紙の本
戦争の一面
2024/04/20 21:46
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投稿者:バベル - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本海軍、戦争から逃亡することが、明日の命も分からない状況に身をおくことになる恐ろしさを感じた。
紙の本
戦時下の出来事であることを終始忘れて引き込まれる
2019/08/31 02:51
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投稿者:ニック - この投稿者のレビュー一覧を見る
終電に乗り遅れたことがきっかけで若き整備兵が経験した逃亡体験を小説化。戦時下の出来事であることを終始忘れて引き込まれる面白さであった。
紙の本
ずっとドキドキ、逃亡系はこわい
2016/05/31 10:17
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公、「山田」なる人物に言いくるめられて、戦闘機を爆破せざるを得なくなり、そして逃亡。逃亡したところで安息の日々はない。逃げ続けるうちに北海道のタコ部屋へ送り込まれ、酷使されつつまた逃亡の機会を狙う。でも見つかった時の制裁ときたら凄惨。それでも「軍なら即死刑、ここはボッコボッコにされるだけで死なないからマシ」と判断する思考がもう超次元。そんな中終戦、逃げ延びた!最後上官と対面、事情を話し、二人で「山田」って誰だったのだ、と語るところに時間の流れを感じる。吉村氏、謎の「山田」についても書いて欲しかった。
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逃げた先で、また追われる。
まるで悪夢のような物語。
最悪の状況でも、決して諦めることのなかった主人公の精神力に脱帽。
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緻密な取材と、その構成力は言うまでもありませんが、事実に対する感受性は、だれもまねができません。吉村昭は素晴らしい。その中でもとりわけ好きな作品です。
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戦争という自らの力ではどうしようもない状況下。
置かれている状況からただひたすら逃れようとするが、受身的な逃亡は結局次の逃亡に繋がっている。
自らの力で逃亡したラストの主人公の姿が象徴的。
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2012/07/31-09/04 アメリカのテレビ映画逃亡者のリチャード・キンブルのようなハラハラ感はない。幸司郎が自ら選んで人生を破綻させていく、自堕落感さえ漂ってくる。構想に筆がついていかないまどろっこさを感じる。
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舞台は太平洋戦争中の日本。ある青年兵は些細な過ちをきっかけに、日本軍から脱走する。彼は長い逃亡生活を経て、庶民として現在にも生き続けた。そんな元青年兵のことを偶然に知った著者は、彼への取材を通してその過酷な生き様を小説スタイルで浮かび上がらせる。
青年兵の逃亡中、日本は敗戦を迎え、彼は家族と再会します。フィクションならば、まさに感動の名場面。が、著者はこのシーンに多くの枚数を費やさない。逃亡兵という非国民の家族。戦争中、そんな嘲りを受け続けた者たちにとって、いくら家族でも、その青年兵に許せない感情を持っても不思議じゃない。青年兵は再び、戦後のすさんだ世界へ一人で戻っていく。そこで、小説は完結。
そんな突然の幕引きに戦争の不条理さ、悲惨さを感じる。しかし、元青年兵は他人に初めて逃亡生活のことを語ったことで、気持ちに踏ん切りがついたのか、著者にこう語る。「よく眠れます。すべてをお話ししてから不思議なほど眠れるのです。」
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私の好きな逃亡モノ。ノンフィクションみたいやけど、逃げる理由に今一つ、感情移入できず。「にげろ!」って思いながら読めんかった。
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逃げ続ける恐怖と緊張感、戦中戦後の空気の変化、じわじわとくる。
しかし、どうにも主人公のことが理解できないまま終わった。
主人公は弱いのに、強い。
知能はないけれど、生きる本能は長けている。
だからそのために自分で自分を窮地に追い込んでおいて、生き残る。
だから理解ができなかったのかもしれない。
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海軍の若者が一寸したミスから軍用機爆破、そして脱走へと追い詰められて行く。その心理の動きに大変迫力があります。読んでいる私たち自身にもほんの小さい嘘が取り返しのつかない犯罪に結びついてしまうという恐怖感を感じるからでしょうか。太平洋戦争末期という異常な社会のもとで、未熟な青年の心の動きから国家的犯罪者へという運命の重さを感じます。冒頭のこの記事を書くことになった経緯のプロローグもまた秀逸でした。それにしてもこの作家は逃亡というテーマの取り上げ方が巧い人です。
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彼の作品はどのお話も読み終えた後にずっしりと深く心に残るものがあります。40年ほども前に記された文章ですが、相変わらず決して古臭さを感じさせません。そして、読み始めるとページをめくる手が止まらなくなります。
主人公は戦時中に大変恐ろしい行為をしてしまうことにより逃亡することになったのですが、これも時代の流れ、背景がそうさせたこと。決して彼の若さ、気の弱い部分があったことだけが原因ではありません。ただ若い彼がそれほどのことをしてしまうまでの心理状況に、自分が彼の立場だったらどんな行動に出るだろうか、同じことをしてしまったかもしれないと感じます。
人間の弱い心が起こした大事件でしたが、生きるために逃亡の計画を練る頃から少しずつ強くなり力を付け成長していきますが、その強さに惹かれ、そしてその過程の描かれ方が素晴らしいと思いました。
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「逃亡」は、「戦艦武蔵」の後に書いている。吉村昭の真骨頂とも言える史実に忠実な記録文学の手法は、「逃亡」のあと「破獄」や「長英逃亡」、「桜田門外の変」で、逃げ惑う人間の内面の描写に見事に引き継がれていく。
人間は、思いがけないことをしてしまうもの、というなんでもない所作がストーリーの中で驚愕の展開で迫ってくる。
語られない戦時下の出来事が、まさに人間の本質として表現され、また、触れられてこなかった戦時下の闇の怖さが伝わってくる。
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人間の弱さ、そして、作中ずっと続く、主人公が体験する恐怖と緊張感を、自分も味わう。
太平洋戦争末期、主人公が犯したある犯罪が引き金となり…。
一気に読んだ。
終戦前後の空気感も背景として描かれている。
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ひとつの嘘を隠すために嘘を積み重ねていく男。
戦時下、あらゆる物が不足している中で、海軍航空隊から逃亡を図る。
紙面から伝わる緊迫感、焦慮、恐怖、苦悩。
過酷な逃亡生活を克明に描き切った傑作。