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紙の本
海に生きるもの達
2024/03/11 20:30
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投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
環境保護活動で有名なレイチェル・カーソン女史が、海にすむ生き物たちを絵本のような紹介した本です。
最初に登場するのはクロハサミアジサシのリンコプス、根元が赤くて先が黒い嘴を持った鳥だ。
外界の荒波を遮ってくれる小さな島の海辺で、満ち潮になると潮にのってくる小魚を食べて過ごしている。
同じ浜では小さなミユビシギやチドリやユキコサギがあるものは餌をさがしあるものは翼を休めながら過ごしている。
鳥に捕まらないように穴に逃げ込むシオマネキや、海に群れるシャッドの姿も生き生きと描かれていて賑やかな海辺の様子が伝わってくる。
そこから舞台は海の中へと移り、サバのスコムバーが登場します。
春になるとサバはいっせいに大陸棚の上の浅い海へと集まってきて、大量の卵を海へと託す。
芥子の粒より小さい卵は漂うプランクトンとなって、クシクラゲやヤムシに食べられて数を減らしながらも細胞分裂を繰り返す。
夜になるとプランクトンは小さな星のようにきらめいてまるで星空のように見えるそうです。
一週間もするとサバの卵は孵化して稚魚となり、海流に流されながら小さなプランクトンを食べて成長していきます。
カタクチイワシやクラゲの餌になってしまうものも多いが、カーソン女史はそこに海の生命の循環を見る。
サバの稚魚は大きくなってもイカや海鳥、スズキやイルカやサメに食べられ、また漁師の網にとらえられていく。
それでも食べられて終わりではなく、食べられることで新たな生命として生き続けるものもいれば、食べられることなく成長し次の世代を産むことで生命を循環させていくものもいる。
第三部ではウナギのアンギラが十年過ごした川から旅立ちの時を迎えていた。
夜に狩りをして池の底の泥のベッドで眠る生活から、川を下って海を目指すのだ。
川の色が海に近づいて茶色くなってくると、川を下ってきたウナギの体色は光沢のある黒と銀色に変化し、鼻は細長く硬くなって目は二倍くらい大きくなる。
そして旅を終えるまでに必要なエネルギーを脂肪として蓄え、他の川から下ってきた何千匹ものウナギと合流して深い海を目指して泳いでいく。
大西洋の深海の暗黒の中で新しいウナギが生まれ、旅を終えたウナギは死んで海へと還っていく。
そして深海で生まれたウナギは再び川を目指して大きな回帰の旅へと泳ぎ出していくのだった。
カーソン女史の生命への興味と慈しみがつまった本だった。
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