紙の本
愛とか正義とかって
2023/03/19 10:16
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投稿者:なっとう - この投稿者のレビュー一覧を見る
正解がないから厄介だと思う。
「優しくしたらいつか自分に還ってくる、だから優しくする」というのが悪だとは思わない。
でもそうだとしたら、あの人もこの人も望む結果が違うだけで、実のところは同じ「優しさ」だったのかな…とか悶々と考え込んでしまいました。
とてもとても好きな作品になりました。
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行き場のない母子を守る「のばらのいえ」は愛と理想を掲げた夫婦が営む。その家に暮らす祐希は、未来のない現実から高校卒業と同時に逃げ出した。幼少のころから一心同体だった紘果を置いて出てきたことをずっと後悔したきた祐希は、二度と帰らないと出てきた「のばらのいえ」に戻る決意をしたがーー。人生の不条理を問い続ける著者の書下ろし長編。
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息が詰まるような、モラハラ満載の一冊で、今までの寺地さんの作風とは違う感じを受けた。
不遇な母子を保護する活動をしている夫婦と、彼らにこき使われている女の子と、甘やかされている女の子の話。ヤングケアラーにモラハラ、色んな問題を抱えた主人公が、必死に生きていこうとする姿と、それを見守り、支えようとする人たちの優しさが、胸に沁みる。
2人の少女がそれぞれ歩んできた人生と、その裏にある想いが後半に溢れ出して、その必死な温かさに泣きそうになる。どうか、2人のこれからの人生が幸せになりますようにと願わずにはいられない。
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志道が歪み過ぎていて、嫌悪感しかない。
「かわいそうな子どもを救いたい」と始めたのが「のばらのいえ」だったはずだけど、やってることは真逆。
寺地さんの作品とは思えないくらい不穏な物語だった。
ラストで希望の光が見えたのはよかった。
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寺地はるなさんらしい、人の汚い部分や無邪気な悪さを誠実に描いた作品。その意味で、『ホープ・フーズ』で金を盗ったのが祐希であっても、それはそれですごく納得できる展開だろうと思った。
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#読了 #白ゆき紅ばら #寺地はるな
行き場の無い母子を守る「のばらのいえ」は志道と実奈子が「かわいそうな子どもを救いたい」と理想を掲げ立ち上げた。そこに暮らす祐希は、束縛され未来のない現実から逃げ出す…
暮らしの中で搾取される事に慣れてしまった祐希がかわいそうで、読むのが苦しかった。
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行き場のない母子が暮らす「のばらのいえ」。そこで育った祐希は未来のない現実から高校卒業と同時に逃げ出す。それから10年。のばらのいえに連れ戻された祐希は、ずっと心配だった幼馴染の紘果と再会を果たす。
性的虐待、ネグレクト、ヤングケアラー、子どもたちを見下し搾取する大人たちがひたすら悍ましいが、祐希と紘果の優しい想いが僅かな救い。グリム童話の「しらゆきべにばら」が象徴的に引用される。
女性の幸せは男性から与えられるものではない。重苦しい話ですが、どうか祐希と紘果に自由な明るい未来が開けますように。いい子は天国に行ける、悪い子はどこにでも行ける。
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結構ヘビーな内容で、着地点が見えない流れに読んでる最中は本当にしんどかったけど、ラストは希望の光が見えて良かった。
気持ちの悪い人や出来事ばかりの世の中で
「できないことばかり数えないで」できることに目を向けて生きていこうと思える小説だった。
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寺地はるなさん、大好きな作家さんです。
ご本人もTwitterかで「最近の作品は寺地さんぽくないって言われる。どうしてかな?嫌とかじゃなくてただ、ききたいだけ」みたいなニュアンスで呟いておられましたが、作品の中の表現や
