: 中東やヨーロッパでの「広場革命」は、体制への挑戦という共通点があり、政権交代を引き起こした。
- 気候ストライキ: グレタ・トゥーンベリによる気候ストライキは、産業革命以後の気温上昇を抑える重要性に対する意識を高めた。
拒否の力
- 拒否の重要性: 社会が変化する際、人々が「当たり前」を拒否することが重要であり、この態度は既存の常識を問い直すきっかけとなる。
- 日常の再考: 何が「普通」であるかを見直し、その常識に異議を唱える行動が、社会の変革を促す。
フーコーの思想
- 歴史と現在の問い: フーコーは、私たちが直面している状況を理解するために、耐えがたいものや我慢できないものを問い直すことが重要であると述べている。
- 自己と社会の関係: 社会のあり方をどう変えるかではなく、現在の状況がどのように形成されているかを理解することが重要である。
統治の概念
- 自己と他者の統治: 自己の行動は他者からの影響を受けるため、自己を統治することは難しい。自己の認識と他者の導きが相互に影響を与える。
- 主体化のプロセス: 主体は常に変化し続ける存在であり、自己を導くことと他者からの導きを通じて形成される。
権力と統治
- 権力の新しい理解: 権力は単なる抑圧的なものではなく、個人や集団の行動を促進するものである。権力は流動的な関係であり、常に変化し得る。
- 生権力と規律権力: フーコーは、近代国家の権力が人間の生老病死を管理する生権力にシフトしていることを指摘している。
新自由主義とその影響
- 新自由主義の台頭: 新自由主義は、古典的自由主義が直面した問題への反動として登場し、経済的自由と個人の企業家精神を強調する。
- 市場の役割: 新自由主義において市場は「真理陳述の場」とされ、政府は市場のメカニズムに基づいて統治を行う必要がある。
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20世紀の哲学者、ミシェル・フーコーの入門書として、予備知識が全くない状態で入門書として読んだ。しかし入門書として読んでしまうとあまりにも発展的で引用も短く、正直分かりにくかった。まずはフーコーの著書を読んでおくべき。しかし、フーコーの哲学をざっくりと知ることができたのは大きな収穫だった。観葉植物にはある程度人の手による干渉が必要なのと同じで、自由主義経済にもある程度の干渉が必要だという「新資本主義」の考え方には一考する価値があると思った。元に今の社会は多少そのような状況に向かっていると思うが、まだまだトップ企業の独占が強すぎるほど蔓延っていると思う。
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今の統治を断ち切ると決断するのは現状に対する拒否の意思、この意思は全ての人に備わっています。思考と感性を頼りに振る舞いを意識的に選択する。そうした実践により人は今の自己の姿から、その時代にとって相応しい存在として自らを再構成することになります。
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ミシェル・フーコーの入門書。100ページでまとめるというかなりの難業ではあるけれど、後期フーコーを中心に上手くポイントをとらえてまとめていると思う。
例のパノプティコンの話を端緒として、規律と生政治の概念の解説、新自由主義における統治の方法、そしてパレーシアから対抗導きと集合的主体の解説へと展開される。
後期フーコーを端的に捉えることができて便利だと思うけれど、おそらくフーコーがそうだからか、新自由主義的統治への対抗の仕方としての対抗導きは概念としては理解できるけど、具体的に像を結ぶことができない。司牧権力とは異なる仕方で羊を導くことが対抗の契機だとは思うけど、じゃあどうやって?、という疑問は持ってしまう。このあたりは思想上のワナで、対抗とは別の仕方で新自由主義に伍して行くんじゃないかなあと何となく無責任に思ったりもする。
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同じく講談社現代新書の「現代思想入門」からの流れで、トライ。ページ数は少ないけど、難解…著者からすれば、ものすごくわかりやすくまとめているんだろうが、それでもさっぱりっす…
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統治論を主に取り扱うということで、フーコーについて寡聞な中で知っている用語以外も多く見られた。
短くても難解なものは難解というべきか、接地する部分が自分には少ないのか。
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ミシェルフーコーの基本ワードを知見のある学者の言葉で再度復習したいと思い。
フーコーが開示してみせた権力概念の刷新とは人間の思考、社会認識の大変革を促し、社会や性、トランスジェンダーを語る上で特に重要なツールとなる。
権力は生産する。その透明なまなざしを内面化する作業をわれわれが機械的に、無意識のうちに行うことの気づきと理解。
集団思考が強く、現状維持を金科玉条にする日本人にとって、フーコーは一度触れるべき偉大な思想家ではないでしょうか。
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左派インテリがイデオロギーのためにフーコーを利用するというのは昭和の時代にはよく見られたが、今さらそんなものを見せられるとは思わなかった。編集者は何を考えているのかなあ。
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単に一方が一方をよくあつするというのではなぬ、独特のパワー関係として権力を描く。それはミクロ的と思われがちだが、大きさはさまざまだ。
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2025.04.09 フーコーの権力論を半分程度かなあ、理解することができた。生権力の理論などとても納得。ドキッとした。