0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てるてるアフロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
淡々と破滅に向かう世界で、淡々と旅を続ける名も無い親子。
それこそ世界は驚くべき事になっているのに、物語は至ってシンプルに進んでゆく。
地の文と会話を分けない文体は、ラテンアメリカの作家に馴染みが無いなら、それだけでも新鮮な体験になるだろう。
一度だけ、父親と少年が(明らかに)入れ替わって会話するくだりがある。それが実際の関係性だったのだろう。約束の地へと少年を導き、父親は使命を終えたのだ。
やっぱりこの人は現代アメリカ文学で忘れてはいけない人の一人
2019/01/24 22:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
アカデミー賞を受賞した「ノーカントリー」(日本では「血と暴力の国」というタイトルで書籍化されている)の原作者として有名。85歳でご健在だ。核戦争?で廃墟となったアメリカを食べ物を求めて放浪する親子を描く。世紀末の世界というと「北斗の拳」をすぐに思い出すのだが、あの作品と比べ女性があまり登場しないということにこの作品のリアルさが伝わってきて怖い。おそらく、一番大事なものは食べ物という世界では女性は真っ先に腕力のある男性の食料となってしまうだろう(もちろん、その前にレイプも)。そんな世の中ではハッピーエンドは無理だろうが、考える中での最高のハッピーエンドの一つではないかと私は信じる
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
核戦争か何かにより荒廃しきった世界を、父と子が孤独に南を目指して歩き続ける。 道中、廃墟となった家々から食料などを頂戴する。 たまに遭遇する他の生存者に対しては、善なる者か悪者か慎重に探り、時に銃で脅し、時に無視し、やり過ごす。
この世の終わりを描きつつも、幼い子に託された「火」が受け継がれていくことで、新たな世界の静かで暗い始まりをも感じさせる。
物語としてはあまりおもしろくなかったのが正直なところ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
あとがきにあるとおりマッドマックス2、北斗の拳のような世界観からするとSFである。
しかし、犯罪が犯罪と定義されないぐらいに荒れ果てた状況下での育てる為に親子関係を描いたストーリー。非常に文学的。
何か爽快な感じはないがズシリと来る作品
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
天災地変か戦争か、全てが失われて
奪われていく死に絶えた灰色の世界、
息子にヒトとしての良心、理性や、
消え行く神の理想や、善き者の側にとどまろうという
希望を重ね、育み、生きていく父親。
なによりも、生きていくという希望を棄てず。
「渚にて」とは違った形で淡々と重ねられる会話で
歩んで来た道のり、時間とともに少年の成長が感じられる。
もしかすると新しいものは人以外生み出すことがない世界で
息子は父の姿を追い、善き者として生きていくことができるのか
父の希望や理想は、人の理性は生き延びられるのか。
火を運び続けることができるのだろうか。
火とは何なのだろう。人間性?希望?理性?
私にとって、貴方にとって、それは違うものなのかもしれない。
映画も見てみたい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「火を運ぶ者」何度か出てくるこのフレーズに惹かれた。
何かが起きてすべてが灰を被って太陽すら姿を見せないそんな凍えた世界で、父と幼い男の子は温もりを求め、南の海を目指してひたすら歩き続ける。そのシチュエーションだけでも読み手は泣くしかないと思うんだけど。そんな世界でこの親子は「火を運ぶ者たち」と名乗る。少年は「火」がなんなのかはわからないけど自分達は「善い者」だと信じて父と旅を続ける。
「火」っていうのは暖かいもので、輝くもので。人肉食が普通にある世界で、決してこの親子は人は食べず、廃屋で見つけた(誰かが遺した)缶詰を食べて生きるんだけど、少年はそれにさえも疑問を持つ。「ぼくたちがもらってもいいの?」
「火」は父にとって息子だったのかもしれないって思う。ありきたりやけど。少年は父にとってどこまでも純粋な存在で、凍えそうになる心を温める唯一の存在。空を飛べない人間はただひたすらに「道」を歩くしかない。歩き続けた先に何があるのかは誰にもわからないけれど。
いつかまた読み直そう。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
NHKのブックレビューで散々な評価であったが、文庫本で再読(初読は図書館)してみた。
いわゆるロードムービー
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
最後の方に差し掛かって帰着駅に着いた僕は駅のベンチに座り込み最後迄読まずに居られんかった。家まで待てなかった。
父親は強風の中、掻き消えそうなろうそくの火のような善という価値観を守り切ったのだと思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
某ミュージシャンの影響で手にとってみた。圧倒された。
まず、世界観に文体があってる。荒廃した灰色の大地が文章からも想起される。かさついてざらついた、どんより滲む空が延々と続く世界。
暗い澱んだ世界を、ひたすら進む父と息子。息子の存在が、父にとっては「絶望の中にある一筋の希望の光」なのだろうなあ。淡々とした会話が、詩のように挟まれるのが印象的。
好みは分かれるだろうし、読むのに気力が必要だけれど、私はとても好きだ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
物語の世界観にはまると一気に読んでしまう。荒廃した世の中が舞台だが、その中で父親と息子の相互愛が一筋の光のように見え、美しく感じられた。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
世界が終わりを迎えた時に何が起きるか。この想像力は文化によって違うようだ。アメリカはとくに、終末思想が強い。日本ではなかなか生まれないだろう。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
彼は既にメキシコすら目指してはいない。何もないことが分かっている先に向かって、ただひたすら生き、歩き続ける。世界を焼き尽くした火を目の当たりにしながら、それでも最後の火を消さないように消さないように守りながら。彼らの行く手には絶望が横たわっているだけなのを分かっていながら。頼りない光が見えてくる日は果たして来るのだろうか。ただ、父は言う、歩け、歩き続けよ、と。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
帯巻にあったコピー「父には息子が、息子には父が全てだった。それぞれが、相手の全世界となって――。」
これで、購入しました。まだ、36ページ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
何もかもが灰で覆われた世界(終末思想)が舞台のとっても重い物語。暗い。
生き残った父子がひたすら暖かいであろう南を目指すという内容。
この父親はどんなに絶望的な状況の中でも、息子にだけは希望を与え続けようとする。どうしても。
父子愛に満ちた哀しい小説。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
それでも前へ・・・。大切なものを守るものと自立していくもの。強く生きる物語だと思いました。文庫の装丁もイメージにぴったり