描写には私が好きな寺地はるなさんがいましたが、内容が最後までしんどいというか、重く、気分も沈むし、でも伝わってくるものはあんまりないみたいな。辛口すぎるけど、読まなくてよかったかもって思うくらいだった。こういうのはノンフィクション、ドキュメンタリーでみたりよんだりするので、私が小説に求めている感じではなかったかなという感じでした。
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仲の良い姉妹を描いたグリム童話「しらゆき べにばら」になぞらえた長編小説。ただし、本作の白ゆきと紅ばらは本当の姉妹ではない。白ゆきはしっかり者の主人公・祐希。紅ばらはおしとやかな紘果。行き場のない母子を守る福祉施設である「のばらのいえ」で共に育ち、一心同体であった二人の少女である。
しかし、母子を守るとは名ばかりで、のばらのいえの実態は慈善ごっこと揶揄されるほど酷い状況だ。祐希は幼いころから召し使い同様に束縛され、自分の人生を歩めない。そんな未来のない現実から逃避するために、白ゆきと紅ばらは別々の人生を歩むことに…。物語はその10年後。ひょんなことから祐希がのばらのいえに戻るところから始まる。
読み終えたとき、いち大人としての「責任」を問われている気がした。作中で「良い子は天国にいく、悪い子はどこへでもいける」という格言が出てくるが、悪い子はどこへでも行ける反面、どこにたどり着こうと自己責任だ。恩師である春日先生の言動は教師としては褒められたものではないが、責任は自分でとっている。
祐希がのばらのいえから逃げたことは立派である。自分の道を切り開くのは自分しかいない。逃げてもいいのだ。大人はヤングケアラーを生み出してはいけない。力のあるものが搾取するのではなく、困ったときに手を差し伸べることができる社会であってほしい。著者の寺地はるなさんより、そんなメッセージを受け取ったような読後感を味わった。
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のばらのいえというシェルターで生活している祐希と紘果と保。弱者に寄り添っているように見せかけて歪んだ実奈子と志道に色んなものを搾取され続けた幼少期から青年期。
そこから逃げたした祐希が10年ぶりに戻ってきて紘果を取り戻す。
寺地さんにしてはちよっとバイオレンス気味だった。英輔の存在が明るさや希望が持てた。
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本作の主人公である祐希は、私設の駆け込み寺である「のばらのいえ」で育った。事情のある母子の面倒をみるのが建前だったが、実は密かにあることが行われていた……。
うーん、なんとも中途半端な印象だった。もっと突き抜けてしまえばいいのに、寺地さんのやさしさゆえか、悪役が悪役として成立していない。こんな環境にもめげず子供たちはいい子だし、なにが問題なのかがぼやけてしまっている。ラスト近くに明かされる祐希の思いには「なるほど」と思ったが、それだけのためにこのページ数はないかな。
最近、寺地さんの作風が変化してきているように思う。前作『川のほとりに立つ者は』でも思ったが、本作ではより強く感じた。
刊行日 2023/02/22、NetGalleyにて読了。
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今まで読んだ寺地さんの作品とはひと味違った内容だな…と、いうのが第一印象。
内容は重いけれど、結果的には幸せに生きていけそうなので良かった。
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自分勝手であり、偽善者の大人達にふりまわされる子供達
どうやって悪循環から逃げ出せるのかとハラハラしながら読み進めた
主人公に手を貸してくれた理由をたずねられた時の春日先生の言葉にグッときた
「あなたはこのまま逃げ延びて、いつか余裕ができた時に誰かに手を貸す。その誰かがまた誰かに手を貸す。そしてもし将来わたしの娘がなにか困った時、どこかで誰かが彼女を助けてくれるはず。わたしはそういう世界を信じる。理想論ですか?」
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暗くて読み終わったあともどんよりとした気持ち。クソみたいな世の中でも生きていかないといけない。って言葉に共感した。
・だって、実奈子さん変わってるからな。しかたないな。しかたない、便利な言葉だ。それ以上考えなくていいようになるから。